面白い記事を見つけた。
http://www.excite.co.jp/News/economy/20090907/Itmedia_makoto_20090907040.html
ビジネスマンの右脳型人間と左脳型人間の年収を比較したというのだ。何が面白いって、この統計の取り方が面白い。そもそも右脳型とか左脳型というのは科学的に根拠のないエセ科学なのだ。それなのにどうやって統計を取ったのかと言うと、本人に聞いたというのだ(笑)。つまり、自分が右脳型と左脳型のどちらだと思うかを聞いて、それと年収を関連づけたのだ。
エセ科学でいうところの右脳型人間は直感力にすぐれ、左脳型人間は論理力にすぐれているとされている。しかしこれは、人間は音楽や絵などの創作活動をするときに右脳が活発的になるという事実から話を膨らませただけであり(もちろん左脳も活発化するのであり、わずかに右脳がその程度が大きいというだけのことだ)、右脳型人間や左脳型人間というものはないし、当然、それを判定する方法もない。だから本人に聞くぐらいしかやることはないわけだ。
この統計から分かるのは「自分が論理に優れていると思っている人は自分が直感に優れていると思っている人より年収が高い」ということだ。それにしても計算が苦手でつじつまの合わないことを話して直感で物事を判断するビジネスマンてどんな人なのだろうか。
この右脳左脳論、確かめようがないという点で、血液型性格判断より悪質である。血液型なら、検査すれば簡単に判別できるし、それで目隠しテストをすれば、血液型によって性格が偏っているかどうかは検証ができる(そして何度も明解に否定されている)。ところがこの右脳左脳論は、なにしろ確認のしようがない。右脳を鍛えるといってわけの分からないトレーニングをし、何かの能力が向上し「右脳が鍛えられたからです」といっても、それを確かめる方法がないのだ。
さらに、この理論、なにかと右脳を鍛えることがよいこととされているのにお気づきだろうか。左脳を鍛えよとは誰も言わない。なぜかというと、論理を鍛えるのはすなわち勉強をするのと似たような堅苦しいことであるのに対して、右脳は直感、イメージトレーニングで鍛えられるとされているから、なにしろ簡単そうなのだ。楽して何かの能力が向上するのではないかという甘い誘惑をえさにしているのだ。そんなことを真に受けても、上のビジネスマンのようになるのが関の山である。