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中国リポート

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★★★ 男子第5節 7.11 ★★★
[天山万杰隆 3-1 江蘇華都琥珀]
[遼寧錦州万通 3-2 海寧皮革城鵬翔]
[八一工商銀行 3-1 寧波北侖海天]
[浙商銀行 3-2 江蘇江南電纜]
[四川全興 3-2 魯能・中超電纜]

◎世界チャンピオン・王励勤がまさかの連敗! 注目の一戦
[遼寧錦州万通 3-2 海寧皮革城鵬翔]
○雷振華 8、6、-3、11 王励勤
 周斌 5、6、-11、-7、-2 陳剣○
 徐輝/周斌 4、8、-11、-5、-5 陳剣/金恩華○
○雷振華 -5、7、7、4 金恩華
○徐輝 -10、-5、9、6、9 王励勤

・世界チャンピオンがシングルスで2連敗。超級リーグのレベルの高さをまざまざと見せつける結果になったこの一戦。
 世界チャンピオン・王励勤がトップで対戦したのは遼寧チームのエース、21歳の雷振華(レイ・ヂェンホア/右シェークドライブ型)。身長182cmと長身でパワーがある。昨シーズンの2度の対戦はいずれもゲームオールの接戦、全中国選手権団体決勝では王励勤を破るなど、相当な実力の持ち主だ。加えてこのゲームでは王励勤が不調で、雷振華が2ゲームをあっさり連取。シーソーゲームとなった第4ゲームも13-11で振り切って貴重な先取点を挙げた。
 しかし、ここ3試合王励勤が孤軍奮闘している海寧皮革城鵬翔も、ここで簡単に負けるわけにはいかない。05年全中国運動会ベスト16の陳剣(チェン・ジェン/右中国式ペンドライブ型)が単複で0-2から意地の逆転勝利、海寧2-1と試合をひっくり返す。4番は再び登場した雷振華と、日本リーグの日産自動車で活躍する金恩華の対戦。勢いに乗る雷振華が3-1で勝利。これで雷振華はシングルス通算7勝3敗と、代表クラスの選手たちを相手に堂々たる成績だ。
 ラストは王励勤と、軽快なフットワークを誇る徐輝(シュ・フイ/右中国式ペンドライブ型)の対戦。王励勤は2ゲームを連取しながら、第3ゲーム以降は勝利を焦ったのか、完全に精彩を欠いた。徐輝はホームの大声援にも支えられ、まさかまさかの大逆転劇!!

 王励勤を破った雷振華と徐輝。雷振華がザグレブ大会代表になっているとはいえ、このふたりを知っている人は相当な中国卓球通だろう。世界チャンピオンといえども状態が万全でなければ、無名の選手にさえあっさり敗れてしまう。それが超級リーグなのだ。
 王励勤にとっては、アウェイで喫した悪夢のような2連敗。シングルスの通算成績5勝4敗は8勝0敗の王皓、9勝1敗の馬龍らと比べてもかなり見劣りする。チームもこれで第2節から4連敗。「4連敗の罪人は王励勤」、中国国内での報道は世界チャンピオンに対しても容赦のないものだった。

Photo上:王励勤、あまりに痛い2連敗…(Photoは世界ザグレブ大会)
Photo中:雷振華、会心のプレーで世界チャンプを撃破
Photo下:徐輝は0-2のビハインドから大逆転!
(Photo中/下は05年超級開幕戦)
 中国男子でNo.1のイケメンと言えば、文句なしに選ばれそうなのが陳杞(チェン・チー)。
 その貴重なスーツ姿が左の写真。6月1日に北京・釣魚台国賓館で行われた世界選手権ザグレブ大会の祝賀会の模様だ。おしゃれメガネは意外にハマっているが、スーツはどうも無理矢理着せられた感じで、学生服のほうがよく似合いそうだ。ピンクのシャツに、これまたピンクのストライプのネクタイは、どうやら主催者側が用意したものらしい。6歳年上の王楠とは、並んでみてもどうもカップルには見えない。姉さんとやんちゃな弟という感じか。

 写真下は王皓と張怡寧。スタイル抜群の張怡寧と並び、しかも手前に立ってしまった王皓、妙に顔が大きく見える。こちらのふたりは意外に似合うかもしれない。北京市内のマンションに住む、ちょっとお金のある新婚夫婦といったところ。
 この祝賀会、男女チームの選手がひとりずつペアを組んで入場したのだが、どうやってペアを組んだのか、ちょっと気になる。

「分かってる? 私が陳杞と組むんだからねっ!(王楠)」
「ええ~~。…じゃあ、私は王皓!(張怡寧)」
 なんて年功序列な会話が女子チームで交わされていたとしたら、ちょっと面白い。

◇写真提供『Pingpang世界』(中国)
☆☆☆ 女子第4節 7.7 ☆☆☆
北京首創 3-0 八一工商銀行
深セン長園新材 3-2 河北金能
上海電信理工 3-2 遼寧鞍鋼
重慶康徳遠景 3-2 江蘇麗華快餐
山東魯能 3-1 北大方正

◎世界チャンプ郭躍が思わぬ苦杯、注目の一戦
[上海電信理工 3-2 遼寧鞍鋼]
 帖雅娜 -9、-7、9、7、-9 王楠○
○饒静文 -4、9、9、6 郭躍
○饒静文/劉娟 9、10、-8、-7、7 王楠/常晨晨
 劉娟 -5、-7、7、-9 郭躍○
○帖雅娜 -9、6、7、9 常晨晨

・9勝9敗で5位と不本意なシーズンに終わった昨季のリベンジを果たすべく、新世界チャンピオン・郭躍と王楠の2枚看板で開幕3連勝と、絶好のスタートを切った遼寧鞍鋼。しかし、4試合目で思わぬ相手に足元をすくわれた。
 この波乱を演出したのは、上海電信理工の2番手・饒静文(ラオ・ジンウェン)。1985年3月26日生まれの22歳、長身の右シェーク異質攻撃型(フォア裏ソフト+バック表ソフト)。代表経験は少ないが、国家チームの代表選抜リーグなどでも、たびたび上位選手を破っている。この一戦では、2番で郭躍を破り、左ペンドライブ型の劉娟と組んだダブルスでも勝利。ラストにつないでエース・帖雅娜の勝利を演出した。

 その他の試合では、深セン長園新材が牛剣鋒・白楊のいる河北金能に競り勝ち、男女を通じて唯一の4戦全勝。チームのメンバーは昨シーズンまで福原愛が所属していた広東佐川急便と同じで、広東省チームに違うスポンサーがついた形。正直言って地味なメンバーなのだが、チームワークの良さとエース・劉詩ブンの急成長が躍進のカギか。脇を固める曹幸ニィ・麦楽楽らベテランも貴重な働きを見せている。また、ベテランの左ペンドライブ型・李楠(99年世界3位)のいる重慶康徳遠景が今季初勝利を挙げた。

Photo上:饒静文(右)/劉娟のダブルス(写真は05年8月/超級リーグ岡山大会)
Photo下:深セン長園新材の3番手はベテランの曹幸ニィ(女+尼)。昨年は福原愛ともダブルスを組んでいた(写真は05年6月/超級リーグ開幕戦)
★★★ 男子第4節 7.7 ★★★
江蘇江南電纜  3-0  天山万杰隆
江蘇華都琥珀  3-2  遼寧錦州万通
浙商銀行    3-2  四川全興
寧波北侖海天  3-2  海寧皮革城鵬翔
魯能中超電纜  3-1  八一工商銀行

◎四川全興は開幕3連勝でストップ。注目の一戦
[浙商銀行 3-2 四川全興]
 李平 -8、14、-4、-9 邱貽可○
○ハオ帥 -6、9、9、8 馬龍
○李平/馬文革 7、6、10 邱貽可/王建軍
 馬文革 -6、9、-5、14、-5 馬龍○
○ハオ帥 9、7、-8、-9、9 王建軍

 今節の注目の一戦は浙商銀行vs.四川全興。天津市出身の選手で固めたチームでありながら、スポンサーが替わったことで、遠く離れた浙江省にホームを置くことになってしまった浙商銀行。しかし、この試合は本来のホームである天津市で行われ、各選手とも大奮闘。エースのハオ帥が2番で馬龍とのエース対決に勝利、ラストでも王建軍との大激戦を制して抜群の働きを見せた。馬龍は国家代表のダブルスパートナーに敗れ、シングルスでの連勝は6でストップ。
 その他の試合では、王励勤の海寧皮革城鵬翔と馬琳の寧波北侖海天が対戦したが、残念ながら両者の対戦は実現せず。それぞれシングルスで2点を奪い、ダブルスを制した寧波北侖海天が勝利した。

 ◎超級リーグ断トツの最年長。馬文革、健在なり
 浙商銀行のメンバーのひとり、馬文革(マ・ウェンガ)はひと昔前(?)の卓球ファンには懐かしい名前かもしれない。右シェーク両面裏ソフト攻撃型で、1985年に17歳で国家チーム入り。89年ワールドカップ優勝、92年バルセロナ五輪銅メダルなど、中国が育成して最初に成功を収めたシェークドライブ型のひとりだ。
 抜群の運動能力の持ち主で、俊敏なフットワークからキレのあるパワードライブを連発し、大いに観客を沸かせた。95年に地元・天津で迎えた世界選手権・団体決勝2番でパーソン(スウェーデン)を下し、悲願のタイトル奪還をたぐり寄せた一戦は今でも語りぐさになっている。その後、95年10月にドイツ・ブンデスリーガ1部のオクセンハオゼンに移籍し、ドイツでのプレーもすでに12年あまり。現在に至るまで圧倒的な勝率を誇り、「馬文革を獲得したチームが優勝する」と言われたほど。今年6月に行われたプレーオフ決勝でもシングルスで3勝を挙げ、所属するフリッケンハオゼンの優勝に大きく貢献している。
 この馬文革から孔令輝、そして現世界チャンピオンの王励勤へと至る系譜が、中国式シェークドライブ型の本流と言っても過言ではない。1968年3月27日生まれ、39歳の馬文革。第4節でも馬龍とゲームオールの激戦を演じるなど、まだまだ元気だ。

Photo上:ハオ帥、巧みな変化サービスから強打を連発
Photo中:長くブンデスリーガの顔だった馬文革
Photo下:95年天津大会・団体決勝2番。地元の英雄、吠える
 現在、中国では馬琳のフィアンセの存在がネットを騒がせている。

 そのフィアンセの名前は張一(チャン・イー)。清楚な印象の美人女優だ。写真が載せられないのが残念。
 まだ中国での知名度はそれほど高くないが、4歳からダンスと演技の勉強を始め、中国映画界の最高学府と言われる北京電影学院(電影は「映画」の意)・演劇学部を卒業。日本でも有名な映画監督の陳凱歌(チェン・カイコー)、張芸謀(チャン・イーモウ)らを輩出し、スターへの最短ルートと言われる超難関校だ。現在は遼寧省のテレビ局で放映されているドラマ『暗哨(スパイ)』に出演している。
 ふたりが友人の紹介で知り合ったのは2004年。現在は広東省に籍を置く馬琳だが、もともとは遼寧省瀋陽市の出身。同じ遼寧省出身ということで、張一さんとは気が合ったのかもしれない。試合中は派手なガッツポースを見せる馬琳も、家では至っておとなしく、DVDの操作さえよく分からないのだとか。中国の男性は恐妻家が多い、というのが定説で、食事や洗濯もしっかり分担するのが普通だが、馬琳の場合は張一さんに頼り切っているようだ。

 結婚は来年の北京オリンピック以降になるそうだが、馬琳も美しいフィアンセの支えで、悲願のビッグタイトルを獲得したいところ。
 ちなみに、張一さんと同じ北京電影学院・演劇学部の卒業生に趙薇(チャオ・ウェイ/ヴィッキー・チャオ)がいる。日本で大ヒットした『少林サッカー』にも出演した国民的アイドルだが、今年2月、王励勤がこの趙薇と会っている写真が週刊誌に掲載され、一躍熱愛報道がヒートアップした。ふたりとも交際は否定したが、どうやら卓球界と芸能界の交遊も幅広いようだ。かつては85・87年世界チャンピオンの江加良が、映画女優として活躍した呉玉芳と結婚した例もある。さすが中国、卓球選手のステータスは相当高い。
 6月28日から7月1日まで開催されていたITTFフォルクスワーゲンオープン・中国大会。
 開催地の南京市は江蘇省の省都で、人口は約770万人。古くから多くの王朝が都とした古都。また、重慶市・湖北省武漢市と並んで「中国の三大火炉(ストーブ)」と言われるほど暑い都市で、夏には気温が40℃に達することもある。6月末は日本と同じく梅雨の時期に当たるが、それでも平均気温は33℃前後とかなり暑い。当然、会場となる五台山体育館は空調が効いているのかと思いきや、「空調を入れると風が舞ってボールが飛ばされる」という選手からのクレームが出て、空調を切って大会が行われたようだ。湿気もあり、選手たちにとっては厳しい環境だ。

 先週のフォルクスワーゲンオープン荻村杯に続き、今大会も中国選手が一般4種目を完全制覇。男子シングルスでは中国の最強トリオ、王励勤・馬琳・王皓が揃ってベスト4に入り、張怡寧と王楠が欠場した女子シングルスも、郭躍と郭炎が決勝を戦った。今大会の大きなサプライズはふたつ。ひとつは女子シングルスで、世界選手権ザグレブ大会準優勝の李暁霞が金沢咲希(日本生命)に敗れたこと。そしてもうひとつは、男子ダブルスでの王励勤/馬琳ペアの実現だ。

◆まさかの完敗、オリンピック代表が遠のく李暁霞

 女子シングルスで李暁霞が敗れたことは、中国でも「今大会唯一の失策は李暁霞」「前世紀の国家代表に不可解な惨敗」と大きく報道されている。世界選手権準優勝とはいえ、まだ18歳の李暁霞がメンタルに不安を残すのはやむを得ないだろう。また、現在国家チームの一軍選手ではペンホルダーの選手が非常に少なく、ベテランの李楠(左ペン裏ソフトドライブ型/99年世界3位)くらいしかいない。金沢の打球点の早いショートとプッシュが、若手選手に対しては大きな武器になってくるのか。
 北京オリンピックの中国女子代表は、張怡寧・王楠・郭躍・李暁霞の4人のうち、誰かひとりが脱落するという状況。世界ランク4位の郭炎はこの4人とダブルスのペアを組まないため、代表入りする可能性は非常に低い。現在の実力から言って、張怡寧と郭躍の2人は決定だろう。そこで3人目を張怡寧とペアを組む王楠にするか、郭躍とペアを組む李暁霞にするか、という選択になる。
 世界選手権3連覇の元女王・王楠の引退の花道として、北京オリンピックはこれ以上ない舞台だし、18歳の李暁霞は4年後のロンドンオリンピックでも十分チャンスがある。代表選出に向け、李暁霞としてはかなり不利な状況の中で、今大会での敗戦は大きなダメージだ。

◆決勝で惜敗。王励勤/馬琳ペアの未来は??

 男子ダブルスに出場した王励勤/馬琳。昨年9月にシンガポールで行われた中国 vs.ワールドオールスターズのエキシビションマッチで組んでいるものの、公式大会には初出場。ちなみにそのエキシビションマッチでは、ボル/サムソノフ(ドイツ/ベラルーシ)にストレートで完勝している。王励勤が馬琳の2歳年上とほぼ同年代だし、右利き同士とはいえ、台上処理や一発のパワードライブが得意な馬琳と、ラリー戦で抜群の安定感を誇る王励勤のペアリングは悪くないように思える。しかし、「両雄並び立たず」というべきか、今まで実現することはなかった。
 男子の場合、北京オリンピックの代表は王励勤・馬琳・王皓でほぼ確定と言ってよい。世界ランク1・2・3位の3人で、誰が見ても文句のないところだ。しかし、唯一の弱点といえるのがダブルス。北京オリンピックは4単1複で行われるため、ダブルスでの失点は大きな波乱を招く可能性がある。そこで世界選手権ザグレブ大会で王励勤/王皓、フォルクスワーゲンオープン荻村杯で王皓/馬琳、今大会では王励勤/馬琳とひととおりペアを試してきた。そして皮肉なことに3大会とも、3人のうち残ったひとりと陳杞が組んだダブルスが優勝している。サウスポーの陳杞、ダブルスのスペシャリストの面目躍如というところか。もっとも、3大会とも急造ペア同士で決勝戦を戦っているのだから、「誰が組んでも大丈夫だろう」という気もしてくる。

中国では7日(土)から超級リーグが再開され、第4節が行われる。

Photo上:中国名:満麗で出身は河北省。センセーショナルな活躍を見せた金沢咲希
Photo中:李暁霞は国家チームの先輩に手痛い黒星
Photo下:荻村杯・男子ダブルス表彰。果たして本番ではどのペアが起用される
 卓球のトップ選手には、いわゆる「合い口」というものが結構ある。世界ランキングのトップ10に入るような選手であっても、この選手はこの選手にどうしても勝てない、ということが少なくない。
 たとえば男子の柳承敏(韓国)は、王皓(中国)に対して圧倒的に分が悪い。唯一の勝利がアテネ五輪の決勝戦だったのは皮肉だが、それ以外に国際試合ではほとんど勝ったことがない。また、世界最高峰のカットプレーを見せる韓国女子のエース・金キュン娥も、世界ランキング1位の張怡寧に対しては完全にノーチャンス。張怡寧のボールがパワフルなのを差し引いても、金キュン娥は張怡寧の前では、完全に戦意を喪失してしまう。張怡寧はまさに「金キュン娥キラー」である。
 
 ところが、そんな無類の強さを誇る張怡寧にも、天敵がいることをご存じだろうか? その名は中国香港の姜華君(ジァン・ホァジュン)。現在世界ランキング11位、フォア面裏ソフト・バック面表ソフトのシェーク速攻型。06年クウェートオープン、07年クロアチアオープン、そして先週行われたフォルクスワーゲン荻村杯と、張怡寧にITTFプロツアーで3度勝利している。

 姜華君は1984年、中国・山東省生まれで、96年に12歳で青島市チーム入り。98年に国家2軍チーム、そして2000年に現在日本生命で活躍する李佳らとともに国家1軍チームに昇格した。
 中国チームでは、ひとりのコーチが数人の選手の担当コーチになる。たとえば女子チームのコーチになったばかりの孔令輝は、郭躍・劉詩ブン・姚彦・木子の4人を担当。馬琳と王皓はともに呉敬平コーチの指導を受けている。1軍チームに入った姜華君の担当コーチは、張怡寧と同じ李隼コーチ。元日本代表・羽佳純子選手の実兄だ。こうして張怡寧と同門だったことが、姜華君が張怡寧を苦にしないひとつの理由だろう。実際、当時から張怡寧には分が良かったようだ。
 2001年から中国代表に抜擢され、2003年のアジアカップで準優勝するなど、好成績を収めていた姜華君だが、2005年10月の全中国運動会を最後に中国香港チームに移籍。翌06年のクウェートオープンでは2回戦で張怡寧、準決勝で郭炎、決勝で郭躍を下してプロツアー初優勝。今年に入ってからもチリオープンとフォルクスワーゲンオープン韓国大会で連続優勝し、完全に世界のトップクラスに定着した感がある。

 彼女の技術的な特徴は、なんといっても前陣で弾き打つ、バック表ソフトの連続攻撃。バック表のシェーク速攻型としては、世界で最も高い完成度を誇っている。威力があるのはもちろんだが、安定性も抜群でほとんどミスをしない。試合を見ていても、非常にインパクトのある技術である。荻村杯での張怡寧戦では、このバック連打を張怡寧のバックからミドルに集めて張怡寧の足を止め、要所で厳しいコースを突いた。張怡寧はバック対バックのラリーで押され、フォアに回したボールをフォア強打で狙い打たれて敗れた。

 まさに女王のアキレス腱とも言うべき存在の姜華君。中国香港チームということで、ビッグゲームで中国と真剣勝負ができるかどうか微妙だが、しばらく世界の舞台で暴れる選手になりそうだ。
 トレードマークはまゆ毛の上でピシッと揃えた前髪。ちなみに「姜」という姓は中国ではそう珍しくないが、読みづらいということで、卓球王国では「生姜(しょうが)」というありがたいニックネームで呼ばれている…。

☆☆☆ 女子第3節 ☆☆☆
深セン長園新材 3-1 北京首創
上海電信理工 3-2 八一工商銀行
河北金能 3-0 重慶康徳遠景
遼寧鞍鋼 3-1 山東魯能
北大方正 3-0 江蘇麗華快餐

◎昨年の優勝チームが思わぬ敗戦、注目の一戦
[深セン長園新材 3-1 北京首創]
○麦楽楽 -5、5、7、-4、6 郭炎
○劉詩ブン -8、5、-4、8、6 張怡寧
 麦楽楽/周芳芳 -8、-3、-4 郭炎/丁寧○
○劉詩ブン 6、7、2 丁寧

・昨年は福原愛が所属し、広東佐川急便というチーム名でリーグを戦った広東省チーム。今年はチーム名が深セン(土+川)長園新材に変わったが、メンバーはここ数年変わっていない。
 北京首創との一戦では、若きエース・劉詩ブンが絶好調。身長155cmと小柄だが、前陣でのパンチ力のある速攻で張怡寧に勝利。張怡寧にはザグレブ大会の国内予選でも勝っており、この勝利もまぐれとは言えないだろう。4番でも同年代の丁寧にまったく付け入るスキを与えなかった。これで深セン長園新材は開幕3連勝。優勝候補同士の一戦を制した遼寧鞍鋼とともに首位に立った。

Photo:郭躍に次ぐ天才少女と呼ばれる劉詩ブン(雨+文)。度胸満点の攻撃卓球を展開
★★★ 男子第3節 ★★★
天山万杰隆 3-1 遼寧錦州万通
四川全興 3-2 江蘇江南電纜
寧波北侖海天 3-1 江蘇華都琥珀
八一工商銀行 3-2 浙商銀行
魯能中超電纜 3-2 海寧皮革城鵬翔

◎全勝は四川全興のみ、注目の一戦
[四川全興 3-2 江蘇江南電纜]
○邱貽可 5、-7、-6、3、7 林晨
○馬龍 11、-7、-11、6、4 陳杞
 邱貽可/王建軍 -8、11、-8、2、-13 陳杞/單明杰○
 王建軍 -12、-6、-10 林晨○
○馬龍 6、10、6 單明杰

 昨年まで所属していた柳承敏・朱世?(ともに韓国)はチームを去ったが、中国男子のホープ・馬龍を獲得して今季のダークホースと目される四川全興。
 陳杞のいる江蘇江南電纜との対戦では、エースの馬龍が大車輪の活躍。2番で陳杞とのエース対決をゲームオールの末に制すると、ラストでは單明杰にストレート勝ち。これでシングルスは開幕6連勝と絶好調だ。この勝利で四川全興は全勝を守り、一躍トップに躍り出た。

Photo:遼寧省出身で、北京市チームで頭角を現した馬龍。今季から四川全興でプレーする
☆☆☆ 女子第2節 ☆☆☆
北京首創 3-1 上海電信理工
深セン長園新材 3-1 重慶康徳遠景
山東魯能 3-1 八一工商銀行
北大方正 3-1 河北金能
遼寧鞍鋼 3-2 江蘇麗華快餐

◎女王・張怡寧が貫禄の勝利、注目の一戦
[北京首創 3-1 上海電信理工]
 郭炎 -12、-11、8、-9 帖雅娜○
○張怡寧 9、4、4 饒静文
○郭炎/丁寧 9、6、-8、10 饒静文/劉娟
○張怡寧 9、-8、5、7 劉娟

・昨季のチャンピオンチームである北京首創。張怡寧・郭炎の2本柱に、3番手の丁寧(05年世界ジュニアチャンピオン)も成長著しい。
 この第2節では、トップで郭炎が帖雅娜に惜敗したものの、張怡寧がシングルスできっちり2点取り。開幕2連勝を決めた。女子超級リーグでは、優勝候補である北京首創・遼寧鞍鋼・山東魯能と、劉詩ブン・麦楽楽のいる深セン長園新材が連勝スタートを飾った。

Photo:張怡寧、安定した強さでチームを2連覇へ導くか