リンダとリンダ遠藤さん

妻は英会話に私以上に苦労しているようである。小学校の先生(50才ぐらいの女性)が教え子の結婚式に出ると言っているのを本人の結婚式だと思い込んで勝手に驚いてみたり、スーパーマーケットで酒を買おうとして生年月日を聞かれて住所を答えてしまったことに家に帰ってから気がついたりと、なかなか忙しい。自分で言いたいことは無理やり言えるのだが、なにしろ聞けないのだ。店員が値段を言う。店員は数字しか言わないとわかっている、その限定された状況でさえ、その数字が聞き取れないのだ。難しいものである。

その中でも傑作なのがリンダ・遠藤さん事件である。お向かいのリンダさんと話していると、妻の状況を見かねたリンダさんが、知り合いにリンダ・遠藤さんという日本人がいるから紹介してやると言ったそうである。それなら英語も日本語も話せるので、さぞ効率のよい英語習得ができるだろうと妻は楽しみにしていたのである。ところがその後、その話をするとどうにも話が食い違い、何かがおかしい。そして最終的に判明したのは、リンダさんが知っている人とはリンダ・遠藤さんではなくて、リンダ・アンダーソンというアメリカ人であり、彼女が日本人を知っているという話だったのである。その日本人は我々がすでに知っている私と同じ会社の人であった。

考えてみれば、一般のアメリカ人が「遠藤さん」などと「さん」をつけるわけがなかったのである。それにしてもまた「リンダ」だ。山本リンダっていうのもいたが。

進化論と創造論

ドッグはとてもいい奴だ。誰にでも優しく心底のお人よしであり、なおかつ敬虔なクリスチャンである。先日、アキラくんという日本人が、ドックに「アインシュタインの相対性理論をどう思う?」と聞いた。「アキラくんはジョークを言っているな」と私は思った。なぜそう思うかといえば、第一に、アキラくんはジョークが好きである。第二に、アキラくんのやけに真面目ぶりながらもどこか笑いをこらえたような力の入った表情、第三に、我々の仕事に相対性理論など少しの関係もなく、あきらかに場違いな話題だったからだ。

ドッグはこの質問に対して真面目な顔で「アイ・ライク・イット」と答えた。横で聞いていた私は大笑いをして「物理の理論に対して、正しいとか間違ってるならわかるが『好きだ』とはどういうことだよ」とツッコんだ。ドッグは笑いながら「それもそうだが、いい理論だと思うよ」と答えた。

続けてドッグは「互いに相容れない二つの理論があるんだ」とあらたまった真面目な顔で話し始めた。わたしはすぐにピンときて、ドッグの話をさえぎり、アキラくんに「ドッグは進化論と創造論の話を始める気だぞ!」と予言した。「ひとつは、人間は猿から進化して・・・」思ったとおりだ。

ドッグはひとしきり進化論と創造論を説明すると「俺は創造論が大好きなんだ」と言った。もちろんこれも予想通りだった。

雑誌とブログ

雑誌(卓球王国)の原稿で苦しんでいる。

アメリカのレーティング制を日本卓球界に紹介するネタはすでに書き上がっているのだが、急に城島さんの「ピンポンさん」が出たので、どうしても荻村ネタを書きたくなり、とりかかっている。締め切りは野中さんから毎月21日ごろと言われているが、翌月になって入れたこともあったので本当の締め切りはよくわからないが、たぶんまだまだに違いない。

城島さんの「ピンポン」を読みかけて感動したおかげで、荻村伊智朗に対するツッコミというかギャグを書けなくなってしまった。自分でもさっぱり面白くないのだ。土日ねばってみてどうしてもダメならレーティングネタを出せばいいさ、と思いながらちょこちょことやっていたら段々によくなってきて、どうにか出せそうな感じになってきた。

というわけで、ここ2,3日のブログの書き込みは原稿からの逃避だったのでした。

エンジニアとアニマル

職場にドッグという名前のエンジニアがいる。ドッグといってももちろんDogではない。Dougである。この二つの発音はアメリカ人にははっきりと違うらしいのだが、我々にはほとんど違いがわからない。

そこで、あるアメリカ人に「エンジニアのドッグとアニマルのドッグでは発音はどう違うのか」と聞いてみた。彼の答えは「オーライ、説明してやる。エンジニアはダーグ、アニマルはダーグだ」 ・・・同じじゃねえか。「違いがわからないからドッグの部分だけ交互に言ってくれ」と言うと彼は「イエス。ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ、ダーグ」と言った。もういい。ぜんぜん違いがわからない。違いが分かるように極端に言ってくれというと彼は「エンジニアはダーグだが、アニマルはダオグだ」と言った。なるほどそういわれるとわずかに違うような気がした。

それ以来、一部の日本人の間では、ドッグの陰の呼び名は「エンジニア・ドッグ」となった。ときどきドッグにわざとそう呼びかけると、当然ながらきょとんとした顔をしている。まさか自分が日本人から犬と区別がつかない存在であるとは思ってもいるまい。

銃とヘビ

先月のことだ。平日、妻が家にいると、隣の家の方から銃声が聞こえたという。爆竹ではなくて銃の音だったという。パン・・パンパンという間隔で3回鳴るようすが、いかにも何かを狙って撃ったようだったという。冗談ではない。隣で銃など撃たれたのでは怖くて外にも出られないではないか。

翌日職場で聞いてみると「それはたぶんヘビでも撃ったんだろ」という。それにしても住宅地での銃の使用は禁止されているので、また聞こえたらすぐに警察に通報してやると言われた。

妻もお向かいのリンダさんに銃声のことを相談したという。ところがリンダさんの答えは、「それはヘビを撃ったんでしょ。私もよく撃つよ。」というもので、銃よりもヘビがいかに怖いかをヘビの習性やサイズ、色、とぐろを巻く様子などを身振り手振りで20分ぐらい説明されたそうである。毒はあるのかと聞くと「それは無い」という。ただ嫌いなだけなのだ。

聖書に、ヘビがずるい奴として出てくるので、どうも本気でヘビはずるくて悪い奴だと思っているようである。

アメリカ人と卓球をしたとき、空いている台でひとりで変化サービスの練習をしていたら、ウォレンという奴が「そんなスニーキーなサーブ練習して」とニヤけながら言った。スニーキーとは知らない単語だったのでスペルを聞いて調べると、snakyという単語で、意味は「ヘビのような、陰険な」であり、スネークの派生語であった。生物に陰険も正直もないと思うが、ヘビも災難である。職場でそれを話すと翌日からことあるごとに「スニーキーなサーブ出すんだろお前」とか「お前はスニーキービジネスマンだ」とからかわれるようになった。卓球も知らないくせにそんなことを言うのである。迷惑な話だ。

それにしてもヘビを銃で撃って、当たるんだろうか。

ジミーとリンダ

私の住んでいる住宅地はできたばかりで、まだあまり家がない。10軒ぐらいの家がまばらに建っていて、そのうち人が入っているのは5軒だけだ。私が入ったときには、斜め向かいにジミーとリンダという老夫婦が住んでいるだけだった。つい先月、私の3軒となりに引っ越してきた人がいるので挨拶にいったら、なんとその老夫婦の名前がこれまたジミーとリンダというから驚いた。

面白いこともあるもんだと思って職場で話すと、「じゃ、これからお前のあだ名はジミーだ。奥さんもリンダと呼べ」といわれた。アメリカ人にしてはまあまあのジョークだ。だいたいこのグレッグという男、私が出社した初日からジョークを言いっぱなしだった。「この職場に来たら覚えなくてはならないもっとも重要な場所が3つある。お前の机、トイレ、休憩室だ」とか「アウトルック(メールソフト)には仕事の効率を上げるとても便利な機能があるのを知っているか」といって「削除」マークを指すありさまである。

これほどふざけたジョークばかり言っているくせに、やっぱり神様は信じてるんだろうな、などと思いながら、そのことは未だに確認していない。いや、急に笑い顔が消えて目を剥かれたりしたら怖いなと思って。目、青いしな。

ところで、謝利富さんの書き込みが面白すぎて全然敵わないんですけど。

ブログをやることになった

先週、今野編集長からブログをやらないかと連絡があった。卓球に関係ないことを書いてもよく、書きたいときに書けばよいのだという。ブログというものは初めての経験で勝手がわからないが、気軽なところが魅力なのだろうと考えてやってみることにした。

卓球王国のサイトであまりに個人的なことを書くのはどうかと思われるが、雑誌でもバンバン書いてしまっているので今さら恥じる必要もあるまい。「面白ければなんでもいい」という考えで書いていきたい。
ということで皆さんよろしくお願いします。

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