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欧州リポート

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 10月よりスタートする2020-2021シーズンのヨーロッパチャンピオンズリーグ。前回の男子に続いて、今回は女子出場チームのラインナップを紹介。
 女子も男子と同じく、今季よりレギュレーションが変更になっており、シーディングリストの下位8チームはファーストステージを戦い、4チームがグループリーグへと進出。シーディングリストの上位8チームはグループリーグからの登場となる。

【グループA】
◆タルノブジェク(ポーランド):Vi.パブロビッチ(ベラルーシ)、ユ・フ(ポルトガル)、顧若辰(中国)、ハン・イン(ドイツ)、サマラ(ルーマニア)、リー・チェン(ポーランド)
◆メス(フランス):モンテイロ-ドデアン、ディアコヌ(ともにルーマニア)、呉佳多(ドイツ)

【グループB】
◆リンツ・フロシュベルク(オーストリア):浜本由惟、リュウ・ジャ、ミシェク、ポルカノバ(以上オーストリア)、ペソツカ(ウクライナ)、スッチ(ルーマニア)
◆カルタヘナ(スペイン):シャオ・マリア、ガルシア、リュウ・シン(以上スペイン)、リー・フェン(スウェーデン)、エルデリー(セルビア)

【グループC】
◆セントクエンティン(フランス):デヌッテ(ルクセンブルク)、ミハイロワ(ロシア)、ドラゴマン(ルーマニア)、チャン・モー(カナダ)
◆タガンログ(ロシア):コリシュ、プロホロワ、ククルコワ(以上ロシア)

【グループD】
◆ベルリン・イーストサイド(ドイツ):エーラント(オランダ)、ミッテルハム、シャン・シャオナ、ゲーベル(以上ドイツ)、カマス(インド)、リン・イン(シンガポール)
◆ホドーニン(チェコ):パルティカ(ポーランド)、呉穎嵐(香港)、森さくら(日本)、ブラティエコ(チェコ)


 優勝戦線をリードしそうなのが、昨シーズンもともにベスト4に進出したタルノブジェクとリンツ・フロシュベルクの2チーム。タルノブジェクはECL初優勝を果たした2018-2019シーズンからほとんど選手が入れ替わっておらず、昨年のヨーロッパ競技大会優勝のユ・フが加わり、さらに選手層の厚みが増した。リンツ・フロシュベルクはエースのポルカノバが腰の手術明けとあり、どの時期に試合に復帰できるかは不明だが、かつてチームに多くのタイトルをもたらしたリュウ・ジャが復帰。さらにスッチ、ペソツカと他チームならエース格の選手が加入し、2012-2013シーズン以来3度目の優勝を狙う。
 過去4度のECL優勝を誇るベルリン・イーストサイドはユ・フ、スッチがタイトルを争うタルノブジェクとリンツ・フロシュベルクへと移籍、エクホルム(スウェーデン)が引退し、ポータ(ハンガリー)も母国・ハンガリーのブダオルシ21と契約と、昨シーズンから戦力ダウンは否めない。新加入のエーラントがどこまで白星を重ねられるかがカギとなる。


【ファーストラウンド出場チーム】
◆リール・メトロポール(フランス):マダラシュ(ハンガリー)、ベリストロム(スウェーデン)、トドロビッチ(セルビア)
◆ブダオルシ21(ハンガリー):ポータ、ファゼカシュ、ロバシュ(以上ハンガリー)、スルヤン(セルビア)
◆ビルバウ・ヴィック(スペイン):チャン・シュアン(スペイン)、フェファー(セルビア)、キャリー(ウェールズ)
◆クルムロフ(チェコ):チェルニャフスカヤ(ロシア)、シュトルビコバ(チェコ)、ディミトレンコ(ウクライナ)
◆カリンシアウィンド・フィラッハ(オーストリア):A.ゾルヤ(オーストリア)、マロバビッチ(クロアチア)、フェニヴェシ(セルビア)
◆カザン(ロシア):エメリナ、ビクバエワ、ハサンバエワ(以上ロシア)、孫晨(中国)
◆レカ・エニア(スペイン):チャン・ジン(中国)、オリベイラ(ポルトガル)、ガルシア(スペイン)
◆ジュンカル(ポルトガル):ガルノワ(ロシア)、アンドレド(ポルトガル)、エフィオン(ナイジェリア)
★対戦カード:リール・メトロポールvs.ブダオルシ21、ギルバウ・ビックvs.クルムロフ、カリンシアウィンド・フィラッハvs.カザン、レカ・エニアvs.ジュンカル


 ファーストラウンドからの出場チームでは、実力が抜けている感のあるリール・メトロポールとブダオルシ21がグループリーグへの出場をかけて対戦。女子ファーストラウンドでは注目のカードとなりそうだ。
 例年、中国はじめアジアからの助っ人が活躍するケースも多い女子ECLだが、今シーズンは新型コロナウイルス感染症の影響もあり、彼女たちがどこまで参戦できるかは不透明。ヨーロッパ勢の活躍がカギとなりそうだ。
  • 古巣のリンツ・フロシュベルクに復帰のリュウ・ジャ

  • ヨーロッパ競技大会Vのユ・フは優勝候補のタルノブジェクに加入

  • ベルリン・イーストサイドで活躍が期待される世界ランキング30位のエーラント

  • 昨季ベスト4のセントクエンティンはエースのチャン・モーが引っぱる

 欧州各国で国内リーグの新シーズンがスタートする中、ヨーロッパチャンピオンズリーグ(ECL)も10月7日より開幕。昨シーズンは新型コロナウイルスの影響により、男女ともに準決勝開催を前にシーズン打ち切りとなったが、ヨーロッパNo.1クラブを決める戦いが再び始まる。そこで間もなく始まる新シーズンを前に、出場チームのラインナップを紹介。まずは男子編から。

 昨シーズンまでは4つのグループに分かれてのリーグ戦の後、決勝トーナメントを行う形だったが、今シーズンはグループリーグの前に8チームによるファーストラウンドが設けられ、ここで勝利した4チームがグループリーグへ進出。ベスト8シード権を持った8チームはグループリーグからの登場となる。グループリーグからの参加となる8チームと主な所属選手、リーグの振り分けは下記のとおり。


※★=新加入選手
【グループA】
◆オレンブルク(ロシア):オフチャロフ(ドイツ)、サムソノフ(ベラルーシ)、フレイタス(ポルトガル)、★林昀儒(チャイニーズタイペイ)
◆ボゴリア(ポーランド):バドフスキー(ポーランド)、ギオニス(ギリシャ)、吉田海偉、吉田雅己(ともに日本)、シルチェク(チェコ)

【グループB】
◆UMMC(ロシア):グルーツ(デンマーク)、★ピッチフォード(イングランド)、★プツァル(クロアチア)
◆スポルティング(ポルトガル):カルバリョ(ポルトガル)、アビオドゥン(ナイジェリア)

【グループC】
◆ザールブリュッケン(ドイツ):フランチスカ(ドイツ)、尚坤(中国)、ヨルジッチ(スロベニア)、ポランスキー(チェコ)
◆ロスキレ(デンマーク):メイス、ベンツェン、ツグウェル(以上デンマーク)、★ルンクイスト(スウェーデン)

【グループD】
◆ボルシア・デュッセルドルフ(ドイツ):ボル、ワルサー(ともにドイツ)、K.カールソン、シェルベリ(ともにスウェーデン)、アチャンタ(インド)
◆エンヌボン(フランス):★O.アサール(エジプト)、ニュイティンク(ベルギー)、★リンド(デンマーク)、ウォーカー(イングランド)


 昨シーズンのベスト4であり、今シーズンも優勝候補のオレンブルク、UMMC、ザールブリュッケン、ボルシア・デュッセルドルフの4チームが各グループに分かれた。潤沢な資金を持つロシアの2チーム、オレンブルクとUMMCは今季も大物が加入。オレンブルクは林昀儒、UMMCはピッチフォードとプツァルを獲得し、優勝を狙う。
 ドイツ勢のザールブリュッケンとボルシア・デュッセルドルフは新加入選手はなし。昨シーズン、初のブンデスリーガ優勝を飾ったザールブリュッケンはフランチスカと尚坤のツインエースに、3番手のヨルジッチも着実に強くなっており、ECL初制覇にも期待がかかる。ボルシア・デュッセルドルフはボルとK.カールソンの故障もあり、少々不安が残る。
 ボゴリア、エンヌボンの2チームはある程度戦力が揃っているが、ロスキレとスポルティングは厳しい戦いになりそうだ。2017-2018シーズンベスト4のスポルティングは大黒柱だったアルナ(ナイジェリア)が移籍し戦力ダウン。ロスキレは52歳のベンツェン、44歳のツグウェル、39歳のメイス、新加入のルンクイストも41歳とかなりのベテランチームとなっている。ちなみにエンヌボンに加入したO.アサールは、昨シーズンまでの古巣であるボルシア・デュッセルドルフとグループリーグで対戦する。


 10月7日からスタートするファーストラウンドを戦うのは以下の8チーム。対戦カードはミュールハウゼンvs.ホボーケン、テヴェルゾvs.レカ・エニア、オストラヴァvs.ジャルドヴォ、ウォルターヴェルスvs.ポントワーズとなっている。


【ファーストラウンド出場チーム】
◆ミュールハウゼン(ドイツ):Da.ハベソーン(オーストリア)、メンゲル(ドイツ)、イオネスク(ルーマニア)、ヤンカリク(チェコ)
◆ホボーケン(ベルギー):ゴマース(オランダ)、プショー(フランス)
◆テヴェルゾ(オランダ):ケーン(オランダ)、ヴォステス(ベルギー)、ナウミ(フィンランド)
◆レカ・エニア(スペイン):サレー(エジプト)、メルズリキン(ロシア)
◆オストラヴァ(チェコ):コルベル、クレプリク(ともにチェコ)、オリバレス(チリ)
◆ジャルドヴォ(ポーランド):ディヤス(ポーランド)、ガチーナ、ウェイ・シハオ(ともにクロアチア)
◆ウォルターヴェルス(オーストリア):コジッチ(クロアチア)、シューディ(ハンガリー)、レベンコ(オーストリア)、田添響、三部航平(ともに日本)
◆ポントワーズ(フランス):フロール、Q.ロビノ、マテネ(以上フランス)、バウム(ドイツ)、ツァイ・ユージア(デンマーク)


 ミュールハウゼン、ジャルドヴォ、ポントワーズはラインナップも強力。ウォルターヴェルスとポントワーズの対戦はファーストラウンド最大の注目。ジャルドヴォはディヤス、ガチーナが新たに加わり、中国からの帰化選手であるウェイ・シハオも実力は高く、グループリーグでも十分に戦える力がある。ケーンやコルベルといった懐かしい面々もまだまだ現役でプレーしており、彼らにも注目してECL情報をお届けしていきたい。
  • 怪物・林昀儒は強豪オレンブルクからECL参戦

  • UMMCに加入のピッチフォード。グルーツとは仲良し

  • フランチスカ率いるザールブリュッケンは初のECL制覇に期待がかかる

  • ボルは3シーズンぶりの栄冠をチームにもたらせるか?

 9月6日に開幕したドイツ・ブンデスリーガに続き、お隣・オーストリアでも9月11日に新シーズンが開幕。オーストリアの国内リーグもドイツと同じく「ブンデスリーガ」と呼ばれるが、その第1節に江藤慧(クローバー歯科カスピッズ)が出場。江藤は毎年新シーズン開幕直前に行われる「ÖTTVカップ」(9月5〜6日)にも出場し、チームは準優勝に輝いている(昨シーズンは優勝)。
 江藤は昨シーズンに続き、シュトッケラウのメンバーとして参戦。開幕戦ではシングルスで2試合続けてフルゲームで敗れたが、ダブルスではストレートで勝利。シュトッケラウは現在48歳の大ベテラン・陳衛星(オーストリア)が21歳のサンチ(アルゼンチン)、19歳のロッシ(イタリア)と親子ほど年齢の離れた若手2人を料理して開幕戦を勝利で飾った。
 江藤所属のシュトッケラウが戦ったザルツブルクには昨シーズンに引き続き金光宏暢(日本大)が所属してプレーする予定だが、開幕戦には出場せず。また、ウォルターヴェルスには田添響(岡山リベッツ)と三部航平(シチズン時計)が登録されている。


【ÖTTVカップ(9月5・6日)】
★男子準決勝
〈シュトッケラウ 3-2 ウィーナーノイシュタッド〉
 江藤 1-3 ウェッツェル○
 コロジェツキ 1-3 コネツニー○
○陳衛星 3-0 アルサムオリ
○江藤 3-2 コネツニー
○コロジェツキ 3-2 ウェッツェル

〈ウォルターヴェルス 3-1 SPGリンツ〉
○レベンコ 3-0 リウ・ツェンロン
 コジッチ 0-3 ピスチェイ○
○シューディ 3-0 グリニンガー
○レベンコ 3-2 ピスチェイ

★男子決勝
〈ウォルターヴェルス 3-1 シュトッケラウ〉
 シューディ 2-3 コロジェツキ○
○レベンコ 3-2 江藤
○コジッチ 3-0 陳衛星
○シューディ 3-1 江藤

【2020-2021 オーストリア・ブンデスリーガ】
第1節(9月11日)
〈シュトッケラウ 4-2 ザルツブルク〉
○陳衛星 3-0 サンチ
 江藤 2-3 ロッシ○
○コロジェツキ 3-0 トリンク
○江藤/コロジェツキ 3-0 ロッシ/トリンク
 江藤 2-3 サンチ○
○陳衛星 3-0 ロッシ
★江藤慧通算成績:単0勝2敗/複1勝0敗


※写真提供:Österreichische Tischtennis Bundesliga/ Tobi Ratz
  • 昨シーズンに続き、シュトッケラウでプレー

  • ÖTTVカップ表彰式にて。陳衛星(左)は2年前にクローバー歯科でプレーした経験もあり

 9月6日にドイツ・ブンデスリーガは2020/2021シーズンが開幕。昨シーズンのプレーオフ決勝を争ったザールブリュッケンとオクセンハウゼンの注目カードは、ザールブリュッケンの選手1名が新型コロナウイルスに感染したことにより9月20日に延期となったが、他5試合は予定どおりに行われた。地域によって入場者数の上限に差があるものの、有観客で試合が行われた。

【2020/2021 ドイツ・ブンデスリーガ第1節】
〈ケーニヒスホーフェン 3-0 フルダ・マーバーツェル〉
○シュテガー -8、-8、6、5、6 フィルス
○オルト -3、8、7、9 アルナ
○ゼリコ 13、1、-10、9 ムン・ファンボー

〈ボルシア・デュッセルドルフ 3-1 グレンツァオ〉
○シェルベリ 4、-12、7、5 R.デヴォス
 ハイスター 10、-5、-9、-3 スゴウロポウロス○
○ワルサー -9、6、10、6 プレテア
○シェルベリ 6、4、11 スゴウロポウロス

〈グリュンヴェッターズバッハ 3-1 ミュールハウゼン〉
 コズル 9、-7、-4、-5 Da.ハベソーン○
○王熹 -9、8、-5、12、9 イオネスク
○チウ・ダン 9、-7、6、-5、8 メンゲル
○王熹 3、3、10 Da.ハベソーン

〈ベルクノシュタッド 3-0 ブレーメン〉
○ドゥダ 8、5、1 アギーレ
○ロブレス 6、-9、-5、6、6 ファルク
○フェガール 5、-2、6、8 ゲラシメンコ

〈ノイ・ウルム 3-1 バート・ホンブルク〉
 シドレンコ 5、-7、5、-6、-4 ツボイ○
○アポロニア -8、12、7、10 カツマン
○ルベッソン 5、-6、5、6 シポシュ
○アポロニア 9、8、9 ツボイ

 王座奪還を目指すボルシア・デュッセルドルフはボル(ドイツ)が背中の痛み、K.カールソン(スウェーデン)が左肘の手術明けということで欠場。開幕戦からコーチのハイスター(オランダ)が出場する苦しいスタートとなったが、シェルベリ(スウェーデン)が2得点の活躍で勝利。シェルベリは新型コロナウイルス感染症による中断期間が明けて以降、デュッセルドルフ・マスターズ、スウェーデン・ツアーと試合を重ねており、好調ぶりをアピールした。
 今シーズンから1部に昇格したバート・ホンブルクはノイ・ウルムに敗れて黒星スタート。バート・ホンブルクは1番でツボイ(ブラジル)が昨シーズン所属した古巣から先制点を奪ったが、その後が続かず。ツボイ以外は第1節に出場したカツマン(ロシア)、シポシュ(ルーマニア)はじめ、20歳前後のメンバー構成のバート・ホンブルクだが、どこまで勝利をあげられるか。ノイ・ウルムは主軸のアポロニア(ポルトガル)が2得点、新加入のルベッソン(フランス)もブンデスリーガ初勝利をあげて白星発進。期待のシドレンコ(ロシア)も敗れはしたが、惜しい試合を展開し、ブンデスリーガ参戦2シーズン目の躍進に期待が持てる内容だった。
 ポルトガル・スポルティングからフルダ・マーバーツェルに加入したアルナ(ナイジェリア)はオルト(ドイツ)に金星を献上し、チームもストレート負け。昨シーズンは4位でプレーオフに進んだブレーメンもファルク(スウェーデン)がロブレス(スペイン)に競り負けるなど0-3の完敗を喫した。各チームとも第2節は9月27日に開催が予定されている。
  • シェルベリが苦しい開幕戦となったボルシア・デュッセルドルフを救う(写真は2019年世界選手権)

  • ノイ・ウルムはアポロニアが2得点で白星スタート(写真は2019年ヨーロッパ競技大会)

 昨週末も欧州各国では独自の国内大会が行われた。ドイツでは「デュッセルドルフ・マスターズ第11戦」として2度目の女子トーナメントを開催。前回優勝のハン・イン(ドイツ)は欠場となったが、第1シードのミッテルハムが決勝でラングを破って優勝を飾った。注目を集めたのはサウスポーのカウフマン。1回戦でツツイ(ドイツ)、準々決勝でミゴーを下して14歳にしてベスト4進出を果たした。

【デュッセルドルフ・マスターズ第11戦】
〈準々決勝〉
ミッテルハム(ドイツ) 7、10、9 シュライナー(ドイツ)
カウフマン(ドイツ) 5、-11、8、-9、10 ミゴー(フランス)
ラング(ドイツ) 6、11、8 デヌッテ(ルクセンブルク)
マテロバ(チェコ) 5、10、5 シ・チ(中国)

〈準決勝〉
ミッテルハム 8、10、8、6 カウフマン
ラング 6、5、7、-7、-6、8 マテロバ

〈決勝〉
ミッテルハム 8、9、-6、5、8 ラング


 スウェーデンでは8月中旬よりスタートした「スウェーデン・ツアー」の第2戦がハルムスタッドを舞台に行われ、男子シングルスはラーネフールが初優勝、女子シングルスではシェルベリが第1戦に続きタイトルを獲得した。24歳のラーネフールは準々決勝でイェレル(スウェーデン)、準決勝ではJon.パーソン(スウェーデン)に勝利したボウロッサを下して決勝進出。決勝では世界選手権2位のファルクを破って優勝を勝ち取った。
 第1戦では兄のアントンとともに兄妹Vを果たしたクリスティーナ・シェルベリは第2戦でも強さを見せた。決勝の相手は好調なプレーを見せて勝ち上がってきたベテランのスコウだったが、フルゲームの末に勝利。シェルベリはU21女子シングルスでも頂点に立ち、2戦連続の2冠に輝いた。

【スウェーデン・ツアー第2戦】
◆男子シングルス
〈準決勝〉
ラーネフール(スウェーデン) -9、4、-9、7、13 ボウロッサ(フランス)
ファルク(スウェーデン) 9、4、6 オーケストロム(スウェーデン)

〈決勝〉
ラーネフール -6、4、8、9 ファルク

◆女子シングルス
〈準決勝〉
シェルベリ(スウェーデン) 5、-7、12、8 ベリストロム(スウェーデン)
スコウ(デンマーク) 8、8、2 ザリフ(フランス)

〈決勝〉
シェルベリ 7、-6、-2、3、7 スコウ

◆U21男子シングルス
〈準決勝〉
フリース(スウェーデン) 7、7、6 ウィディン(スウェーデン)
ナウミ(フィンランド) 6、12、-9、9 ハウグ(ノルウェー)

〈決勝〉
フリース 9、5、-10、6 ナウミ

◆U21女子シングルス
〈準決勝〉
シェルベリ(スウェーデン) 11、8、-7、6 ハンソン(スウェーデン)
バーサン(スウェーデン) -8、10、7、-11、8 トフティカー(スウェーデン)

〈決勝〉
シェルベリ 8、2、8 バーサン


 デンマークでは国際招待トーナメント「F&Iマスターズ」を開催。デンマークのエース、グルーツがフランスから参戦のアシャールに勝利して優勝を飾った。グルーツは賞金として14,000デンマーククローネ、日本円でおよそ25万円を獲得した。

【F&Iマスターズ】
〈グループリーグ〉
プールA:①アシャール(フランス/2勝0敗)②ディアウ(セネガル/1勝1敗)③クリステンセン(デンマーク/0勝2敗)
プールB:①グルーツ(デンマーク/2勝0敗)②ラスムッセン(デンマーク/1勝1敗)③メイス(デンマーク/0勝2敗)

〈準決勝〉
アシャール 6、-10、5、-6、11 ラスムッセン
グルーツ -10、3、10、7 ディアウ

〈決勝〉
グルーツ 12、-2、11、5 アシャール

  • デュッセルドルフ・マスターズ第13戦Vのミッテルハム(写真は2019年世界選手権)

  • スウェーデン・ツアー男子シングルスを制したラーネフール(写真は2019年チームワールドカップ)

  • グルーツはF&Iマスターズで優勝(写真は2019年世界選手権)

 6月からドイツ・デュッセルドルフのARAGセンターコートにて開催されてきた「デュッセルドルフ・マスターズ」は8月21~23日にグランドファイナル(GF)を開催。

 グランドファイナルには第1~10戦までの獲得ポイント上位5名とワイルドカードによる推薦選手3名が出場。O.アサール(エジプト)、チウ・ダン、オフチャロフ、ドゥダ(以上ドイツ)、シェルベリ(スウェーデン)の5名が獲得ポイントで出場予定だったが、残念ながらオフチャロフは所属するオレンブルク(ロシア)との都合により欠場。代役としてエンゲマン(ドイツ)が出場することとなった。
 第1戦優勝のボル(ドイツ)もワイルドカードでの出場オファーが届いたが、急性胃腸炎とここ数週間の背中の痛みにより、出場を見送ることに。第9戦準優勝のフランチスカ(ドイツ)、第1戦準優勝のメンゲル(ドイツ)、21歳の左腕・ヒップラー(ドイツ)の3名がワイルドカードでグランドファイナルに挑んだ。

 試合はオープンニングからいきなりの波乱。急遽出場のエンゲマンがトップシードのフランチスカを破る金星。また、獲得ポイント数1位でグランドファイナルに乗り込んだO.アサールは準々決勝でメンゲルに完敗を喫して敗退となった。その中で優勝を飾ったのはチウ・ダン。チウ・ダンは第7戦で優勝するなどコンスタントに上位に食い込んでいたが、グランドファイナルでも安定した戦いぶりで頂点に立った。

 9月に開催予定だったヨーロッパ選手権個人戦は延期となったが、ドイツ・ブンデスリーガは9月6日に1部の新シーズンが開幕する予定。10月からはヨーロッパチャンピオンズリーグの新シーズンもスタートする。


〈準々決勝〉
エンゲマン(ドイツ) -6、9、-8、10、8、-8、3 フランチスカ(ドイツ)
チウ・ダン(ドイツ) 6、8、-9、4、12 ヒップラー(ドイツ)
シェルベリ(スウェーデン) -6、10、8、1、-9、10 ドゥダ(ドイツ)
メンゲル(ドイツ) 3、5、4、2 O.アサール(エジプト)

〈準決勝〉
チウ・ダン 9、6、6、-9、7 エンゲマン
メンゲル 5、8、7、8 シェルベリ

〈決勝〉
チウ・ダン 6、7、4、-5、4 メンゲル
  • チウ・ダンが安定した試合運びで戴冠(写真は2019年ジャパンオープン)

 8月から12月にかけて、月1回のペースでスウェーデン各地を舞台に行われる賞金付き大会「スウェーデン・ツアー」。その開幕戦が8月14~16日にかけて、スウェーデン・シェーピングで行われ、男子シングルスではアントン・シェルベリ、女子シングルスではクリスティーナ・シェルベリと、シェルベリ兄妹が揃って優勝。今回の試合には、スウェーデン代表をはじめとするスウェーデン勢に加え、フランスやデンマーク、ルクセンブルクにフィンランドなど、他国からも選手が参戦した。

 男子シングルスはファルクがエントリーするも棄権。K.カールソンも肘の故障明けとあって出場しない中でアントン・シェルベリが優勝。アントンは4試合を戦い1ゲームも与えずにV。決勝でもJon.パーソンを相手に4ゲームでわずか16点しか与えない完勝で優勝を決めた。ドイツ・ブンデスリーガでプレーするアントンは、6月から「デュッセルドルフ・マスターズ」で試合を重ねており、「他の選手よりもアドバンテージがあった」とコメントを残した。
 アントンの妹、クリスティーナ・シェルベリは決勝でヨーロッパ競技大会ベスト8のカットマン、ベリストロムにストレート勝ちを収めて優勝を決めた。クリスティーナは前日のU20女子シングルスでも頂点に立っており、見事2冠獲得。U20男子シングルスではフィンランドのサウスポー・ナウミが優勝を飾っている。

 スウェーデン・ツアー第2戦は8月28~30日にハルムスタッドを舞台に開催される予定となっている。


【男子シングルス】
〈準決勝〉
シェルベリ(スウェーデン) 8、10、8、5 ノルドベリ(スウェーデン)
Jon.パーソン(スウェーデン) 7、11、10、9 モーレゴード(スウェーデン)
〈決勝〉
シェルベリ 3、5、1、7 Jon.パーソン

【女子シングルス】
〈準決勝〉
シェルベリ(スウェーデン) 8、-9、7、-9、5、9 ベルガンド(スウェーデン)
ベリストロム(スウェーデン) 7、2、-7、8、-9、6 ヨンソン(スウェーデン)
〈決勝〉
シェルベリ 7、7、7、7 ベリストロム

【U20男子シングルス】
〈準決勝〉
ナウミ(フィンランド) 5、4、5、5 ペターソン(スウェーデン)
トルングレン(スウェーデン) 9、11、-2、-6、9、-7、10 リンドーソ(スウェーデン)
〈決勝〉
ナウミ 3、-9、6、4、-3、-8、6 トルングレン

【U20女子シングルス】
〈準決勝〉
シェルベリ(スウェーデン) -5、-7、8、11、9、5 ホルゲソン(スウェーデン)
エドヴィンソン(スウェーデン) 2、8、8、4 スカッティッチ(ノルウェー)
〈決勝〉
シェルベリ -7、5、6、6、6 エドヴィンソン
  • ドイツで試合を重ねてきたアントン・シェルベリが貫禄のV(写真は2019年チームワールドカップ)

  • こちらがクリスティーナ・シェルベリ。やはり似てます(写真は2018年世界ジュニア)

 デュッセルドルフ・マスターズは最終戦となる第10戦が行われ、ドゥダが2度目の優勝で大会を締めくくった。8月21~23日に開催されるグランドファイナルには獲得ポイントの上位5名とワイルドカードによる推薦選手3名が出場。ドゥダはすでに獲得ポイントでのグランドファイナル進出を決めていたが、今回の優勝でトップに立っていたチウ・ダン(ドイツ)を抜き、獲得ポイント1位でグランドファイナルに挑む。
 第9戦終了時点でオフチャロフ(ドイツ)、チウ・ダン、ドゥダ、シェルベリ(スウェーデン)の4名が獲得ポイントによるグランドファイナル出場を決めていたが、第10戦の結果により、O.アサールが最後の1名に決定。ワイルドカードによる出場選手は後日発表される。

〈1回戦〉
メイスナー(ドイツ) 4、-14、9、-10、-5、10、10 リンダー(ドイツ)
ムン・ファンボー(ドイツ) 6、8、5、9 ケーラー(ドイツ)
ヒップラー(ドイツ) 5、5、7、10 ホロ(ドイツ)
メンゲル(ドイツ) 5、2、4、6 シュトゥンパー(ドイツ)
エンゲマン(ドイツ) 8、9、7、4 ゼンクベイル(ドイツ)
セルヴァティ(ドイツ) 8、8、-6、5、9 ファディエフ(ドイツ)

〈準々決勝〉
O.アサール(エジプト) 8、-8、6、-11、8、8 メイスナー
ヒップラー 11、9、-7、6、8 ムン・ファンボー
メンゲル 3、10、-8、-7、6、6 エンゲマン
ドゥダ(ドイツ) 6、6、9、8 セルヴァティ

〈準決勝〉
O.アサール 6、6、6、-8、13 ヒップラー
ドゥダ 10、-9、7、-8、-4、7、5 メンゲル

〈決勝〉
ドゥダ 11、-11、-4、4、6、-6、8 O.アサール
  • 準決勝、決勝とフルゲームで勝利のドゥダ(写真は2019年ジャパンオープン)

 ヨーロッパ卓球連合(ETTU)は、9月15〜20日にポーランド・ワルシャワで開催される予定だったヨーロッパ選手権・個人戦の延期を発表。ヨーロッパではここ最近で新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増加し、一部の国では他国への渡航制限、入国にあたっての検疫が実施されているため、ETTUは理事会で大会の延期を決定した。

 ETTU会長のクレイマー氏は「選手、コーチ、スタッフ、大会ボランティアの安全は最優先事項。すべての加盟協会が参加できる大会でなければ、公平なヨーロッパ選手権とはいえない」と大会延期についてコメントを残した。
 ETTUとホスト国であるポーランド卓球協会は7月17日には大会に関する会見を行うなど、当初の予定どおり9月15日から大会を開催する方向で準備を進めてきたが、開幕の1カ月前に無念の延期となってしまった。

 ヨーロッパ選手権の代替日程などについては、9月16日に行われるETTU議会で意見が交わされる。
 ドイツ・ブンデスリーガは2020/2021シーズンの日程を発表。9月6日に開幕戦が行われ、欧州各国の国内リーグに先駆けて新シーズンがスタートする。

 昨シーズンは新型コロナウイルス感染症により、レギュラーシーズンは残り1試合を残して打ち切りに。無観客で開催されたプレーオフではザールブリュッケンが悲願の初優勝を達成した。新シーズンの日程で確定しているのは12月20日に行われる第11節まで。国際卓球連盟の試合日程が未定のため、その発表後にレギュラーシーズン後半の日程を組んでいく形となる。国際大会が再開されれば、ベストメンバーで挑めない試合も多くなるため、シーズン序盤のスタートダッシュがカギを握りそうだ。
 試合方式は昨シーズンと変わらず、5番にダブルスを置く3点先取の4シングルス・1ダブルス。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、プレーオフではダブルスが行われなかったが、新シーズンでは5番はダブルスで行うという。

【2020/2021 ドイツ・ブンデスリーガ男子1部開幕戦】
※()内は昨シーズンのレギュラーシーズン順位
オクセンハウゼン(3位)vs.ザールブリュッケン(1位)
ケーニヒスホーフェン(9位)vs.フルダ・マーバーツェル(10位)
ボルシア・デュッセルドルフ(2位)vs.グレンツァオ(11位)
ミュールハウゼン(5位)vs.グリュンヴェッターズバッハ(7位)
ベルクノイシュタッド(6位)vs.ブレーメン(4位)
バート・ホンブルク(2部1位)vs.ノイ・ウルム(8位)

 開幕戦では、昨シーズンのプレーオフ決勝を戦ったザールブリュッケンとオクセンハウゼンが対決。初の1部挑戦となるバート・ホンブルクは参入2年目のノイ・ウルムと対戦する。王座奪還期すボルシア・デュッセルドルフは古豪・グレンツァオとの戦いで新シーズンのスタートを切る。

 各チームとも選手の顔ぶれが変わったが、優勝候補は昨シーズンの1〜3位、ザールブリュッケン、ボルシア・デュッセルドルフ、オクセンハウゼンの3チーム。その中で、ザールブリュッケンがやや優位か。プレーオフでも活躍を見せたフランチスカ(ドイツ)、尚坤(中国)のツートップは強烈で、3番手のヨルジッチもエース格を食らうだけの実力はある。
 ボルシア・デュッセルドルフは大黒柱のボル(ドイツ)が健在だが、39歳という年齢もあり、出場試合を調整しながらの起用となるだろう。ワルサー(ドイツ)、K.カールソン、シェルベリ(ともにスウェーデン)、アチャンタ(インド)でカバーしていく形になるが、K.カールソンがひじの手術明けとあり、シェルベリのさらなる成長に期待がかかる。
 カルデラノ(ブラジル)とゴーズィ(フランス)が引っ張るオクセンハウゼンは、ディヤス(ポーランド)、フェガール(オーストリア)と中堅どころが移籍。ジャー(アメリカ)が加入したが、他の補強はクビクとクルジツキ(ともにポーランド)という若手2人のみでカルデラノ、ゴーズィのいずれかが欠場すると苦しい戦いになる。

 プレーオフをかけた4位争いは新シーズンも白熱しそう。昨シーズン4位のブレーメン、同5位のミュールハウゼンの他、フェガールが加わったベルクノイシュタッド、積極的な補強を見せたノイ・ウルムなどにもチャンスがありそうだ。
 昨シーズンまでケーニヒスホーフェンでプレーした及川瑞基(木下グループ)はTリーグ・木下マイスター東京へと移籍し、2020/2021シーズンにブンデスリーガで戦う日本選手はゼロに。しかし、ルベッソン(フランス/ノイ・ウルム)、アルナ(ナイジェリア/フルダ・マーバーツェル)など新たにブンデスリーガに参戦するビッグネームや、ブンデスリーガ3部のチャンピオン・デュッセルドルフからグレンツァオへ移籍し1部で戦う44歳・カラカセビッチ(セルビア)、U21の選手中心で1部に乗り込んできたバート・ホンブルクなど注目ポイントも多数。ドラマと話題に満ちたシーズンとなることを期待したい。


★2020/2021シーズン各チームのラインナップはこちら
https://world-tt.com/ps_info/ps_report_detail.php?bn=3&pg=HEAD&page=BACK&rpcdno=709#709
  • フランチスカ、ザールブリュッケンを連覇に導けるか(写真は2019年ワールドツアー・グランドファイナル)