通じていない注意

言葉が不適切なために相手に届かない注意の典型的なものが「前向き駐車」だ。

これは駐車場に停めるときに、前進したまま停止する止め方のことだ。住宅地や公園などでこの注意書きが見られるのは、駐車場に隣接する住宅や樹木に排気ガスかかるのを防ぐためなのだが、この「前向き駐車」という言葉が問題なのだ。意味が通じていないのだ。

まさか精神的な意味の前向きととらえる人はいないにしても、車に乗ってすぐに出られるように前を向けて停めるという正反対の意味に解釈する人が半分くらいいるのだ。そもそも何に対して何が前なのかがわかりにくい言葉なのだ。

もちろん自動車学校などしかるべきところではちゃんと知る機会がある言葉なのだが、そういう正論を言ってみたところで仕方がない。現実にわからない人が多いのだからその人たちにわからせる方法を考えるしかないのだ。

私はこれは絵で示すしかないと思う。そうすれば注意書きを守る人は劇的に減るだろう。なにしろ半数の人は注意書きを忠実に守っているつもりで逆に停めているのだから。

ちなみに、アメリカの私が赴任していた地域では、アメリカ人全員が前向き駐車であり、後ろ向き駐車をするのは日本人赴任者だけであった。そういう文化なのだ。それとは関係なく私はいつでもどこでも前向き駐車だ。出るときに出やすいようにという考え方が何かセコイような感じがして嫌だからだ。もっとも自宅の駐車場は極端に狭いので後ろ向きじゃないと入らないのでしかたなく後ろ向き駐車をしている。

フラッシュ問題の補足

フラッシュ問題について、コメント欄に「場内アナウンスはちゃんと赤い光についても観客に注意を促していた」とのご指摘をいただいた。私はその認識がなかったので、さっそく女子シングルス決勝の映像を確認してみた。その結果、

第1ゲーム

1-2 平野 西側アリーナ席を指して抗議 場内アナウンス なし

第2ゲーム

0-0 平野 南側アリーナ席を指して抗議 場内アナウンス なし

2-4 平野 南側アリーナ席を指して抗議 場内アナウンス フラッシュについてのみ

2-7 平野 南側アリーナ席を指して抗議 場内アナウンス なし

2-7 平野 南側アリーナ席を指して抗議 場内アナウンス 撮影禁止

 

という経過だった。赤い光についても注意をしたとすればそれは試合が始まる前に観客にカメラチェックをしたときだろう。もちろんこの時点でちゃんと対応しなかった観客が間抜けではある。

 

私が記憶に残っているのは、第2ゲームで2-4になったときにフラッシュのことしかアナウンスしなかったことだけであり、それをもとに先の意見を書いたのだが、よくよく考えてみると、そのときに光っていたのは本当にフラッシュであったかもしれない。私が光に気がつかなかったためにフラッシュではないと思い込んでいたのだ。もしフラッシュが光っていたのならアナウンスがフラッシュのことだけ言うのは当然で、これ以上どうしようもなかったことになる。

 

そもそも「フラッシュを焚くなと再三アナウンスされた」という表現も間違っていた。

 

いずれにしても、不確かな情報と思い込みをもとに批判的なことを書き、大会運営の方々に不快な思いをさせてしまったことをここに深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。以後、慎重に書きたいと思います。

全日本決勝のフラッシュ問題

全日本の女子シングルス決勝で、観客席からのカメラの光によって特に平野美宇の集中力が乱され再三クレームをする場面が見られた。

「カメラのフラッシュを焚かないでください」と再三アナウンスがされたが、それでも2度3度プレーは中断され、最後には一切の写真撮影が禁止されるという非常事態となった。

「心無い観客のために決勝に水を差す形となった」と報道されているが、実はその観客にも同情すべきところがあった。彼らはフラッシュを焚いていたわけではないからだ。平野が気にしたのは、フラッシュを焚かないモードのときに、被写体との距離を測るために出る赤い光だったからだ。だから「犯人」の人も自分は絶対にフラッシュを焚いていないと思っていたし実際に焚いてはいなかったのだ。

もちろんこの赤い光は出ないように設定することが可能だが、カメラに疎い人なら難しいだろう。しかしカメラを自分の方に向けてシャッターを押してみれば光っていることはすぐにわかる。設定の方法がわからないなら撮影を止めればよいだけのことだ。

しかし平野が問題にしているのがフラッシュではなくその赤い光であるということがわからなかったら対処のしようがない。おそらく犯人も自分以外の心ない人がフラッシュを焚いているのだと憤っていたに違いないのだ。

アナウンスが一言「フラッシュもだめですが、フラッシュを焚かないモードにしたときに出る赤い光も駄目ですのでカメラを自分の方に向けて赤い光が出ていないことを確認してください」と言えばよかったのだ。私もカメラ操作を止めて本部に言いに行かなかったのが悔やまれる。

言葉が間違っていればこういうすれ違いが起こるのだ。よくある失点したときの「ため息禁止」もそうだ。失点した時に「ため息」をついている観客はおそらく一人もいない。選手のやる気をそぐから止めてほしいのは「ため息」ではなくて「あー」という落胆した歓声なのだ。歓声を出している人に「ため息」を禁止をしたって効果があるはずがない。実際、「ため息禁止」を主張している人たちでさえ問題の声を発するのを何度も聞いている。会場で問題になっている音が、実は自分の声で構成されていることに誰もが気づいていないのだ。

それは言葉が間違っているからだ。

・フラッシュと、フラッシュを焚かない時に出る赤い光も禁止

・「あー」という歓声禁止(あー以外の声では落胆の音を出しにくいため)

たったこれだけの説明をするだけで事態は大幅に改善される。

べらぼうとブラボー

テレビで映画を見たら内容はつまらなかったが映像だけは綺麗だったので、次男に「映像だけはべらぼうに綺麗だった」と言うと、次男「べらぼうってブラボーのこと?学校の先生も良く言うけど」だと。

「ブラボーに綺麗」だと思っていたわけだ。そんな誤解初めて聞いた。

世代の違いか知性の違いかどちらだろうか。

もっともこの次男、サザエさんのカツオが「うっかり風邪も引けないね」と言ったのを聞いて「そんなこと言う小学生いるかよ」と大笑いしていたので、なかなか良いところに気がつく奴ではある。

全日本の有料サイト開始!

卓球王国で初めて有料のサイトが立ち上がった。1月11日から始まる全日本選手権の速報サイトだ。有料サイトは初の試みとあって、かなり力が入っている。かくいう私も「書け」との要請ですでに「選手と審判の攻防」「卓球選手における左利き」をアップ済みだ。

14日からはDVD『ザ・ファイナル2016.1』の現場監督のため会場入りする(もちろん仕事を休んでだ!)ので、その裏話も書くことになる。

少なくとも1日に一度は記事を書いていくつもりなので、ぜひ登録をお願いします。

料金は期間を通して閲覧できて、たったボール1個分の360円です。

https://dev.world-tt.com/ps_info/ps_report_sokuhou.php?bn=168&md=1

正月のOB会

毎年1月2日には高校の卓球部のOB会があるので、今年も参加してきた。昼の部では高校の練習場で現役やOBたちと試合をし、夜の部では居酒屋での飲み会となる。

試合は負けたが、そのあとにカットマンの後輩と練習をし、力を抜いて振るドライブのコツを掴んだ。この1年でもっともよい練習だった。やはりドライブを習得するのにはカットマンとの練習が最良だ。

夜の飲み会では『ようこそ卓球地獄へ』にも取り上げた、私の持論を証明するためにヘトヘトになるまで腕立て伏せをやらせた2つ下の後輩、長岡と話した。こやつ、卓球でも何でも飄々と妙なことを主張するので「お前、まわりからバカって言われないか?」と聞くと、やはり奥さんから「バカボケ」と毎日言われるという。

特にバカだと言われるのが、仕事があまりにも好きなことだという。薬品関連企業の事業企画をやっている社員なのだが、仕事が楽しくてたまらず、日曜ともなると月曜が楽しみで仕方がないのだという。病気もまったくせず休暇も一日もとらないのだが、来年度からは厳しくなって必ず5日休ませられるのが残念だという(本当にバカなのではないだろうか)。

さすがにそれだけ仕事が好きだと出世もするらしく、担当部長だという。なんと幸せな男だろうか。満面の笑みを見ているとこちらまで幸せになってきた。こんなことならもっとしごいておけばよかった。

二次会に行く途中でなんとも味のあるスナックの貼り紙を見つけた。〇子とはいったい何だろうか。募集しているのが男性でも女性でもよいという意味だろうか。不思議だ。

似顔絵はいいが、こんなにも覇気のない店主のいる店に客が入るのだろうか。

花巻東のカットマン

なんと、Yahoo!のトップニュースに「花巻東のカットマン」について報じられていた。カットマンも随分と有名になったものだ。

と、喜んでクリックしてみると、なんと卓球のタの字もなく、単なる野球ではないか。まったく人をバカにしている。

この誤報に胸をときめかせた卓球人が日本に何十人いたと思っているのだ!(どうせ卓球のことじゃないとわかってたけどな)。

どこが「中継」だ!

中継のことを生放送の意味だと思っている人が多いが、字を見ればそんな意味であるわけがない。「中継ぎ」なのだから、何かと何かの間をつなぐような意味に決まっている。

中継とは撮影現場で撮影された映像などを現場の近くに設置した機材など(通常は中継車)で放送局に送ることを言う。カメラからの映像を放送局に送るための中間点だからこそ「中継」なのだ。

だから「生中継」はカメラからの映像をリアルタイムで放送局に送ることだし、中継点で録画したものを後で放送する場合は「中継録画放送」だ。カメラで録画したテープを後で放送局に持って行って編集してから放送するのは「収録放送」となる。

さて、最近ではインターネットが発達しているので、個人が現場から映像やコメントをリアルタイムでネットに配信することが普通に見られるが、これを「実況中継」とか「生中継」と称するのは間違いだ。

どこに中継ポイントがあるというのか。インターネットでは直接公共の場に情報を提示できるのだから中継など要らない。正しくは「生配信」とか「実況アップロード」と言うべきだ。

「生中継」という言葉で即時性を表すのは「生」の方なのに、そのあとにつく「中継」をその意味だと思っているのだ。ちょうど「携帯電話」の「携帯」が電話のことだと思い、家の固定電話や公衆電話まで携帯と呼ぶようなものだ。「この辺に公衆携帯ありませんか?」ってなものだ。

当然、テレビ局の人にとってはこれは純然たる技術用語だから間違えようがないはずだが、昨夜のオカルト番組で、現場からインターネットに生配信することを「生中継」と表現していた。

UFOよりも「どこが中継なのか」を問い詰めてやりたい気持に駆られたのは私だけだろうか(まあそうだろうな)。

中継が生放送の意味だという誤解が広まった原因ははっきりしている。昔から「この放送は現場から実況生中継でお送りしております」と中継の意味もわからない視聴者に言い続けていたからだ。中継とはテレビの放送のやり方を表す技術用語であり、本来視聴者には必要のない情報なのに、説明もなしに中継中継と言うもんだからそのうち生放送のことだと誤解されたのだ。

テレビ局にはこの誤解を広めた責任をとってもらい、ネット生配信を「中継」と言っている輩に対して「どこが中継点ですか?」としつこく問いただし「中継が要らないのがインターネットなのです」と正しい情報を流布してもらいたい。

さらば、キング・クリムゾン

今日は渋谷のオーチャードホールというところに伝説のブログレッシブロックバンド、キング・クリムゾンのライブを見に来た。

ところがなんと、入場券を仙台の家に忘れた来たことに今朝気づいたのだった。それで、いろいろと手を考えたのだが、結局、入場券を家からスキャンして送ってもらったものを紙に印刷し、それと運転免許証を証拠に入れてもらおうとしたのだが、なんとこれがダメの一点張りで、結局入れてもらえず、15,000円が無駄になってしまった。

「絶対にこの席は空いているはずだ」と言っても「席を見に行くスタッフがいない」と言われた。開演からすでに40分も経っていて入り口付近には客は一人もおらず、スタッフが数人いる状態なのに、見に行ける人がいないというのだ。スキャンして送ってもらった入場券には、私の住所氏名、クレジットカードの番号と有効期限、電話番号などが書いてあり、いずれも私のものであることを証明してみせたが、とにかく入場券以外はいかなる物も証拠にならないと言われた。

どうにもならないのであきらめて当日券を買う決心をしたが、なんと売り来れだった。うむむ、誰が見に来るんだクリムゾンなんか。

それで、このライブを見に来ている大学時代の友人と、ライブが終わったら飲むことになっていたので、ライブが終わるまで近くのコーヒー店でこのブログを書いているというわけだ。

それにしても、ライブがあることはわかっていてそれを楽しみにして昨日から東京に出張に来ていたのに、入場券のことだけは一度も思い出さなかったのが不思議だ。一ヶ月以上も前に買ってさんざん確認していたのでかえって安心してしまったのだ。つまり、準備が良すぎて失敗したとでも言えようか(笑)。

妻からは「度重なる物忘れによる失敗のいい薬になっただろう」というようなことを言われたが、悔しいので反省はしない。誰の迷惑にもならなかったのだから、入場券を忘れてライブを見られなくてもそんなの俺の勝手だ。くそう。

今後も大事な物を思いっきり忘れてやろうと思う。

ロックコンサートなど難聴のリスクが増えるだけだし、会場はどうせハゲオヤジばかりに決まっている(私がその証拠だ)から、そんなところに行かなくたっていいのだバカバカしい。おかげで渋谷の喫茶店で『奇天烈逆も~ション』の原稿をじっくりと書けるではないか酸っぱい葡萄。

噂によれば、クリムゾンの来日はこれで最後だという。

さらばだ、キング・クリムゾン。

飲み屋の人間模様

先週、出張の帰りに時間があったので、ときどき入る仙台駅前のバーに入った。駅の近くなのでときどき入るのだ。大抵はひとりで黙って飲むのだが、先週は右隣に座っていた酔っ払ったサラリーマンに話しかけられた。

「そちらのお父さん、カッコいいですね、好きです」

ときた。「お父さんか」と苦笑しながら話を合わせていると、なかなか魅力的な奴だ。営業マンだという。顔が色黒でワイルドなもみ上げがどことなく坂本龍馬とか勝海舟を思わせる。「ここいらの人じゃないですね。九州かどこかの方ですか」と聞くと「ええ。私、仙台が大好きになりまして。一生ここに住もうと決めてるんです」と上機嫌だ。それでどこの出身か聞くと「岩切です」ときた。仙台市内じゃないかそれは。

こういうどうにもとぼけた男で、今度は「私、この人を尊敬してるんです。この人のようになるのが目標です」と隣に座っていた所長だという上司を持ち上げ始めた。

上司は酔っておらず冷静に私と話したのだが、なんとその上司は隣のお調子者の部下を指して「私、こいつをぶん殴ったことがあるんです」と言った。「こいつ、人の話を聞かない奴だなと思ったら急に殴りたくなったんですね」と言う。

どういう状況だったのか聞くと、2年前の忘年会のとき、隣の席にいた「こいつ」に話しかけたところ、聞くどころか全然あらぬ方向を見ていて完全に無視だったから殴ったのだという。「私は短気な人間じゃありませんし人を殴ったこともないんですけどね」と言うが、そんなことで人の顔を拳で殴れるものだろうか。

さすがに殴ったことで自己嫌悪に陥り、気分の悪い正月を過ごしていると、殴った男から電話がかかってきた。「辞めます」と言われるかとビビったが「済みません、スノーボードで足を折ってしまいまして、しばらく休まなくてはならなくなりました」という連絡で「これで差し引きゼロだな」と思ったという。うむむ、男だ。

お調子者の部下がトイレに行ったきりずいぶんと帰ってこないと思ったら店員が「帰ると言っていましたよ」とのことだ。なんたることだろうか。私にも尊敬している所長にも一言の挨拶もなく帰ってしまったのだ。もう一発殴った方がよかったのではないだろうか。

帰ってしまったお調子者は、私の左隣の青年をも巻き込んで乾杯やら肩組みやらをしていたので、所長が帰った後、自然と私はその青年と話すことになった。

聞くところによると青年は38歳でバツイチで両親と住んでいるという。「私の人生はこの後どうなるのかと心配です」とかなり暗い感じだが口調がユーモラスなのが、申し訳ないが面白かった。

リハビリ関係の仕事をしていて月給は20万円ほどだが、そのうち22,500円を毎月女性のいる店で使っているという。「給料の10分の1以上をそれですか!」と言うと「そうなんですよー、でも仕方ないんです」と困っている。

終電の時間になったので帰ろうとすると「なんで帰るんですか!もっと話聞いて下さいよー」とせがまれた。正直、聞きたがったのだが、何しろ1週間も出張だったのでこれ以上の放浪はまずかろうと思い、将来の再会を約束して店を後にしたのだった。人間模様である。

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