台北の街並みが本当に好きだ。余生を過ごしたいと思うほどに惹かれる。日本でも小さな路地裏で楽しげな飲み屋や雑貨屋などがあって祭りのような楽しい雰囲気のところがあるが、台北市はそれが全部なのだ。しかもそれらがいちいちレトロな雰囲気で楽しい。わざとではないと思うが、まるでわざと風情を出しているのかと思うほどだ。
なにもかもがこじんまりとごちゃごちゃしていて、まるでジオラマの世界に入ったようである。
『真心素食』ってんだから面白い。わかる、意味は分かるぞ。しかし面白い。
さて、このコーヒー店はいったいどんなコーヒーを出すのだろうか。興味は尽きない。
夕飯は、『真心素食』の近くの、いい感じに寂れた店に入った。
本当は韓式と書いてあった麺を頼みたかったのだが、ないというので仕方なく日式の味噌麺というのをほぼ強制的にオーダーさせられた。ただの味噌ラーメンかとがっかりしたが、出てきたものは違っていた。
なんと、味噌ラーメンではなくて味噌汁のスープに、人参、ワカメ、焼き豚、それに日本蕎麦が入っていたのであった。店主が自信たっぷりに薦めただけあって、まずかろうはずがないが、ほんの少しだけ珍しい味ではあった。