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卓球ドランカーの宴

先日、『卓球天国の扉』の冒頭の話を読んで泣いたという青年とお会いした。

以前このブログでも書いたことのある大友秀昭くんという人で、ハンドソウグリップに両面一枚という狂人の部類の人だ。

この方のハンドソウを使いこなすための情熱がすごい。ハンドソウは打球感が手に伝わりにくいので、少しでも伝わるようにグリップの掌にあたる部分だけをコルクではなく木にしているとか、重心が先にあって重いので両面一枚にして軽さを追及しているとか、目的と手段を取り違えたような感じが素晴らしい。サイドグリップがノイバウアー製なところもわかってる(笑)。

問題はサーブだが、なんとか回転をかけようと回転系の一枚を使っているという。そんなのあるのかと思うとちゃんとあって、日本に在庫がなく4ヶ月かかって手に入れたという。

パッケージにはなぜか「ドイツ製高弾性スポンジ」と書いてある。めんどくさかったのだろう(笑)。

パッケージの裏の特性表にはちゃんと一枚も載っているのだが、

なんと空欄(笑)。前代未聞の珍事だ。しかも一枚のくせに3,700円。

大友くんは、当然のようにノイバウアーの『ゴリラ』も1万円出して半年待って買ったが、あまりに極端でさすがに使いこなせなかったという。私も触らせてもらったが、確かにツルツルだった。

彼は、生まれつきハンドソウというわけではなく、あくまでウケ狙いで2年ほど前から使い始めたという。その効果は絶大で、どこに行っても目立ち、今では以前では考えられないほど各地に友人ができたという。

他にも激しいイップスの克服など、彼の味わった苦難の卓球半生を聞くことができ、とても感銘を受けた。あまりに感銘を受けたので、休筆中にもかからわず次の単行本のタイトルが浮かんだほどだ。

『卓球ドランカーの宴』 ~卓球マニア重症カルテ~

彼が持参した『ようこそ卓球地獄へ』と『卓球天国の扉』にサインをしたのだが、その際に本に触ってみると、今まで見たことがないほどに本全体が柔らかく、むちゃくちゃに読み込んでいることが手に取るようにわかり(手に取ったのだが)感動した。

日本の卓球界はこういう青年に支えられているのだなと思った。違うか。

微妙な小料理屋

ここ2、3年、出張でひとりで飲み屋に入ることが多い。以前はそんなことはなかったのだが、震災直後にやたらと飲み会が多かったのがきっかけで酒が好きになってしまったのだ。

それで、チェーン店ではなく地元の人たちが集うような小さい店に入って人間模様を見るのが最近の楽しみだ。

先週も蒲田の小さい小料理屋に入ったのだが、なかなか微妙な店だった。店内は常連で盛り上がっていたのだが、ほとんど私と話していない激しく年配のママさんが突然私のところに来て「一杯いただいていいかしら。380円のビールです」と言った。

仕組みを知らない若者たちのために解説すると、大人の飲み屋では店員が酒を飲むのに客に許可を得る必要があるのだ。なぜかといえば、あきれたことにその代金を客が払うことが前提になっているからだ。そのかわり客は、魅力的な女性店員が酒を飲んで自分と話してくれるわけだから、酔って自制心をなくして嬉しい間違いが起こるのではないかという妄想だかファンタジーだかを抱き、そのために「いいよ」と言うことになるわけだ。店員はできるだけ酔ったふりをして客に「もう一杯飲ませればどうにかなるのでは」と思わせ、さらに奢らせることになる。

店員も、客が金を払うからには飲まないといけないので、店の売り上げを上げるためにまさに体を張って飲むことになる。

先日、仙台駅前のバーで同様に学生アルバイトだという店員から「ワインいただいちゃっていいですか?」と言われたので許可したところ、ちょっと口をつけただけであとは飲まず陰に隠され、私が帰ったら捨てようというのが見え見えだった。こういうのは職業倫理上ダメなのだ。

さて、蒲田のママさんだが、そのビールを注ぐとすぐにもとの常連のところに帰って行き、私と話す様子はなかった。私はもとより何も期待していなかったものの、こうまで接触が少なく、奢る筋合いのない状況で奢らされたのは初めてだ。

しかも焼酎1杯と枝豆と冷奴とカンパチの刺身(+奢ったビール)だけで3,000円だった。高い。

嫌な気持で店を出ようとしたら雨が降っていた。するとママさんは返す保障もない私に「どうぞ」とビニール傘を手渡してくれた。それで私は急に優しい気持ちになったのだが、歩き出すとやたらと雨が漏れる傘で、また嫌な気持ちになったが呆れて可笑しくなってしまった。

良いところは何もないような店だったが、怖いもの見たさでまた行ってみたい気持ちに駆られている。

背もたれ倒し

新幹線などで座席の背もたれを倒すとき、どの程度に後の人に気を使うかは、人によって違う。

わざわざ後の人に「倒してもいいですか?」と聞く人もいれば、悪意があるのではと思えるほど無言で急に倒す人もいる。私は自分がやられてちょうどよい程度に気を使って倒す。すなわち、無言ではあるがそろりそろりとゆっくり倒す。これが後の人にどう思われてるかはわからないが、それほど間違った行為ではないだろう。

先日、飛行機に乗ったときにこれまで経験したことのないような不愉快な目にあった。

前の人が座席の背もたれを恐ろしく急激に動かす人だったのだ。倒すときはまるで親の仇のようにグッグッと倒し込み、戻すときはこれまた何の手加減もなくバネの復元力すべてを使って跳ねるように戻す。これを何の都合か知らないが何回か繰り返すのだ。

これの何が困るのかと言えば、その背もたれの背面には私が見るためのモニターがついているのだ(笑)。どれほど不愉快かわかるだろう。ちょっと横から覗いてみると、その人自身も前の人の背もたれの背面についているモニターを見ている。つまり、そういうことを知りながらやっているのだ。

「これは絶対に日本人ではない」

そう思って後で確認すると、若い金髪の白人女性だった。やっぱり。

検証、ジャイロサービス

コメント欄にジャイロサービスについての質問があったので、解説したいと思う。

ジャイロサービスとは、回転軸が相手の方向を向いたサービスのことで、卓球界ではときどき魔球のようなサービスとして語られることがある。

結論から言えば、今の卓球ルールにおいては、完全なジャイロサービスは物理的に不可能、完全ではないジャイロサービスなら可能だが、特に役に立つわけではないというものだ。

詳しく説明しよう。通常、ジャイロサービスといえば誰でも思いつくのが図のようなサービスだ。

ボールの横を上に擦り上げることで回転軸が進行方向に近くなり、空中ではあまり曲がらないが、相手のコートに弾むと台との摩擦で激しく曲がる。一見、良さそうだが、なにしろ上に打ち上げるので球速が遅いし、普通に卓球をしている者なら、出した瞬間にその後の軌道が予測できるし、実際に打ち返してみると、これは【図2】のようにして出す通常の横下とほとんど変わらない。

なぜかといえば、そもそもジャイロを出すときには、気持ちは【図1】のようなつもりでも、実際にはラケットを上だけではなく斜め前方に振っているので(そうしないとボールがコートの方に飛ばない)この横下との中間のような打ち方になっているからだ。だから回転も横下気味とならざるを得ない。

だから、ジャイロは可能だがそれは横下と似たようなものであり、特に役に立つわけではないというのが私の考えだ。

次に、よくあるまったく別の観点でのジャイロ信者の主張を検証してみよう。ジャイロを特別視する人の中には、【図3】のようにボールの右側を打ちおろすことで、【図1】と同じ回転のサービスを出すことができるという人がいる。

これができると、右利きの選手がボールの右側を打ちおろすしゃがみ込みサービスで、相手コートで右に曲がるサービスが出せるというわけだ。通常、こういう出し方をすればボールは左側に曲がるわけだから、これは通常と逆に曲がる、まさに魔球となるわけだ。ところがこれは絶対にできないのだ。

そのためにまず、【図4】のような、完全なジャイロサービスについて考えてみよう。

実際にはサービスは台に2回弾むことで回転軸が少しづつトップスピン方向に変わるのだが、それは無視して、とりあえずサービスの打球直後に回転軸が相手の方を向く場合を考える。

大前提を確認しておくが、卓球でラケットでボールに回転をかける場合、必ずボールのある一点をどの方向にか擦る方法でしかかけられない。何本かの手の指でボールをつかんで捻りながら押し出すというようなことはラケットではできない。できそうな気がしている人がいるかもしれないがそれは錯覚であり、必ずボールの一点を直線的に擦ることしかできないのだ。ラケットで包むようにしてとか、当たる瞬間にひねるとか、いくら頑張っても結局は一点で直線的に擦ることしかできない。どんな打ち方をしようとも、ラケットとボールが当たっている時間は千分の一秒しかないからだ。

それを理解した上で【図4】のようなジャイロ回転を出す方法を考えると、図のようにボールの赤道上の一点を赤道に沿って打球しなければならないことがわかるだろう。ところがその方向には、コートの方にボールを飛ばす成分が含まれていないので、どうやってもボールを前に飛ばすことができず、したがってサービスを入れることができないのだ。入らないで自分の足元に落としてよいのならもちろん可能だ。実際、ボールは足元で右に転がっていくだろう。しかし入らないのではどうしようもない。

ちなみに、打球とは別の手段でボールをコートの方に飛ばすことができれば入れることが可能だ。たとえば今ではルールで禁止されているが、左手で思いっきりラケットにボールを下から叩き付ける、いわゆるぶっつけサービスならば、実際にボールの右側を打つしゃがみ込みサービスで相手のコートで右に曲がるサービスが私も出せる。これが先に「今の卓球のルールでは」と断った意味だ。もちろん、ぎりぎりルールの範囲内で斜め前方にトスし、なおかつコートの上空数メートルから叩き下せば同様のサービスが可能かもしれないが、そんなものができた内に入らないのは言うまでもない。

次に【図5】のように、回転軸が相手の方向に傾いたジャイロサービスを考えてみる。

この回転は、実は【図1】のジャイロサービスと同じ回転だから、実際に右に曲がる。ところがこれをボールの右側を打って実現するためには、前に飛ばすどころかコートから離れる方向に力を加えなくてはならず、ボールをコートの方に飛ばすことは不可能なのである。だからこのサービスは絶対に出せないのだ。

可能なのは、ボールをわずかでも前方に飛ばす打ち方、すなわち【図6】のような、回転軸が手前に傾いたジャイロサービスだ。

フォアサイドのサイドラインの外側に立って、ラケットが台にぶつからないようにして切り下せばできる。しかしこのような打ち方をすると、ボールを台に叩き付けることになるので、ボールが右に曲がるほど回転をかけようとすれば何10センチもバウンドが高くなる、まるでサービスからロビングをしたかのようないわゆる「クソサービス」となる。そこまでして逆に曲がったところで意味はない。

バウンドが高くならないようになおかつ回転をかけると【図7】のような打ち方にならざるを得ず、結局これは相手コートで左に曲がる通常の横下回転あるいは横回転サービスとなってしまうのである。以上をまとると「横下とほとんど違和感のないジャイロサービスなら可能だが、特別な効果のあるジャイロサービスは不可能、したがって話題にする価値がない」というのが私の考えだ。

無念、マスターズ予選

今日は、全日本マスターズの宮城県予選に出場してきた。

2006年以来、9年ぶりの出場だ。ちなみに2006年に出た時は、予選で全敗したのに全国出場するという離れ業をやってのけたものだった。

そのときは、予選に来たのが5人で、上位2人が全国出場となるのだが、私は総当たり戦でさっそく3連敗し、早々に本戦出場の望みがなくなったのだった。それで、最後に同じく3連敗したBさんと最下位決定戦をすることになった。

このBさんはカットマンなのだが、私とは因縁の関係にあり、過去のマスターズ予選で3回ほど対戦し、そのたびに壮絶なツッツキ合いから最終ゲームにもつれ込むというひどい試合になり、たまたま私が全勝し、そのためにBさんは本戦出場を逃し続けているという間柄だ。

その因縁のBさんと最下位対決という後ろ向きの試合をしようと思っていたら、あまりの暑さでへとへとになったBさんから「伊藤さん、俺、棄権すっから。伊藤さんの勝ちでいいよ」と言ってきた。それで私は最下位を免れて4位となったのだが、後日、1位と2位の人が仕事の都合で本戦に出場できなくなり、繰り上げで私が出場することになったのだ。

こうして私は予選で1回も勝っていないのに佐賀に行き、Bさんはまたもや本戦出場を逃したというわけだ。試合を捨ててはいけないという教訓だ(ちなみに私が本戦でさらにひどい目にあったことは言うまでもない)。

さて、今日の試合だ。いろいろあって5人中3位となり、残念ながら本戦出場はならなかったが、みなさん、私が卓球コラムニストであることを知っていたようで、試合の後に記念写真を撮ることになった。

0-3で飛ばされた直後に「いつも読んでます」と握手を求めてくれた柾谷さん

左から、2位の柾谷さん、私、1位の伊藤さん、竹ノ内さん、小西さんの勇姿

知人からは「卓球が本業じゃないし卓球コラムニストなんだから負けてもどうってことないだろう」と言われたが、とんでもない。写真では無理して笑っているが、いつどんな試合でも負けるのは本当に泣いてやろうかと思うほど悔しい。練習してるかどうかなど関係ないのだ。

伊藤さんと柾谷さんには本戦でも頑張ってもらいたいものだ。

棄権するときはヨロシク!(笑)。

チキータのコツ

現代卓球の革命的技術であるチキータ(台上バックハンドドライブを含む)の要点は、如何にして、切れた下回転を持ち上げられるだけのインパクトのスピードを出せるかだ。

そのための重要なコツを物理的に考えると、ラケットの先端にボールを当てなくてはならないはずである。スイングの回転半径が小さいチキータでは、手首を使うサービスと同様に、ラケットの根本と先端ではスピードが大きく違うはずだからだ。

したがって、チキータが上手な選手はラケットの先端にボールを当ててインパクトのスピードを出しているに違いないのだが、私はそれを確かめたことはなかった。

そこで、卓球王国から発売されているDVD『松下大星の裏面打法』に収録されている、ハイスピードカメラによる撮影部分全6カットのインパクトを確認してみた。結果は写真の通りだ。

見事に先端だ。編集部が、先端に当てたカットだけ選んで使った可能性はない。このDVDの中で「先端に当てる」というコツは一切説明されていないし、それを示す静止画もないからだ。

ちなみに、同じDVDの中で、ブロックをする場面の写真が下だ。

ボールの粉がついている位置が若干内側であることがわかる。チキータ以外の打法では先端に当てることは難しい上にメリットがない。チキータは台上の短いボールに対してするものだ。短いボールはかならず遅い(短くて速いボールは物理的にあり得ない)ので、確実にラケットの先端に当てることができるというわけだから、うまくできているものだ。

勘のよい若者たちは無意識にこういったコツを体得するのだろうが、これから挑戦しようという年配者は、このことを意識する必要があると思われる。私もこれを意識すると、ときどきできるので間違いない(笑)。

飲み屋で錦織圭

昨夜は神奈川に住んでいる高校の同級生が仙台に来るというので、共通の友人と3人で飲むはずだったのだが、急にその同級生が熱を出して不参加になってしまった。飲み会の二日前にその連絡は来ていたのだが、飲みたいという気持ちは急には止まらないので、いつでも会える2人ではあるが飲むことになった。

二次会は先週と同じ駅前のカクテルバーに入ったが、目の前のボトルにARUMAと書いてあり、張継科を追い詰めたナイジェリアのARUNAと一字違いであることに気をよくし注文したらワインだった。

そうこうしているうちに近くの席にどう見てもテニスの錦織圭そっくりの男が入ってきた。ほどなくもう一人も入ってきたのだが、二人ともなにやら「騙された」と騒いでいる。この店は店の前に常に可愛い女性が立っていて笑顔で客引きをしているのだ。この二人はそれぞれ飲み会の帰りで、終電のためにたどり着いた仙台駅を目の前にして、笑顔にひっかかりゴキブリホイホイ状態で店内に転がり込んできたのだ。「あれはずるいっす。どうやって帰るんすか俺」なんて言ってる。

ううむ。そういえば私もこの店に初めて入った2年近く前、呼び込まれてフラフラと入ったことを思い出した。同志よ。

それはいいとして、あんまりにも錦織に似ているものだから話しかけると、やはりよく言われるそうだ。実際にはテニスをしたことはなく、野球とソフトボールだけだそうだ。

一緒に入ってきたもう一人の青年は、やはり飲み会の帰りらしいが「自分は暗いんです」としきりに落ち込んでいた。今は酒を飲んでいるから話せているが、基本、他人と話すことは苦手で、それなのになんと営業をやっているという。「そのストレスでつい入ってしまいました」となんとも味のあることを言っていた。中学校のときは部活にはほとんど行かなかったそうだが卓球部だったそうな。気に入った。私に気に入られてもどうしようもないとは思うが。

ともあれ、その二人と、いつとも知れない再会を期して、堅く握手をして店を出たのであった。

今野啓という男

昨夜は、今後のネタのための取材という名目で、宮城県中体連卓球専門部委員長の今野啓(けい)さんと逆モーションでも取り上げた大学の先輩の青山さんと深酒をした。啓さんは、かつては情熱的な指導者であったが今では卓球大会を主催することに生きがいを見出しており、来月宮城県で行われる全中の大会責任者として、昨年10月から授業を持たずに大会の準備に専念している中学教師だ。

啓さんとはこれまでにも飲んでいるが、今回は、今後の原稿のネタに啓さんが「こうなってしまった」いきさつを根掘り葉掘り聞かせてもらう趣旨で夕方7時から飲んだが、あまりにも面白くてあっという間に7時間半が過ぎた。仕事なら1日分だ。

詳しくはいつか原稿に書くとして、簡単に書くと、

【出生】

1975年3月宮城県加美郡色麻(しかま)町に兼業農家の息子として生まれる。

【色麻中学時代】

・将来なりたい職業は「総理大臣」「東北放送のアナウンサー」「中学教師」という、バランス感覚も加減もわからない中学生であった。

・卓球レポートも知らない田舎の中学で、カーボンラケットにゴクウスラバーを貼り、最後の大会では4つの中学校で県大会出場を争ったが決勝で負けて午前中いっぱい号泣し、午後の個人戦では団体で勝った初心者の1年生に5-21で負けて引退。相手はバック面に「何やらフサフサしたラバーを貼っていた」という。

【古川高校時代】

・卓球部に入りたかったが片道18キロの自転車通学で「卓球部になど入ったら落第する」と激怒した父に殴られて断念、かわりに生徒会に入る。

・男子校だけあって、もっともヒドい下ネタ仮装をやると票が入ると言われる生徒会長立候補演説で、「ケツワリバシ」「チチクリマンボウ」という演目(なぜ立候補演説に演目があるのか不明)をやった対立候補を、ぶっちぎりの下ネタ(とてもここに書けない)で破って当選、生徒会長となる。

・文化祭前のパレードでは生徒会執行部としてノーパンにタイツ姿で駅前を練り歩き警察に「ズボンを穿け」と注意される。ちなみに吹奏楽部は女子用スクール水着、スキー部は全裸に股間ガムテープ一本で歩く。ウイットと下品の区別がつかない悲しいレベルだ。大丈夫か古川高校(当時の)!

【宮城教育大学時代】

・自分が卓球が下手であることを初めて知る。世の中に卓球の雑誌があることに驚く。東北大の西村雅裕を尊敬し、その持論「構えたときから相手に嫌な気持ちを起こさせて試合を有利に運ぶ」を曲解し、舌を出して構えたりするが勝てず。すっかり卓球が嫌になる。

・3年の夏から英国のエセックス大学に留学したが、たまたまやってみた卓球が卓球部のメンバー(限りなく素人の可能性大)より上手くエースとなり、英国大学卓球ランキング44位となる。自分に足りなかったのは自信だった、とすっかり上達したものと思い込んでいたが、帰国後まったく上達していないことを発見し愕然とする。あらためて卓球が嫌になる。

【中学教員〜現在】

・なりゆきで卓球部の顧問となり、いっちょ揉んでやろうと思って生徒と試合をして負ける。卓球レポートと卓球王国を買って理論武装し熱狂的な指導者となる。中学から卓球を始めた部員だけで宮城県で2位のチームを作った。

・宮城県中体連卓球専門部の委員長となり大会運営に軸足を移す。2011年3月11日の東日本大震災で県大会実現のため奔走した(ここの話を聞きながら私は何度となく涙が滲み、落涙を我慢した。私は冷たい人間のためか、震災だろうが何だろうが他人のことで涙が出たことなどなく、こんなに感動したのは初めてだ)

・公認審判員として世界選手権東京大会、上海ジュニアで審判を務める。世界ではイエローカードを出されるまで違反をするのが普通であり、審判も戦っており試合を作っていることを知る。「大学時代に英国留学したのも結局、将来国際審判をやれってことだったんだと思う」と不可解な確信を持つに至る。

以上のようなあまりにも実り多いインタビューであり、これで原稿を3本は書けそうである。よくもこんな特異な男が身近にいたものだ。恐らく全国には私の知らないこういう人がたくさんいるのだろう。なんとかして会いたいものである。

帰り際、我々の話を何時間も黙って聞いていた店員さんが「実はバイトの店員に卓球の猛者がいるんです」と告白。よく考えるとどうでもいい話だが、酔っているし、なんだか無性に嬉しくて写真を撮ってもらった。

理想の職場

昨日、都内の卓球関連の会社を訪問した。

そこは理想の職場だった。なにしろアナタ、SANEIの卓球台兼事務机が所狭しと置いてあるのだ!

ここまで気の利いた卓球オブジェと心躍る職場は見たことがない。まったく素晴らしい。

そもそもテーブルがないサッカーや野球やテニスではこうはいくまい。

せいぜいがサッカーボールを模した消しゴムやバットの形をしたペン、テニスラケットで茹でたスパゲッティの湯切りをしてして気持ちを鎮めることぐらいが関の山である。

ところが我が卓球はどうだ。白昼堂々とネットまで貼った卓球台の上で真面目くさった顔で仕事をするふりができるのだ。ワハハハ、まいったか!

いや、素晴らしい。いやくも卓球マニアなら家中職場中をこの卓球台で埋め尽くすぐらいの忠誠心が求められるところだ。

私は・・・いろいろあってやらない。

絶対に客を覚えないホテル

出張のときに泊まるホテルでは、チェックインのときに「当ホテルのご利用は初めてでしょうか?」と聞かれる。このホテルでは歯ブラシやガウンといった備品が、各部屋ではなくてフロントの近くに置いてあるので、その説明をしてくれるのだ。

ところが私は、この1年半というもの毎週のように東京に出張していて、同じホテルに泊まっているのだ。当然、こちらはフロント係の全員の顔を覚えているのだが、いまだに「当ホテルのご利用は・・・」と聞かれる。

いったいいつになったら覚えてくれるのだろうか。

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