便利なノート

中総体は、勝った試合もあれば負けた試合もあり、まあまあの結果だった。

試合会場で中学教諭をしている大学の先輩に会ったら、手に見慣れないノートを持っていた。団体戦の試合結果を書き込むフォーマットなのだが、相手の戦型も書けるようになっているのだ。

そんな便利がノートがどこに売っているのかと聞くと、自分で印刷して製本して作ったオリジナルだという。指導をしている先生方の間では結構普通なのだそうだ。

ううむ、欲しい。誰か作ってくれないだろうか。

なぜ河童に会いに行かねばならんのだ

先週の土曜に、いつも中学生に卓球を教えている近所のコミュニティーセンターに、昨年まで教えていた卒業生が顔を出した。今春、高校に入ったのだが、嬉しいことに高校でも卓球部に入ったという。ところが顧問の先生と合わず、なんだかんだと不満を口にした。

ついにはその容姿にまで言及し「河童のようにハゲたオヤジなんです」と、うっかり口走ったものだから、その場にいた全員が私を見て笑った。私も河童のようなものだからだ。

そこまではよかったが、今年入ったばかりの怖いもの知らずの1年生が「伊藤さん、会いに行ったらどうなんですか?」と言ったのには笑った。

いかなる理由で私がその河童に挨拶しに行かにゃならんのだ。河童どうし話が合うとか、はたまた種が同じだから一緒にいるべきだとでも思ったのだろうか。

中学生を教えていると、こういう思いもよらぬ発言に出くわすのが面白い。ついこの前まで小学生だったという、半分神様のような存在なので、人間には予想がつかないようなことを言うのだ。

練習の後、中学生を家に送っている車の中で、翌日練習に来ない予定だというのでその理由を聞くと「めんどくさいからです」と答えられたことがあったし、大会で勝った生徒が「それほど勝ちたくもなかったけど審判をするのが嫌だから頑張りました」と言ったこともあった。

とにかく面白い。

本当に近くだった高速道路

インターハイ予選応援のついでに実家に寄ってきた。

「家のすぐ裏に高速道路の出口ができた」と聞いてはいたが、本当にすぐ裏だった。

左の正面に伸びているのが高速道路の出口で、写っている林が私の実家の雑木林だ。右端に見えているのはの実家の庭のビニールハウスだ。

なんと便利な高速道路だろうか。

ちなみに、この写真の右側には、知る人ぞ知るジャズ喫茶『ハーフノート』が鎮座ましましているのだ。田植えが終わったばかりの田んぼとのなんたるミスマッチ。素晴らしい。

ちなみに、これがハーフノートだ。10年前の写真だが。

悲願のインターハイ出場!

今日、母校の水沢高校が女子団体で悲願のインターハイ出場を果たした。

初めてかと思って念のため調べたら、なんと昭和27年にも出場していて、実に66年ぶりとなった。「ぶり」と言うことすら憚られる年数だ。そんなの時効だとでも言いたいくらいだ。

私は県予選を見に行ったのは30年ぶりくらいだが、今年は勝ちそうだからというので見に行ったのだ。昨年も優勝候補だったのが3位に終わったのだが、そのときの主力2人が2年生だったので、そのまま今年まで残っているので有望だという話だったのだが、行ってからよくよく聞くと、なんとそれは決勝の相手チームも同じで、優勝するのはかなり難しいとのことだった。

1番でこちらのエースがあまり勝ったことのない相手に運よく勝ち、2番は順当に取り、3番のダブルス勝負となった。2-0でリードしている状況だが、4番と5番はまず勝てないだろうということで、実質2-2のラストをやっているようなものなのだ。そのダブルスで、ゲームカウント2-1とリードし、10-8とマッチポイントを取ったところで私はたまらず得意のスマホを構えて優勝の瞬間を動画で撮影しようとした。しかしそこから逆転され、最終ゲームとなった。

たった1点とれば66年ぶりのインターハイ出場なのに、勝つことはなんと難しいのだろう。相手もたいしたものだ。「勝ったと思って撮影などするからだ」と、関係ないはずなのにやはり思ってしまう。「勝ったと思ったから負けたのだ、OBがそういう甘い考えだから選手もそうなのだ」と。さっきまで浮かれて「祝勝会の会場予約しろや」などと言い合っていた先輩たちもシュンとなり、貧乏ゆすりが激しくなる。

最終ゲームは序盤から突き放し、10-7となったところでまたスマホで動画撮影を始めたが、今度は11-8で優勝となった。

主力の2人は、勉強をしながら卓球も頑張ったというのは事実だが、実は水沢高校のOBたちが小学校低学年から卓球を教え込んでおり、中学時代にはすでに県のトップクラスだった選手たちだ。普通に中学校から卓球を始めた選手だけでインターハイに出るなどというのは、現実的ではないのだろう。

私の時代は、ほとんどの選手が中学校から卓球を始めていたので、そんなことはなかった。その中にあって私の代は、目標が「団体戦で県ベスト8」という恐ろしく低いものだったが、それすら達成できなかった。

悔しいというか情けないというか、やっぱり今でも悔しい。ダメだなあ俺はと思う。それは後輩が優勝してもなんら解消されない。

そういう悔しさも、料理の苦みや辛さと同じく、人生のスパイスなのだろうと思う。まあ、こうやって書ける程度なのだから大した悔しさでもないのだ。

曖昧な供述

よくテレビで事件を起こした人が警察に拘束されて「曖昧な供述をしている」と報道されることがある。曖昧な供述とは「ええと、したようなしなかったような・・・」という供述だと思うが、そんなことを言っているわけがない。

容疑者が言っているのは「頭の中で電波で指令を受けてやった」などという、精神異常を疑わせる供述なのだ。ところがそれを報道すると差別につながるということで「曖昧な供述」という、それこそ曖昧な報道をしているわけだ。

急にそんなことを思ったのは、今日のニュースで「意味のわからない供述をしている」という報道を見たからだ。これは知る限り初めての表現で新鮮であった。

しかし、意味のわからない供述とはどういうことだろうか。たとえば「ペリトルがドルコイしたからとぅつとずした」などと言っているのなら意味のわからない供述だが、「宇宙人から指令を受けてやった」と言ってるのなら意味は明瞭だ。正気ではないだけだ。

本当に意味のわからないことを話す人間はそうそういないと思うのだが。

「ペン粒」の集い

ペンホルダーツブ高という特異な戦型は、トップ選手の中にはほとんどいないが、中級以下では意外に日本に広く分布している。

今回は、中目卓球ラウンジで、ペン粒3フェイズ飲み会を敢行した。

すなわち、日本最強のペン粒の呼び声高い小島さん(タクティブ)、中級代表の馬渕さん(テレビディレクター)、初級代表の高部さん(卓球王国編集部)だ。

ペン粒になった動機が色々と楽しかったのだが、非常に大きな収穫は、彼らは自分のボールが揺れたと思ったことは一度もないということを聞けたことだ。

私は長い間、ツブ高のボールが本当に揺れるのか、錯覚なのかを考えていた。というのも、かつて私は自宅に卓球台とマシンがあり、それで粒高を使って揺れるボールを出そうと、色々なボールに対して色々な打ち方をしてみたのだ。ところが、とうとう揺れるボールを出すことはできなかった。そこで、ツブ高が揺れると感じるのは、予想と軌道が違うことで一瞬視線が迷い、それで揺れると錯覚するのではないかという仮説を立てた。

その後、卓球に詳しい物理学者にこの仮説をぶつけたら、「あなた、目は大丈夫ですか?揺れるでしょツブ高」とバカにされ、揺れる原理を気流だのなんだので説明されたものだった(今も根に持っている)。下手に物理学を知っているとこうなる。理屈より前に、本当に揺れているかどうかの確認をすべきなのだ。

無回転のボールが左右に揺れる場合があることは、サッカーボールかバレーボールで連続写真で確認されている。だからといって卓球のツブ高でも揺れているとは限らない。そういうことは測定してみるまで信じてはいけない。

本当に揺れているのなら、自分が打ったボールを正面から見ている打球者にこそ見えなくてはならないが、ツブ高使いの彼らが生まれてこの方、相手から「今の揺れた」とは何度も言われたが、揺れたと思ったことは一度もないというのだ。

なんと素晴らしい証言だろう。

 

中学1年から卓球を始め、ツブ高が何かも知らない段階で顧問の導くままにペン粒になり、今では日本最強のペン粒とも言われる小島さん。

バタフライの『ビデオ卓球教室 異質反転型』を見て、駅から自宅まで歩きながら反転することだけを学んだという馬渕さん。ついついスマホを反転させてしまうらしい。

大学から卓球を始め、ツブ高ほど素晴らしい戦型はないと言い切る高部さん。料理のメニューまで反転。アルバイトのときは金づちをペン持ちして反転していたというどうでもよい経歴を持つ。

 

そのうち、座談会として記事にしたい。

 

卓球バー『スピン・ニューヨーク』

先月のアメリカ旅行のとき、帰り道にニューヨークに寄ってきた。

次男がタイムズスクウェアを見たいというので、仕方なく寄ることにしたのだったが、ニューヨークのホテルについてから、ニューヨークには卓球バー『スピン・ニューヨーク』があることに気がつき、急遽、行ってみた。

入り口を入ると写真のように地下に降りる階段があるのだが、それが地下鉄の入り口風になっている。

よく見ると、地下鉄のマークがSP1Nとなっていて、トレードマークの「SPiN」と読めるようになっている。

ちなみにこちらが本物の地下鉄の入り口だ。

受付には「卓球王国を知っている」という調子のよい兄ちゃんがいた。帽子を前後逆に被っているところが調子がよい印だ。

こちらが店内。なんかかっこいい。

これは音楽を調整しているらしいDJ。

カウンターで酒を飲む客もいる。30分で1台29ドル(約3000円)なのに卓球しなくていいのか。

ということで、この訪問の顛末を今月発売の卓球王国に書いた。

編集部がつけた記事のタイトルは

伊藤条太の世界で逆モーション「条太、ニューヨークへ行く。」

だそうだ。うぃーす・・・まあいいだろう。

今月は、張本智和選手のご両親の取材と通常の連載と合わせて3本書いたので、ご覧ください。

 

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