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無残なり編集長

先の補助剤を取り上げたテレビ番組だが、実は卓球王国の今野編集長のところにも取材が来ていたのだという。「テーマがテーマなので、ボツになるかもしれない」とは言われていたそうなのだが、蓋を開けてみればボツになったのは補助剤ではなくて、今野さんだったわけだ。

テレビ局が来るというのでせっかく居室を片づけ(たかが知れているとは思うが)、カメラの前で30分も話したのに放送は1秒もなし。もちろん局からは何の連絡もない。

この悔しさをはらすためには、逆にテレビ局に取材に行ってさんざんインタビューしたあげくにボツにしてやるしかないと思うがどうだろうか。もちろんそういう仕事はユウにやってもらおう。がんばれユウ。

偉いぞフジテレビ!

12月30日に放送されたフジテレビの『とくダネ!発 ディレクター魂~2012最後のスクープ~』が素晴らしかった。水谷の補助剤問題の告発が取り上げられているのだ。

冒頭、水谷により補助剤問題が語られると、補助剤の有り無しラケットに鉄球を落とす実験映像となり、跳ね返る高さに20%の差があったと解説された。ピンポン球ではなくて鉄球で実験を行ったのは、ピンポン球では差が出なかったからだろうな。また、到達する高さに20%の差があったことをもって「跳ね返る力が20%違う」と解説したのは間違いだ。言うまでもなく到達高さと初速は比例しないからだ。

カメラは中国に飛び、杭州でのITTFワールドツアーグランドファイナルの取材となる。これが素晴らしかった。愛ちゃん、石川に水谷の不正告発について質問を浴びせるのだ。30時間も張り込んでインタビューしたと言っていたが、普通のプレスのインタビュー用の壁紙の前だったので、単に二人の試合がなかったか、30時間観光でもしていただけだろう。それは良いとして、当然のことながら二人とも当惑し「それについては何も言えません」と言葉を濁した。取材陣はその後、なんと馬琳に「ブースターが使われていることは知っていますか?」と聞いたのだ。間髪入れず「知りません!」と答えてプイッと去る馬琳。自分に言い聞かせるようにうなずきながら答えたのが可笑しかった。「知りません」という否定文をうなずきなら話すとはなんと皮肉なことだろうか。

その後、丁寧に同じ質問をすると、それまで笑顔だった表情があからさまに曇って固まった後「わかりません」と答えるのだ。その表情の変化の瞬間をスローで繰り返し再生するエグさはさすが民放だ。「中国人記者たちもなぜか冷ややかな視線に」と笑顔が消える様子をこれも繰り返し再生していたが、笑顔の方は明らかに別の撮影の挿入だった。こういうインチキはあったものの、補助剤そのもののインチキに焦点を当てるためであれば何でもよい。

その後映像はスタジオに切り替わり、補助剤を塗ったラケットと塗っていないラケットを持ってきてゲストがラバーを触り「全然違いがわかりません」と言っていた。・・・分かるわけがないし、「そんなにベタベタと指でラバーを触らないで」と自分が使うわけでもないのに思ってしまったのは卓球マニアの性である。さらに、シャララの「不正をしている選手がいるのは分かっている」という例のコメントもデカデカとボードで紹介されていた。

ともかく意義深い番組であった。IOCの人にぜひとも見てもらいたい。この調子で大問題にして、パリ大会ではラバーを剥がして検査せざるを得ないようにしてもらいたい。偉い、偉いぞフジテレビ!もっともっとやれー。

2日に実家に帰ったら「卓球ではインチキやってるやつがいるようだな」と卓球に興味のない父から言われた。テレビの力は大きい。ちなみにそこで私は「検査できないんだから日本人も塗ればいいんだ」と言うと「そんなことはない、ルール違反はダメだ」とモメたことを付け加えておく。補助剤問題は帰省した中年親子にさえ軋轢を生み出しているのだ。

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