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速報・現地リポート

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全国高校選手権(インターハイ2019)

インターハイ最終結果

男子学校対抗
優勝:愛工大名電(愛知)
準優勝:野田学園(山口)
3位:遊学館(石川)、鶴岡東(山形)

女子学校対抗
優勝:四天王寺(大阪)
準優勝:遊学館(石川)
3位:明徳義塾(高知)、萩光塩学院(山口)

男子シングルス
優勝:戸上隼輔(野田学園)
準優勝:篠塚大登(愛工大名電)
3位:谷垣佑真(愛工大名電)、新名亮太(明徳義塾)

女子シングルス
優勝:出雲美空(遊学館)
準優勝:岡田琴菜(明徳義塾)
3位:庄易(富田)、浅井一恵(桜丘)

男子ダブルス
優勝:戸上隼輔・宮川昌大(野田学園)
準優勝:加山裕・曽根翔(愛工大名電)
3位:蘇健恒・日置希音(学館浦安)、藤木大輔・手塚崚馬(明徳義塾)

女子ダブルス
優勝:大川真実・本井明梨(四天王寺)
準優勝:高田菜々美・岡田琴菜(明徳義塾)
3位:桑原穂実・川北帆香(正智深谷)、黒田さくら・木塚陽菜(済美)

詳しい結果、報道は卓球王国11月号(9月21日発売)に掲載予定です。
たくさんの写真満載でお届けします。お楽しみに。
ベンチで戸上を支え、優勝後は涙も見せた橋津監督のコメント。
昨日の団体戦で負け、落ち込んでいた王者を生き返らせた裏には魔法の言葉があった。

「篠塚はすごいですね。本当にすごい選手です。(戸上)隼輔は篠塚に選考会で負けている。(2017世界ジュニア選手権1次選考会) 負けた経験があるから、相手が強いというのはわかっているので、1ゲーム目をとれなかったのは苦しいなあと思った。しつこくミドルにストップして、打てるボールがあったんですが、気負っちゃいましたね。とにかく篠塚のバックにボールを集めたらそこから振り回される。フォアに先に打って抜けと、そこから打ち合いにもっていくようにした。でもそれ以上に隼輔の台上が良くて、ストップがかなりの精度がありました。だから途中から隼輔に任してもいいのかなという感覚がありましたね。

お互い同じような戦術でした。王道の戦術、戦い方でした。サービスをフォア前に集めて、ロングをちらつかせる。こっちは先にフォアを振りたいし、篠塚はバックサイドのクロスの展開にしたい。その展開に持ち込む奪い合いだったけど、正直篠塚のほうができていたので苦しい展開でした。

とにかく下回転でブッツリ切るか、横下回転を出す。隼輔の横下回転が結構曲がるんで、左利きに対してチキータ封じができる。
篠塚が出すフォアサイドを切るサービスに対してミスしていたから、もう乗っけて入れようと言いました。とにかく入れないことには始まらない。篠塚のサービスもすごくて、取れないんじゃないかと思うくらいの精度だった。でも篠塚もビビっていたからロングサービスが絶対来るからとベンチで言っていたけど、それもラリーでネットイン、エッジで入ってしまったから苦しかった。

隼輔は今回あまり練習をしてこれなかった。体の調子が悪くて、この1ヶ月はいつもの半分くらいでした。あとは気持ちの部分だけ。昨日の夜、部屋で一緒に話をしました。どういうつもりで臨んでいくのか。
隼輔はいつも負ける時は止まってしまうんです。11本目が見えた時に止まってしまう。だから吹っ切って駆け抜けていけと言いました。脳科学的に11本目のゴールが見えた時にブレーキをかけてしまうと、今までの精度が落ちるみたいなので、そういう話をしました。
決勝の前にも、もっともっと大きな舞台でやらないといけないんだからインターハイの決勝戦は吹っ切って駆け抜けていけと。
昨日の団体戦はああいう形でいつものパターンで止まってしまった。今まで何回もこの悪い考え方というか、思考によってプレーを止めちゃっている。加山戦の10−5で止まっていましたね。選抜で曽根くんに負けた時もそうでした。よくあるんです。止まるんですよ。それは隼輔だけじゃないんですけど、良くない癖、習慣があって、そういうのが何回もあるんです。

試合前にも話したけど、昨日も話して、駆け抜けよう!と話し合いました。本当は昨日の団体戦で頑張りたかったですね。団体戦の優勝は遠いんですよ、何が足りないんだか考え直します。

完全燃焼? できました!」
 女子シングルスで初優勝を飾った出雲美空。バック面に変化系の表ソフトを貼る左シェーク異質攻守型。今大会、大いに威力を発揮したのはそのサービスだ。コートサイドで見ていても、ラケットの動きがよくわからないほどスイングスピードが速い巻き込みのアップダウンサービス。アップ(上回転)系を中心に出しながら、下回転のロングサービスを効果的に織り交ぜてミスを誘い、試合の主導権を握った。

 ラリーになるとバック表ソフトの変化と,ナックル性になるフォアのフラット打ちをうまく生かしながら、前後左右に相手を動かす。大会を通じて、出雲が動かされるラリーよりも、対戦相手が振り回されるラリーが圧倒的に多かった。チャンスボールを冷静に見極めながら、打つと決めたボールは果敢に打つ。シングルスの勝ちっぷりは見事なものだった。以下は出雲の優勝コメント。

「学校対抗で2位だったので、優勝できて良かったです。準々決勝の顧さんとの試合は2−1で負けていたので、思い切って向かっていくだけだなと思って戦って、勝つことができて良かった。準決勝の浅井さんとは、何度も試合をしたことがあって、ほとんど負けたことはないんですけど、今回は全国大会でちょっと緊張していて、最初はうまくいかなかった。最後のほうは自分のプレーができました。

 シングルスでは決勝に行ったことがなかったので、決勝は自分の力を悔いのないように出し切ろうと思って試合をしました。相手の弧線の高いボールを、自分の持ち味のスマッシュで決めていこうと思っていた。大会を通じて良かったのは、サービスで相手を崩して、3球目で決められたところですね」(出雲)

 ラリー間は飄々(ひょうひょう)とした表情。プレーに入っても体はリラックスした状態だが、打球の瞬間だけキュッとスイッチが入る。優勝の瞬間にも大きなガッツポーズはなかったが、そのプレーは女王の名にふさわしいものだった。
●男子シングルス
戸上(野田学園) −10、9、6、−7、9 篠塚(愛工大名電)

令和最初のインターハイチャンピオンは戸上隼輔。
昨年に続く2連覇で戸上が高校王者の座を守った。ペンチで涙を流し、戸上を支えた橋津監督も涙をこらえられず。最後の最後に完全燃焼してインターハイを終えた。

試合の展開はサービス・レシーブの攻防に尽きるだろう。
お互いに戦術は同じで、フォア前へのサービスを軸に、ミドル、ハーフロング、ロングサービスを混ぜていく。ストップで相手の強打を封じ、ストップ対ストップで甘くなったところを狙っていく両者。そのサービスの配分、ストップの質が勝負だった。そのため派手なラリーはほとんどない。

1ゲーム目は篠塚が逆転で取り、2ゲーム目は戸上が逆転で取り返す。
レシーブに両者がチキータを混ぜることもあるが、基本的にはストップが主体。ゲームが進むごとにサービスの回転になれて、質の高いストップの応酬となる。
「いつロングサービスがくるんだ?」と両者の心理戦の攻防だった。

お互いにゲームを取り合い、勝負は最終ゲームへ。
戸上がロングサービスで4−1とリードしたところで、篠塚がタイムアウト。台上から攻めていかないと勝てないと踏んだのか、次のボールは台上バックハンドからの連続ドライブで得点した。

6−2の場面で、篠塚が相手のフォアサイドに曲がって出るサービスに変更。ストップにいきたい戸上は判断を誤り、台から出たボールをループドライブしたが、反応が遅れたためかミス。このボールに活路を見出した篠塚は、ここからサイドへのサービスを多様し、点を量産する。

しかし、戸上のサービスもこの土壇場で抜群の切れを見せる。
6−4でぶっつり切った下回転でエースを取ると、次はロングサービスでエース。8−6でもロングサービスで得点するなど、まさに戸上のプレーはサービス力に支えられている。
本人も「サービスの調子が良かった」と語るように、低く鋭く切れている戸上のサービスは、レシーブの角度を間違えれば即失点に繋がり、チキータで狙いにいくのも難しい。
篠塚のネットイン、エッジもあり、10−9まで追いつかれたが、最後は篠塚のチキータをバックにカウンターブロック。篠塚のバックハンドがネットミス。
激戦に終止符を打った。

両手をつきあげた戸上。「ぼくが昨日、負けてしまって、みんなの目標だった団体の優勝を潰してしまって、それが悔しくて、みんなに喜んでもらいたくて優勝できてよかったです」と涙のコメント。

今年もシングルスの優勝カップは野田学園に持ち帰った。
●女子シングルス決勝
出雲美空(遊学館) 6、5、7 岡田琴菜(明徳義塾)

女子シングルス優勝は出雲美空!
最終学年でついに初優勝!

出足からサービス・レシーブで完全に優位に立ち、1ゲーム目を11−6で先取した出雲。2ゲーム目も出足から5−0とリードを奪う。出雲の巻き込みサービスのスイングは非常に早く、アップ(上回転)サービスをガンガン出してから広角に攻め、岡田を振り回した。「出雲さんのサービスをうまくレシーブできなかった。特に短く来たサービスに対してはしっかり払っていくべきでしたが、合わせるレシーブになって3球目で狙われてしまった」と試合後に岡田は語った。

緩急をつけた両ハンドで、ここまで接戦を制してきた岡田。しかし、出雲のバックハンドのピッチの早さとストレートへの両ハンド攻撃は、その緩急を許さない。フォアに回したボールに対し、フラットに叩く出雲のミート打ちも効果的で、岡田が合わせたところにすかさず強打が飛んだ。3ゲーム目は中盤で岡田も挽回し、「点の取り方が少しずつわかってきた」と語ったが、出雲に押し切られた。

昨年は優勝した野村萌(愛み大瑞穂高・現デンソー)に準々決勝で惜敗し、ベスト8だった出雲。今大会は学校対抗のシングルスで5戦全勝、個人戦のシングルスでも7戦全勝。独創のサウスポーは圧巻の勝ちっぷりで、新女王の座に就いた。
●女子シングルス準決勝
岡田(明徳義塾) −4、11、6、−10、6 庄易(富田)
出雲(遊学館) −6、9、14、10 浅井(桜丘)

女子シングルス準決勝を勝ち上がったのは、遊学館3年の出雲美空と明徳義塾2年の岡田琴菜!

出雲は浅井に対し、中盤からフォアサイドへボールを集め、バック粒高で変化をつけさせなかった。コースを変えられてもすぐに浅井のフォアサイドへボールを戻し、チャンスボールはドライブや思い切りよく叩くスマッシュで得点。浅井としては10−8でゲームポイントを奪った3ゲーム目を取りたかったが、出雲のプレーは粘り強かった。

「出雲さんとはもともと同じチーム(ミキハウスJSC)でやっていたし、国体少年の決勝でも当たっていて、0−3で負けていた。今回は前よりは良い試合ができたかなと思います。バックへロングサービスをうまく使って、攻める時はミドルを狙う作戦。相手にはフォアにボールを集められていたけど、バックを使いたいというのが頭にあって、フォアへの対応が遅れてしまった」(浅井)

一方、岡田は弧線の高いバックドライブを効果的に使った。準々決勝で対戦した川北(正智深谷高)が、「思った以上にゆっくりしたプレーで、こちらが焦ってしまった」と語った緩いバックドライブを、バックサイドを切るコースに集め、ミスを誘った。粘り強く両ハンドを打ち続け、ガッツポーズを決めた庄の躍進はここでストップ。「大会前はベスト16に入れたらと思っていた。ベスト4というのは自分でも信じられないです」とコメントした。
●男子シングルス準決勝
戸上(野田学園) 5、8、8 谷垣(愛工大名電)
篠塚(愛工大名電) 8、6、6 新名(明徳義塾)

決勝のカードは戸上vs篠塚。
それぞれ準決勝をストレートで勝利し、決勝に駒を進めた。
戸上はサービス・レシーブで谷垣の早い攻めを封じ、つないだボールをカウンターで打ち込んで完勝した。
「最初から戸上さんが攻めてきて、こっちの攻めを封じるようなサービス・レシーブで難しかった。先に攻めれても戸上さんが常に待っている。やられましたね。途中から待たれないように揺さぶったけど、前陣でも後陣でもボールをとられて、1本1本のラリーが長く感じました。
次にやるまでには、足の動きや判断力など基礎能力を高めたい。そして技術力も上げて挑みたいです。
今大会は大きな自信になりました。1年生でベスト4はなかなかできない経験です」(谷垣)

もうひとつの準決勝、篠塚は緩急織り交ぜたプレーで新名を揺さぶってストレート勝ち。
新名をフォアに大きく動かし、バックを狙う。両サイドに振り回す基礎的な戦術だが、その質が高い。打球点、コース取り、どちらに来るのかわからないバックハンドで新名を手玉に取った。
「自分の弱点を徹底的に攻めてきて、それに対応できなかった。全中選抜の時もやっていたけど、その時も負けていた。
 結果的に言えば、自分でもびっくりな3位です。目標はベスト16だったので、正直ここまで来られると思っていなかった。台上をもっとうまくして、来年も頑張りたい」(新名)

王者・戸上はドンと構えて決勝へ。連覇か、それとも篠塚が堅陣をぶち破るのか。
パワーのある戸上に対して篠塚がどう攻略していくのか、その思考が見えるであろう決勝が楽しみだ。
●女子シングルス準々決勝
庄易(富田) −5、8、8、−8、11 船場(明徳義塾)
岡田(明徳義塾) 7、3、10 川北(正智深谷)
出雲(遊学館) 9、−8、−9、5、5 顧琳婧(桜丘)
浅井(桜丘) 5、9、−6、7 出澤(大成女子)

女子シングルス準々決勝、最も注目された出澤対浅井戦は、浅井が勝利!
直近のベトナムオープンでは、出澤が勝利していたこの対戦。フォアの攻撃力も高い浅井だが、1ゲーム目からロビングを交えた守備主体のプレーに、バックの粒高カットの変化を加え、出澤を揺さぶる。出澤も台上で2バウンドするストップで得点するシーンはあったが、出澤の連続スマッシュにも浅井のカットはミスが出なかった。

「1・2ゲーム目、浅井さんはあまり攻撃してこなくて、すごくやりづらかった。私は打つのが苦手なので、そこをうまく突かれた」。試合後、言葉少なに語った出澤。優勝に懸けた強い想いが伝わってきたが、浅井の作戦勝ちという内容だった。

出雲はカットの顧にゲームオールで勝利。中国・天津出身の顧は、守備範囲の広さとフォアスマッシュを武器に対抗したが、最終ゲームは出雲がスマッシュを連発して突き放した。「もっと上に行きたかった、来年頑張ります」(顧)。

庄易対船場、岡田対川北のブロックは右シェーク裏ソフトの選手が集まった。庄易は船場との闘志と闘志のぶつかり合い、両ハンドの激しいラリー戦となったが、マッチポイントを奪われながら逆転勝ち。岡田は独特の構えのサービスで川北のミスを誘い、3ゲーム目も9−10から12−10と逆転で一気に勝負を決めた。
●男子シングルス準々決勝
戸上(野田学園) 6、1、7 曽根(愛工大名電)
谷垣(愛工大名電) 6、8、−5、−7、4 加山(愛工大名電)
新名(明徳義塾) −11、8、−6、8、7 阿部(希望が丘)
篠塚(愛工大名電) −7、8、1、8 手塚(明徳義塾)

昨日の悔しさを晴らすかのように、戸上のプレーが加速している。
曽根の強打を上からミスなくカウンター。打ってもさらに上からこられるので、曽根は打球点をどんどん落とさざるを得なかった。そこを狙いすましたカウンターでさらに上から叩く戸上。何をやっても点が取れない、為す術なく敗れた曽根は悔しさをにじませた。
「最初はうまく入らなくて、ボールがクロスに集まってしまい、それを狙われてしまった。コースを変えても、点が離れてしまって、対応、修正が最後までできなかった。1ゲームも取れなかったのは実力差がある」と曽根。やりきれない悔しさは目に溜まった涙が物語っていた。

同士討ちとなった谷垣vs加山は中陣からのラリーで得点を重ねた谷垣が勝利。
加山もサービスとカウンターで食らいついたが、オールラウンダー谷垣を最後に崩せず。
「押し切られました。相手を下げたのに甘いボールを送ってしまい攻めきれなかった」(加山)

明徳義塾はエースの手塚が敗れたが、1年生の新名亮太がベスト4入り。
わかりづらいサービスとドライブ、そしてミートが抜群にうまい。阿部に打たれても、バックミートで押し返し、台から下げさせた。
次の相手は篠塚。飄々とした天才に冷や汗をかかせられるか。
 インターハイ・ウェア特集、その2。出場した選手たちの中から、個性が光るウェアを集めてみました。晴れの舞台で身に纏(まと)う、勝負の一着をご覧あれ!