カテゴリー別アーカイブ: 未分類

至上命題

よく「今度の大会でメダルを獲ることは我々の至上命題だ」などというセリフを聞く。

まったく噴飯ものである。そんなものが至上命題であるはずがない。

なぜなら「今度の大会でメダルを獲る」というのは、そもそも「命題」ですらないからだ。

「命題」というのは、「日本代表選手は5人である」とか「卓球はスポーツである」というように、ある状態を記述した文章であり、それが「真」なのか「偽」なのか判定し得るような文章のことだ。

非常に簡単に言えば「○○である」と書ける文章のことだ。「メダル獲得」と名詞で終わるのや「メダルを獲る」などという文章は命題ではないのだ。

かつては中学校の数学で習った(逆、裏、対偶とかいうアレだ)ことだし、もちろん辞書にも載っている。

「命題」に「至上」をつけて「至上命題」とするなど、まったく意味不明の誤用である。誤用の理由はわかっている。「命題」という言葉が、より平易で親しみやすい「命令」「使命」「課題」「題目」などより難しくてカッコいい感じがして、なにやら頭が良さそうに聞こえるからだ。その結果、この言葉を使うと逆に、中学校で習う言葉の意味も知らない人間だということが露見してしまうことになるわけだ。

「至上命題」と聞くたびに「いや、それ命題じゃないから」と噴き出しているが、これほど誤用が定着すると、もうじき誤用ではなくなるのだろう。

四国の家庭料理の店

一昨日、出張で東京の青物横丁というところに泊まった。例によってひとりで飲み屋で夕食をとろうとホテルの近くの繁華街を見て回った。

基本的にどんな店でもいいと思っているのだが、いざ入るとなるといろいろと迷ってしまう。入りたいのは、まずチェーン店ではないこと、小じんまりしたところ、和風なところだ。なんだかものすごく簡単そうな条件だが、どこもかしこもバカでかい客席があったり、イタリアンだかエスニックだかの特徴を出している店ばかりでなかなか普通の店が見つからない。

それで目についた「四国の家庭料理」という看板に惹かれて入ってみた。ドアを開けた瞬間に後悔した。広い店内で男女が大騒ぎをしていたのだ。すぐに「イラシャイマセー」と日本語の怪しい東南アジア系の店員が寄ってきた。これで四国の家庭料理出すのか?と思う間もなく「婚活パーティーで飲み放題3,500円ダケ、ドウデスカ」と来た。

婚活パーティーに紛れ込むというのも面白そうだと思ったが、さすがに迷惑になるだろうから止めておいた。書いとけよそれなら。

結局、別の通りにある、看板が異様にそっけない飲み屋に入ると中もそっけなく、客はひとりもいなかった。流れていた曲はジョージハリスンのライブだった。有線放送ですかと聞くと『バングラディッシュコンサート』のCDだという。渋すぎるだろそれは。

当然、持っていった本を読むのは止めにして音楽談義となった。ジョージハリスンの曲がかかっていたのでビートルズのファンかと思うとそうではなく、ローリングストーンズのファンだという。ただしロン・ウッド時代のストーンズが好きで、ミック・テイラー時代のストーンズはイマイチだそうな。

そう言うと店主は「ディランがクラプトンに提供して要らないと言われてロン・ウドがもらった曲」だという『セブン・デイズ』という曲を聞かせてくれた。

当然ディランも好きらしく、ディランが手本としたウディ・ガスリーも好きだという。ウディ・ガスリーを好きだという人間に会ったのは初めてだ。知らない店には入ってみるものだ。

「音楽は何でも聴く」と言うだけあってパンクも日本のロックも聴くようで、中でも「吉田拓郎」「サディスティック・ミカバンド」「キャロル」にご執心のようであった。フォークも好きだと言うので、念のため「かぐや姫」「さだまさし」は?と聞くと無言で頭の上で手を振られた。

音楽談義の合間に先ほどの四国の家庭料理店の話をすると、なんと知っていて、やはりチェーン店が嫌いでそこに入ってカレーライスを食べさせられてこの店に流れてきた客がこれまでにも何人もいたそうで、私が典型的なそういう客のひとりに過ぎないと知って少しガッカリしたのであった。

あきれたことに、その四国の家庭料理の店の婚活パーティーは、ここ十年ほどずっとなのだそうだ。とほほ。看板変えろよそれなら。

さようならピータース

アメリカ赴任時代の友人のドクター・チョップことロナルド・ピータースが一昨日亡くなったと連絡があった。77歳だった。私の連載『奇天烈逆も~ション』の第一回の題材にした人だ。

思えば初めて会った2000年10月に、すでにリンパ腫を患っていて放射線治療をしていると言っていたが、それから約15年も生きたことになる。5年前には72歳にして私から卓球の指導を受けたい、謝礼も払うとまで言って私を家に呼んでくれたものだった。もっともそれは口実で、行ってみると一度も教えてくれとは言わず、自分の技の解説ばかりをされた。

ここ1、2年は相当に体調が悪く、体重も落ちていて、銃やらおもちゃやらを知人にあげて身辺整理をしていたという。それでも卓球への情熱は止みがたく、卓球とは接していたようだ。

「卓球がなかったら自分はとっくに死んでいる」と言っていたそうだ。2000年に初めて会ったときに彼の家にシャツを忘れ、その後連絡が途絶えていたのだが、7年後に再開したときにそのシャツを持ってきてくれたのには感激した。そのときのピータースの得意気な顔が忘れられない。

天国などないに決まっているが、比喩的に「ピータースは天国で思いっきり卓球をしているだろうか」と言いたくなる。

さようならピータース。そして楽しい思い出をありがとう(写真は2010年に卓球をしたときのもの)。

ザ・ファイナル2015.1

先日の全日本選手権の映像の編集が終わりつつある。

プラスチックボールになったことが関係しているのかどうかわからないが、やたらとロビングからのカウンタースマッシュが多かった。頭上のボールを野球のピッチャーのオーバースローのようにカウンタースマッシュするのだ。とにかく強打対強打が続く。いったいどういう育てられ方をしたらああいう選手になるのか。まったく指導者の顔が見たい。

おかげでなんとも迫力のある作品になりそうだ。

それにしても吉田海偉という男は絵になる。特に得点をしたときの掛け声が凄い。ショレーイとかジョレーイとかカモーンとか言うのだ。あるカメラマンによれば「ヘブーン」と言ったという。天国(heaven)?と驚いていたが、編集しながらよくよく聞くと、カモーンの発音が不明瞭な時にそう聞こえていたのだとわかって少しガッカリした。

さすがにheavenってことはないよな。どこの人よいったい。

ロック

離婚が報道されているロックミュージシャンの高橋ジョージという人が、離婚の原因について「やっぱりロックやってるから、並大抵の自己主張じゃない」と言ったという。

ロックってそういうものか。そういう、家庭内のいざこざにも影響を与えるような音楽なのだろうか。なんともすごい音楽もあったものだ。この調子だと「生き様」とかに発展しそうで怖い。

忘年会

年末に職場関係の忘年会がいくつかあった。

そのうちのひとつでは、幹事が100円ショップで仮装道具を買ってきて、全員がつけて参加するという、なかなか気の利いた演出であった。

私は最初、河童だったが(他意はないと思う)、途中から交換し合ったので耳などをつけたりしていい具合に酔っ払ったのだった。

最初は面白いのだが、すぐに慣れて仮装はどうでもよくなり、そのままの格好でフッと真面目に仕事の話をしたりするのだが、後で見ると河童の格好で何を話してもダメという感じがする。

ところでこの職場のうちのあるプロジェクトが、実は一部で「呪われたプロジェクト」と言われている。私を含め、このプロジェクトに関係している男性社員全員がある特徴的な髪形をしているのだ!

この男はすでに退社したが、やはり同様であった。よりによってなぜ全員が?とお互いに何か因縁めいたものを感じていたものだった。まさか集められたわけではないと思うが(だとすると目的がわからない)。

ただしコイツはこんなに毛穴があるのに好き好んで丸刈りにしているので我々はニセ物扱いしているが、その努力が買われて今ではリーダーである。飲むとすぐに寝るのが難だ。

そんな楽しい忘年会なのであった。大人になるとこういうことができるので、青少年は20歳になるのを心待ちにして欲しい。

次元の違う彼氏

ネットの恋愛指南のサイトに面白いことが書いてあった。

「オクテ女子は卒業!たった1週間で恋愛体質を手に入れる生活習慣」という、まるで疾病関係を思わせる見出しの記事だ。

読んでみると「しっかりスキンケアをする」とか普通のことが書いてある一方「連絡先を知っている男子に片っ端から連絡を取る」「初デートについて妄想してみる」「初めから恋愛モードで攻める」とか、どっちが病気なのかわからないようなことも書いてある。

その一番最初の項目として「次元の違う彼氏とは別れよう」と書いてあった。

まーた次元か!そういう誤用はうんざりだ!と思ってよく読むとその意味は、いつまでもアニメなどの二次元のキャラクターに恋をしていてはいけないというもので、珍しく正しい使い方で感心したのだった。

・・・そりゃそうだろう。

振華ちゃん

大晦日にテレビを見ていたら、ふりかけのキャラクターとして「振華(ふりか)ちゃん」というのが出てきた。

中国スポーツ界の重鎮「蔡振華か!」と思って思わず腰を浮かしたことは言うまでもない。ああびっくりした!

ちなにみ蔡振華はコレだ。似ても似つかんなあ。

 

朝日新聞のプラスチックボール報道

昨年の12月26日の朝日新聞にプラスチックボールの記事が載った。

記事の内容は普通だったが、石川佳純の写真につけられたキャプションが面白かった。

「プラスチックの球を持ってポーズを取る石川佳純」だそうだ。

説明、ちょっと詳し過ぎねえか。まるで目が不自由な人のための字幕放送のようだ。目が不自由ではこの文字を読めないはずだが。

記事で一つだけ違和感があったのが、卓球のボールのことを一貫して「球」と表現していたことだ。卓球界では「ボール」と言っており、プラスチック製のも「プラスチックボール」「プラボール」とか言っているのだが、記事中では「プラスチックの球」と表現されている。

恐らく一般人は卓球については「球」としか言わず「ボール」と書くとかえって違和感があるからなのだろう。記事の主題とは関係ないが、それに気づかされた記事であった。

心地よいアナウンス

出張で新幹線に乗るたびに思うのは、アナウンスの丁寧さだ。

いろいろと説明をするのだが、その声色には本当にお客様に感謝をしているという感じが伝わってきて、笑顔さえ見えるような気がする。

その比較で思い出すのは、アメリカの飛行機のアナウンスだ。いかにもけだるい投げやりな一本調子でズラズラと早口でしゃべり、その裏にある「まったくこんなにヒマ人が飛行機に乗りやがって。おかげでこっちは仕事が増えて迷惑なんだよ。もう乗るなよな畜生め!ギューッ(屁の音)」と言う様子が目に浮かぶほどである。

日本のサービスはやはり心地よい。

Page 29 of 235« 最初へ...2728293031...最後へ »