会えてよかったです

先日、電車に乗ったとき、ある二人が話していたのだが、片方の人が駅について降りることになった。その人は別れ際に「会えてよかったです」と言った。

この挨拶に私は非常に違和感を持った。日本語には「会えてよかった」という別れの挨拶はない。しかし誰でも聞いたことはあるはずだ。それは英語圏で作られた映画やドラマの訳としてだ。

というのもこれは、英語のIt was nice to meet youの訳だからなのだ。英語のドラマを見ているうちにいつしかそれが身についてしまったのだろう。フィクションと現実の区別がつかなくなったとでも言おうか。

こういう例はいくらでもあるが、その中で私が最大に違和感を持っているのが「○○は最も○○なもののうちの一つです」という言い方だ。日本語では「最も」と言われれば一番のことだから「のうちの一つです」と言われるといつもガクッとくる。

「伊藤条太はもっとも偉大な卓球コラムニスト」と喜ばせておいて「のうちの一人です」でガクッと落とされる、そんな感じだ。一番が何人いるんだよ?と思ってしまう。「同率一番がたくさんいるんだろう」と思うことにしている。

これは英語のone of the mostの訳なのだ。英語の訳のときは仕方がないと思うが、訳でもないのに「もっとも○○なうちの一つです」なんて言われると、なにかトンチでも仕掛けられているような気がするのは私だけだろうか。

会えてよかったです” への 12 件のコメント

  1. 本文とは関係ありませんが、今月号の逆モーションは意外にストレートなコラムになっていますね。選手がとんでもないので逆モーションってことでしょうか?

    1. お、気が付きましたか。実は編集長も「捻りが足りない」とご不満のようでしたが押し切りました!
      たまにはこういうのもありかと思いまして。

  2. 今回は編集長の言う通りだと思います。やはり、逆モーションは最低でも自虐ネタかプチエロでオチをつけないと他のコラムと一緒になってしまいます。

    1. 最低でも自虐ネタかエロですか。き、厳しい。
      ま、題材がアルナですから、期待するのはわかりますが・・・あまりにもベタですし。

    1. まあ、そういう意味の時もありますし、「お仕事は何ですか?」って意味の場合もありますね。
      言い方でどうとでもなりますね。

  3. 「おはようございます」でなく、「良い朝ですね、ご機嫌如何ですか、私もご機嫌、あなたに感謝!」と挨拶したらどうだろう。まぁ、頭がおかしいとは思われそうである。

    1. 会社に遅刻したときは、おはようございます、よりいいかも知れない!な、わけないか。

  4. いつもながら鋭い日本語に対する考察、勉強になります。
    最近、私が違和感あるのは、テレビのニュースキャスターが殺人事件などを報道する際、「男は調べに対し、『刺したのは間違いない』と容疑を認める供述をしているということです。」などと言うことです。
    たぶん「刺しました」とか「やりました」と言っているのを、「間違いない」って何か変。恐らく供述調書の内容をそのまま正確に報道してるのかもしれませんが、昔はこんな言い方しなかったのに。。。どう思われますか?

    1. 雑誌のインタビューでもそれは同様で、口調も含めて話したようには掲載されません。
      なにしろ、話した通り掲載すると意味が分からないことが多いですから仕方がないのではないでしょうか。
      それより気になるのは、ちょっと前まであった「容疑者は曖昧なことを言っている」という表現です。本当は曖昧なのではなくてキチガイじみているということですが、
      差別表現になるのでそう書けず「曖昧な供述」とそれこそ曖昧な報道をしていたわけです。
      最近はちゃんと「意味のわからないことを言っている」と少し正確になりました。
      しかし本当に言いたいことは「キチガイじみたことを言っている」ということです。しかしそう報道できないわけです。

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