●男子シングルス決勝
木造(愛工大名電)9、-7、7、4 戸上(野田学園)
2017年インターハイ王者は木造勇人。
昨年に続き、男子シングルスを制し、今年は学校対抗・ダブルスも優勝し、三冠王となった。
決勝の相手は愛工大名電勢を4人破ってきた戸上。
両者は5月のアジアジュニアでも対戦しており、その時は木造が3−2の辛勝。今回も熱戦が期待された。
試合展開は台上での先手の取り合い。
お互いにフォア前へサービスを出し、チキータとストップで自分の有利な展開を作っていく。
準決勝までスピードのあるチキータで攻めていた戸上だが、木造のサービスに対してはやや消極的だった。木造はナックル、下回転と出し、時折ストレートへロングサービスも散らしてくる。そのため、戸上が思い切って台の中に入れない。
お互いにゲームを取り合い、1−1になった第3ゲーム。
中盤まで点数は競っていたが、後半になって木造がスパートをかけた。戸上のチキータを前陣カウンターで跳ね返し、中陣からのバックドライブも上からフォアで叩き込む。
7−7から4点連取でこのゲームを奪うと、第4ゲームは完全に木造が主導権を握り、サービスエース、3球目攻撃など、一気にたたみ込んだ。
7−0、9−1まで点数が離れ、最後は長いラリーを制して、木造は力強くガッツポーズ。
坪井勇磨(青森山田)以来、4年ぶりの三冠王の誕生だ。
「三冠王は狙っていたけど、一番は団体戦。シングルスは負ける覚悟をして臨みました。大会序盤、思うようなプレーができなくて、2日目に足を負傷したし、調子がもってくれるか不安でした。その中でも自分の勝負強さが出て、最後の1・2本が取れた。決勝も相手のサービスに苦戦して、それに対応するかがカギだった。そこをなんとか乗り越えられました。
戸上はチキータをしてくると思ったので、それをどうするかが重要。最後の最後で対応できて、自分の思うようなプレーができました。
2年前のインターハイ、ぼくが1年生の時。準々決勝、準決勝、決勝と青森山田の選手と対戦して、最後に三部さんに負けた。あの時とは逆の立場です。戸上は名電の選手を3人倒してきてますから。プレッシャーもあったけど、そこで勝つのがチャンピオンだと思って、絶対に勝ちたかった。
2年前、ぼくは青のウェアを着て負けているんです。だから今回、決勝は青を選んだ。これで勝って、リベンジしてやる。勝てて良かったです」(木造)
普通ならば一度負けたウェアはジンクスとして避けるが、木造はあえてトラウマを払拭しにいった。かつての青森山田のように追われる立場となり、プレッシャーの中でチャンピオンの座を守った木造。
「高校のタイトルは全部獲ったので、悔いはありません。シニア、世界で勝てる選手になりたい」(木造)
木造の卓球人生において、インターハイチャンピオンは未来へのステップのひとつにすぎない。