東京五輪で混合ダブルスが正式種目として採用されることが、あたかも朗報のように報道されていた。
それで「中国は目の色を変えるかも?」なんて言ってる。吉村と石川が金メダルを獲ったからチャンスだと言わんばかりだ。
ううむ。どこまで事情を知って言っているのかわからないが、なんとも微妙な気持ちだ。
吉村/石川ペアが混合ダブルスで金メダルを獲った理由は、もちろんこのペアが強いからだ。しかし、もうひとつテレビが語らない要因がある。
混合ダブルスには中国ペアが出ていないからだ(方博がドイツ選手と組んだけだ)。中国は混合ダブルスが弱いわけではない。弱いどころか、女子が強いために混合ダブルスも恐ろしく強いのだ。
かつて、エントリー数が多いときは混合ダブルスと女子ダブルスの両方ともベスト4がすべて中国だったし、へたするとベスト8のうち6ペアまでが中国で、残りの2ペアは元中国選手というのが普通に見られた。
それが2009年横浜大会から、中国はダブルスから主力選手を外したり、国際ペアを組ませたり、出るペアを極端に減らしたりして(1ペアだけとか)、あからさまに他の国にメダルを譲ろうという「外交」を始めたのだ。
東京五輪で混合ダブルスが正式種目になったとき、中国が「目の色を変える」とすればそれは、通常の意味である「必死になる」ということではなくて「獲りに行く方針にする」というだけのことなのだ。そうならないことをアテにして「東京五輪は混合ダブルスの連覇が期待できます!」と言っているわけだから、なんとも失笑させられる。
もちろんそれでも連覇できる可能性はあるが、ものすごく厳しい戦いになるだろう。
だって、中国が本気出したら「馬龍/丁寧」「樊振東/劉詩雯」「許昕/陳夢」など、陳夢どころか悪夢のようなペアがぞろぞろ出てくるんだから、どうするんだこんなもん。
中国がその気になれば、実はもっとも金メダルが絶望的な種目が混合ダブルスなのだ。