スポンサーリンク

速報・現地リポート

トップニュース速報・現地リポート

ジャパンオープン・荻村杯2016

★2016ITTFワールドツアー・Laoxジャパンオープン 最終成績

〈男子シングルス〉
優勝:樊振東(中国)
2位:許シン(中国)
3位:馬龍(中国)、張継科(中国)
※ベスト8:水谷隼(日本・beacon.LAB)

〈女子シングルス〉
優勝:劉詩ウェン(中国)
2位:丁寧(中国)
3位:朱雨玲(中国)、鄭怡静(チャイニーズタイペイ)
※ベスト8:早田ひな(日本・希望が丘高)

〈男子ダブルス〉
優勝:馬龍/許シン(中国)
2位:荘智淵/黄聖盛(チャイニーズタイペイ)
3位:カルデラノ/ツボイ(ブラジル)、樊振東/張継科(中国)

〈女子ダブルス〉
優勝:丁寧/李暁霞(中国)
2位:劉詩ウェン/朱雨玲(中国)
3位:鄭怡静/黄怡樺(チャイニーズタイペイ)、ユ・モンユ/周一涵(シンガポール)

〈U-21男子シングルス〉
優勝:張本智和(日本・JOCエリートアカデミー)
2位:三部航平(日本・専修大)
3位:村松雄斗(日本・東京アート)、カルデラノ(ブラジル)

〈U-21女子シングルス〉
優勝:ツォン・ジェン(シンガポール)
2位:浜本由惟(日本・JOCエリートアカデミー/大原学園)
3位:加藤美優(日本・礼武道場)、早田ひな(日本・希望が丘高)
  • 男子シングルス優勝の樊振東(右)と準優勝の許シン(左)

  • 女子シングルス優勝の劉詩ウェン(右)と準優勝の丁寧(左)

●女子ダブルス決勝
丁寧/李暁霞(中国) 7、7、9 劉詩ウェン/朱雨玲(中国)

中国勢同士の対戦となった女子ダブルス決勝は、昨年の世界選手権・女子ダブルス決勝と同じ顔合わせ。世界選手権では2位に終わった丁寧/李暁霞がストレート勝ちで優勝を決めた。

世界選手権の時は、劉詩ウェン/朱雨玲が速さで上回っていた印象があったが、この女子ダブルス決勝では丁寧/李暁霞もあまり台から下がらず、相手ペアのカウンターをさらに待ち受けてカウンターで狙うなど、より向上したコンビネーションを見せた。第3ゲームの1ー0で、李暁霞がレシーブドライブでラケットを台にぶつけ(この試合で2回目)、ラバーを破損してスペアラケットと交換するひと幕もあったが、試合の流れは変わらず。劉詩ウェン/朱雨玲は、朱雨玲に強打のミスがやや多かった。

リオ五輪団体戦では、この丁寧/李暁霞ペアが中国女子のエースダブルスになりそうだ。ロンドン五輪の男子団体戦で、中国男子が大会前半のシングルスに出ていない馬龍をシングルス2点で起用したように、リオ五輪の女子団体戦では、主に劉詩ウェンがシングルス2点で使われるのではないか。選手層の厚い中国だからできる選手起用だが、消耗度を考えてもそのほうが合理的だ。
  • 力強い両ハンドが猛威をふるった丁寧/李暁霞

  • チキータで先手を取りにいきたかったが……

  • ラケットを台にぶつけ、丁寧が「あー」という顔

  • 2度目はアウト。李暁霞が審判に見せたくない顔

●男子ダブルス決勝
馬龍/許シン(中国) 4、7、4 荘智淵/黄聖盛(チャイニーズタイペイ)

女子シングルス決勝が終わってから1時間半ほど経ち、スタートした男子ダブルス決勝。中国ペアが決勝まで勝ち上がってきたタイペイペアを圧倒した。タイペイペアは、サウスポーの黄聖盛が中国ペアの逆モーションに翻弄され、緩急をつけたループドライブにも全く対応できない。最初は一本ごとにアドバイスをしていた荘智淵も、次第にあきらめモードになってしまい、わずか20分ほどで終戦。
上回転のラリーになれば、うまくコースを突く両ハンドのミート打ちも見せていた黄聖盛だが、苦い決勝の舞台になってしまった。それにしても、馬龍/許シンは強かった。
  • フォアの攻撃力は圧巻だった中国ペア

  • 20分あまりの完勝劇にも、なぜかお小言の劉国梁監督

  • 何本も逆を突かれた黄聖盛(左)

 シングルス表彰後の優勝会見に臨んだ劉詩ウェン。「女子シングルスで優勝できてとてもうれしいです。レベルの高いプレーを見せることができた。毎回日本の大会に来ると、すごく雰囲気が良いと感じます。観客の皆さんに感謝したい」とコメントした。最終日の観客の入りは、試合のレベルを考えると少々寂しいものだが、劉詩ウェンらしい気遣いだった。

 「ライバルであるお互いをどう思いますか?」という質問を受け、ふたりで顔を見合わせて笑顔で「どうする? なんて言ったらいいの?」と話し合っていた劉詩ウェンと丁寧。「もちろんライバルではありますが、今までお互いに励まし合ってきた。小さい時から一緒に練習して、ナショナルチームまで上がってきた。友人であり、良きライバル。どちらかが先に引退したら、きっと寂しく思うでしょうね」(劉詩ウェン)。一方の丁寧も、「劉詩ウェンはライバルでありチームメイト。試合ではもちろん対戦相手になるけど、昔から一緒に練習してきたし、お互いをよく知っている」と模範的な回答。

 リオ五輪でシングルス代表の切符を手にした丁寧と、団体3番手にあまんじた劉詩ウェン。ふたりのライバルはハッキリと明暗を分け、今大会の劉詩ウェンの表情は沈みがちだ。
 しかし、このふたりの関係は、なんとなく男子の王励勤と馬琳の関係に似たものを感じる。王励勤が丁寧、馬琳が劉詩ウェン。王励勤は世界選手権を三度制したが、五輪ではついに金メダルを手にできず、馬琳は世界選手権で何度も涙をのみながら、現役生活の終盤に北京五輪金メダルという実りを手にした。どちらがプレーヤーとして成功したか、結果的には甲乙つけがたい。

 劉詩ウェンとしては、リオ五輪の団体戦で結果を残し、4年後の東京五輪に向けた足がかりにするしかない。今大会の決勝で見せた、サイドを切るバックハンド強打、フォアストレートへのカウンタードライブの切れ味はすさまじかった。このプレーを続けることができれば、きっとチャンスはある。
●女子シングルス決勝
劉詩ウェン(中国) ー17、7、6、ー8、10、7 丁寧(中国)

期待どおりの激しいラリー戦となった女子シングルス決勝。劉詩ウェンが丁寧を破り、こちらもジャパンオープン初優勝を決めた。

第1ゲームから17ー17までジュースが続き、19ー17で丁寧が先取したこの試合。しかし、劉詩ウェンは第2ゲーム以降、丁寧のフォアサイドを切る非常に厳しいコースへのバックハンドを連発。丁寧の長いリーチのその先をボールが駆け抜ける。
劉詩ウェンがゲームカウント2ー1と逆転し、第4ゲームも序盤でリードして完全にペースを握っていたが、ここで丁寧が高く上げたボールがエッジについてから流れが変わり、6ー6から丁寧が10ー7と逆転、11ー8でゲームカウント2ー2のタイに戻す。

一気に押し切りたかった劉詩ウェン、フォアサイドを切るボールにも対応しはじめた丁寧。ふたりのラリーはますます加速し、隙あらばフォアストレートへのカウンターで相手のフォアを抜きに行く。第5ゲーム、10ー8で劉詩ウェンがゲームポイントをつかみながら、丁寧が10ー10に追いついたが、劉詩ウェンがフォアの打ち合いを制して12ー10で振り切った。フォアドライブの打ち合いになれば、倒れ込んでバランスを崩しながら連打する丁寧より、合理的な打法の劉詩ウェンのほうが連打が効く。

第6ゲームは丁寧が出足で4ー1とリードしたが、劉詩ウェンが5点連取で6ー4と逆転。フォアストレートにバックストレートと、迷わずにフォアの快速カウンタードライブを連発した劉詩ウェン。11ー7でこのゲームを制し、熱戦に決着をつけた。
  • 劉詩ウェンの快速バックハンド、エグいコースでした

  • 丁寧のロビングがエッジ、思わず苦笑い

  • やられた! 厳しいコースを突かれた丁寧

  • 声援に応える劉詩ウェン、しかし笑顔はなかった

●男子シングルス決勝
樊振東(中国) 9、5、ー9、7、8 許シン(中国)

今年のLAOXジャパンオープン荻村杯、男子シングルスのチャンピオンは樊振東!

許シンにやや疲労の色が濃く、本来の運動量が見られなかったこの試合。それでも許シンは、樊振東のチキータを裏面のカウンターで狙い、中陣から裏面ドライブで打ち返すなど、抜群のテクニックを披露。馬龍戦で威力を発揮した、コースの読みにくいフォアフリックも有効だった。

しかし、樊振東のプレーはとにかく速い。許シンの裏面チキータにカウンターを合わせ、次のボールも早い打球点でフォアストレートに狙うなど、まったく攻撃の手をゆるめない。昨日、馬龍と戦った水谷が「カウンターが一本入った後に、2本、3本と連続して打てない。もっとカウンターからたたみかけないといけない」と語っていたが、今日の樊振東はまさにその「カウンターからたたみかける」プレーが光った。そして、作ったチャンスは押し返されてもフォアドライブ連打で攻め、相手に主導権を渡さなかった。

1ゲームに平均して2本くらいサービスエースを取るようになったサービス力も向上している樊振東。優勝後の会見では「今日は自分らしいプレーができた。どんなに苦しい場面でも、勝ちたいという信念がブレなかった」と語った。リオ五輪代表の先輩たちに比べれば、思い切って戦える強みはあったが、実力を存分に発揮しての優勝となった。
  • 樊振東、ジャパンオープン初優勝!

  • 許シンはやや運動量が落ちたか

  • 観客の声援に応える若きチャンピオン

  • 記者会見での樊振東

●女子シングルス準決勝
丁寧(中国) ー3、3、6、8、8  鄭怡静(チャイニーズタイペイ)

女子シングルス準決勝の第2戦は、丁寧が鄭怡静を4ー1で破った。女子シングルス決勝は丁寧と劉詩ウェンのライバル対決。昨年度大会は準決勝で敗れたふたりが、決勝で相まみえる。

石川と馮天薇を連破して勝ち上がった鄭怡静。丁寧戦も第1ゲームに1ー2から10ー2と怒涛の連続得点を見せたが、第2ゲーム以降は丁寧のしゃがみ込みサービスにペースを崩され、フォアドライブの打ち合いでパワーに押された。相手にしのがれた時の決定力にもまだ課題が残る。

それでも、内容としては鄭怡静の善戦と言える。台から下げられても粘り強くバックハンドでコースを突いて逆襲に転じ、前陣でのブロックのコース取りもうまい。女子でも指折りの強打者である一方、これまではプレーが単調で、勝負に対しても淡泊な印象があったが、角(かど)が取れて円熟味を増している。「女・荘智淵」ともいうべきスタイルで、息の長い選手になりそうだ。
  • 鄭怡静、果敢に丁寧に挑んだ

  • しゃがみ込みサービスで試合の流れを変えた丁寧

●男子シングルス準決勝
樊振東(中国) ー5、ー7、9、9、5、7 張継科(中国)

男子シングルス準決勝の第2試合は、樊振東が0ー2からの逆転で、先輩の張継科を下した。
決勝の対戦カードは、樊振東対許シン!

第1ゲーム、張継科1ー0の場面で、逆を突かれてフォアに飛びつこうとして樊振東が転倒。体を強く打ってしばらく起き上がることができず、「このまま棄権か?」とさえ思われたが、起き上がってプレー続行。しかし、このゲームは張継科が7ー0とスタートダッシュをかけ、第2ゲームも両ハンドの速攻で樊振東を圧倒する。

しかし、樊振東も次第に張継科のスピードに対応する。ライジングをとらえたバックハンドのカウンターで主導権を握り、速くて深いロングサービスを要所で使って、張継科のチキータを封じる。第3ゲームを逆転で奪うと、第4ゲームも5ー8の劣勢から9ー9に追いつき、そこから豪腕チキータを2連発して11ー9。あの張継科がカウンターを2回続けてオーバーミスした。

試合の中盤から、やや集中力を欠いた感のある張継科に対し、樊振東は豪快な両ハンドドライブをビシビシ決めた。第6ゲームは5ー0、8ー2と大きくリードを広げ、最後は10ー7でバックドライブを決めて勝負あり。最近は張継科にやや分の悪かった樊振東だが、見事な勝利を挙げた。
  • 樊振東、パワーボールがうなりをあげた

  • 張継科、快調に2ゲームを先取するも……

女子シングルス準決勝が行われる中、中国男子チームの劉国梁監督(兼総監督)が、ミックスゾーンで日本の報道陣の取材に応じた。

昨年、ワールドツアーなどで外国選手に敗れるシーンが多かった張継科。「なぜ張継科をリオ五輪代表に選んだのか?」という質問に対し、「張継科が五輪代表になるのは当然だと思っている」と即答した劉国梁監督。「中国には素晴らしい選手がたくさんいるから、誰を出してもそこそこの成績は出せるだろう。重要なのは、大きな大会で精神的に安定してプレーできるか、力を出せるかどうかだ。だから張継科と馬龍を選んだ。世界ランキングはあまり関係ない」(劉国梁監督)

リオ五輪、シングルス代表の馬龍と張継科について、対照的なふたりのキャラクターを劉国梁監督はこう説明する。「ジュニア時代から、ふたりのイメージは少しも変わっていない。張継科は奔放で天真爛漫、馬龍はおとなしい優等生。そういう特徴は試合での成績にも出ていて、馬龍は成績が安定しているが、張継科は少し波がある。馬龍は責任感が強く、金メダルを獲ったらもっと頑張りたいと思う選手だが、張継科は目標を達成すると次の目標を見失って、ふらふらしてしまうところもある。でも今は、リオ五輪に向かって目標がしっかり定まっている」

リオ五輪の開催時、張継科は28歳、馬龍は27歳、許シンは26歳。「4年後の東京五輪を見据えると、若い選手をひとり入れたかったのでは?」という質問をぶつけてみた。「我々のチームには樊振東という天才選手がいて、東京五輪に向けて準備しているから期待してもらいたい。今大会は残念ながらPカード(団体戦の交替枠)という立場だが、東京五輪では必ず主力選手として活躍する。そして許シンも間違いなく東京五輪で活躍できるだろう」(劉国梁監督)。劉国梁監督は、東京五輪時には30歳になる許シンを、東京五輪でのベテラン枠として計算に入れているようだ。
  • 昨日、張継科のベンチに入った劉国梁監督(左)

●女子シングルス準決勝
劉詩ウェン(中国) ー8、ー9、2、7、6、3 朱雨玲(中国)

ダブルスでペアを組む劉詩ウェンと朱雨玲の対決は、劉詩ウェンが0ー2から逆転勝ち。朱雨玲もフォアのスーパーブロック、ライジングをとらえたシュートドライブなど、鮮やかなプレーを連発したが、フォアでの攻撃力は劉詩ウェンが数段上。守勢に回る展開が多くなった朱雨玲は、中盤からレシーブもミスが増えた。攻守ともに秀でた技術を持つ朱雨玲。運動能力も非常に高いが、もうひとつ何か、突き抜けた特長がほしい。
  • 第3ゲームから一気にエンジンをかけた劉詩ウェン

  • 前回2位の朱雨玲、今大会は3位止まり