ラバーはゴムだ。
熱を加えることで軟らかくなり、食い込みがアップする。
食い込みの良いゴムは弾む! それは当然だ。
そこに着目したラバーウォーマーは
ラバーを効率良く温めるマシーン
気温が低くて ラバーが飛ばない!
と感じたことがある人は多いはず。
「は〜、は〜」とラバーに息を吹きかけたり、懐に入れて温めたり、ホッカイロを貼るなど、いろいろな対策がされてきた。
でも効果はイマイチ
今回は科学的な検証にて
なぜ「イマイチ」だったのかを分析しよう。
ラバーウォーマーをセットし、温度の上昇&放熱を解析。
ウォーマー 加熱
ウォーマー 放熱
このグラフは
上がラバーウォーマーをセットしてからの温度の上昇
下がラバーウォーマーを外してからの温度の低下
ラケットの様々な場所での温度を測っているが、
重要なのはラバーの中央&表面とラバー上
つまり紫と赤のラインだ
ウォーマーを起動後、
30 〜 50 分でほぼピーク同等の温度(50°C)
に上昇し、
10 〜 15 分で低下
その後は 20 〜 30 分で常温に近い温度まで下がっている。
卓球の 1 試合は 5 ゲームズマッチで 15 〜 20 分程度と言われています。
つまり、1 試合なら効果が持つ!
どんなに長い試合でも、1 ゲーム目は効果抜群で試合ができる。
体は冷えてても、ラバーは完璧なスタートダッシュを決めてくれる!
そして 2 ゲーム目以降は、自分の体が温まってくるせいか、意外とラバーの極端な性能低下は感じられない。
ではホッカイロの効果はどうだろう・・・
ホッカイロのラケット温度計測
ホッカイロの温度計測 放熱
見てのとおり、50 分 ほどで 35°Cへ到達。
これはラバーウォーマーが 10 分で達する温度だ。
その後、70 〜 80 分経っても 40°C以上には上がらなかった。
また、当然ながらホッカイロが当たっていない部分は
温まらない
つまり効果はない。
衣服の中に入れたデータもあるが、惨憺(さんたん)たる結果だったので割愛させていただこう。
ラバーに密着し、効率良くラバーを温めるウォーマー。
非常に考えられた作りになっているようだ。
そしてこれがラバーウォーマーの効果
温度が高いほど、ラバーは弾む。
スピン系テンションはもちろんだが、表ソフト、そして何よりグリーンラインで表された粘着ラバー『トラクション 3』の伸び率がすさまじい。
10°Cでは 140mm だったラバーが 50°Cでは 230mm
約 60% 弾みがアップしている
もはや......別ラバーだ
第 3 回へ続く
文=佐藤祐