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今野の眼

ありがとう東京アート。強かった「暴れん坊アート」、君たちを忘れない

昨年12月に行われたJTTL(日本リーグ)ファイナル4で優勝した東京アート卓球部

 

 

卓球部を存続させる意義と意味を考えながら、
東京アートの功績を讃えよう

 

今回の東京アートの休部は他の日本リーグ(実業団)のチームにショックを与えただけではない。Tリーグも無関係ではない。
Tリーグはプロリーグとも呼べるものだが、男子では4チーム中1チーム、女子では5チーム中4チームが、企業スポーツと言えるチームだ。多くのスポンサーを集めるでもなく、卓球チームの運営費は母体である企業の「経費」として処理される。

 

もし母体の会社の判断によって「経費削減」となれば、チームの存続は難しくなる。ヨーロッパのクラブチームのような地域密着型のクラブではないのだから、母体の企業が経済状況などの様々な理由で経営判断した場合、即休部となってしまう。
言い方は厳しいが、コロナ禍とはいえ、今シーズンのように観客数も少なく、メディアがTリーグを取り上げる回数も少ない状況で、母体企業が卓球チームを存続させる意義に疑問を持ち、社内の議論の机上に乗せてしまえば非常に危うくなる。これはチーム側の問題と言うよりもリーグ全体の課題とも言えるだろう。

 

ヨーロッパには100年以上続くクラブチームもある。50年以上の歴史を持つクラブも少なくない。地域密着で、地元のスポンサーや市民、卓球ファンから愛され、綿々と活動を続け、卓球愛好者や市民の心のより所になっているクラブチームも数多くある。
もちろん地元企業に依存する部分もあるが、経済的な厳しさに耐えながらクラブチームは存続していく。そこには企業倫理とは別の、「楽しむことで人生を豊かにする」というスポーツの本質があるからこそ続いているのだ。

 

東京アートの今までの功績を無駄にしないためにも、日本卓球リーグもTリーグも、そこで活動する選手たちも、「誰のために卓球をやっているのか、卓球ファンを増やすためにできることはないのか、観客数を増やすためには何をすべきか」、そして「企業が、クラブチームがすべきことは何か」を考えてほしい。
企業やスポンサーが「卓球チーム、卓球選手とともに働いていて幸せだ」という意義を感じられる卓球界になってほしいと願う。

 

日本卓球界で輝いてきた卓球部を35年間支えていただいた東京アートの関係者には感謝しかない。難しいことはわかっていても、いつかまた卓球部が復活してほしいと思う卓球ファンは多いだろう。休部になっても東京アートが日本の卓球史に残した、輝かしい功績は消えることはない。

 

「暴れん坊」が球界からいなくなることは淋しい。そして、東京アート卓球部の創部の時から活躍してきたOBの選手たち、現役の選手たちに「ありがとう」と言いたい。
君たちは東京アートのため、日本リーグのため、そして日本卓球界のために大きな貢献をしてくれた。
卓球ファンは「暴れん坊アート」を忘れない。

 

世界でも活躍した高木和。先の全日本選手権でも張本を追い詰めるプレーを見せた

 

2017年から東京アートに加入した小西海偉は貴重なペンドラ

 

昨年12月のファイナル4で優勝カップを掲げる

 

 

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