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 ITTFワールドツアーは11月4日に最終日を迎え、女子シングルス決勝で世界ランキング7位の伊藤美誠(スターツSC)が世界ランキング1位の朱雨玲(中国)を4−0(11−3、11−3、11−5、11−8)で一蹴。見事にチャンピオンに輝いた。

 準々決勝で劉詩ウェン(中国)、準決勝で丁寧(中国)に対し、絶体絶命のピンチから大逆転勝ちした伊藤。「決勝は出足から良いプレーがしたい」という準決勝後のコメントどおり、決勝はラブオールからエンジン全開。朱雨玲が得意とするバックハンドの打ち合いで、回転量の多いバックドライブと突き刺すようなバック強打で完全に優位に立つ。ミドルへあまく返ってきたバックハンドは、大きく空いた朱雨玲のフォアサイドを切って打ち抜き、力なくフォアサイドへ来たボールは、ストレートへスマッシュで叩く。

 加えてこの試合では、ラケットをワイパーのようにスイングする、ナックル性のショートが非常に有効だった。中国では「鄧亜萍(92・96年五輪女王)の再来」と言われることもある伊藤だが、球種とテクニックの多彩さでは完全に凌駕(りょうが)している。テクニックの面では女子史上最高と言っても過言ではないレベルに達しつつある。

 鉄壁のバックハンドを誇る朱雨玲は、緩急自在の伊藤のバックハンドに翻弄され、2ゲーム目は伊藤が9−3、3ゲーム目は8−4とリードする一方的な展開。ポーカーフェイスで、対戦相手の強打も涼しい顔で返す朱雨玲の面影は、もはやそこにはなかった。4ゲーム目は伊藤の5−0のリードから、終盤はやや競り合ったが、朱雨玲は最後まで後手に回り、11−8で伊藤の勝利が決まった。

 6月のジャパンオープン以来となるワールドツアー優勝を果たした伊藤。ワールドツアーとはいえ、今大会の優勝が中国に与えた衝撃は計り知れない。その舞台がかつてはスカンジナビアオープンと言われ、伝統の国際大会である「SOC」だったことがまた痛快だ。続くワールドツアーはオーストリアオープン。今シーズン最後のプラチナイベントで、伊藤美誠は一体どこまで「化ける」のか?

※写真提供:ITTF
  • 世界ランキング1位の朱雨玲をバック対バックで圧倒した伊藤

  • 伝統のスウェーデンオープンで、圧巻のタイトル獲得