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取材力で圧倒するペン記者・林直史「日本選手の金メダルの記事を書きたいですね。可能性はある」

 

卓球担当になってから5年目の報知新聞の林直史さん

 

志を持って担当になったのではなく、

単純な人事異動で卓球担当になりました。(笑)

 

現在、卓球王国の編集スタッフよりも数多く卓球の取材に行く記者がいる。報知新聞の林直史(はやし・なおふみ)だ。

卓球担当になってわずか4年ではあるが、過去の試合データを調べまくり、我々専門メディアも舌を巻くほどに豊富な知識を持つ「ペン記者」である。

卓球王国が24年前に創刊して以来、新聞、テレビの卓球担当の方は数多くいた。しかし、これほど卓球の現場に赴き、選手に取材する人はいない。トップ選手の遠征先や、はては平野早矢香さんの聖火リレーの現場にもいる。Tリーグの取材数も単独記者では一番多い。

まさに「卓球のトップ選手がいるところに林あり」だ。

 

ーー林さんはデータ収集も相当なもので、深く緻密によく調べています。ぼくらが行かないような試合を取材することもあって、行く先々に林さんの影がある(笑)。卓球の取材は林さんはうちの編集部のスタッフより多いですね。

 会社が卓球に力を入れるということで、プレッシャーを感じながらも、他と差別化をしなきゃいけなかった。卓球に限らず、スポーツ紙は人気選手に偏るし、有名選手の記事は読まれやすい。人気選手が注目されるのは無理もないけど、それ以外でも結果をしっかり残している人は書きたいと思っていました。全日本選手権にしても、ここ何年かは五輪代表ではない選手が優勝すると、各紙扱いは小さくなる傾向がありますが、全日本チャンピオンはやはりチャンピオンなのだからしっかり書こうと心掛けています。

今は昔と違って、WEBでのニュースもあるので新聞でのスペースにとらわれずに報道できるじゃないですか。だから、頑張っている選手は公平な目で取り上げていこうというスタンスはあります。

 

ーー林さんは卓球だけの担当ではないですよね。

 夏は卓球と柔道、冬はスピードスケートです。

 

ーーそうすると東京五輪は……。

 卓球と柔道の掛け持ちです。会場が東京体育館と日本武道館で近いので、行き来しながら取材をすることになると思います。

 

ーーオリンピックは?

 平昌の冬季五輪が初めてで、夏は初めてです。

 

ーー卓球の担当になったのはいつですか?

 リオ五輪のあと、2017年1月からです。入社して10年間はJリーグやプロ野球などを取材してました。

 

ーー新聞記者の人たちは五輪ごとの4年くらいで担当が変わりますよね。

 そうですね。いただ、以前は弊社も卓球の比重が大きくなくて、1人の記者が3つ4つの担当を持っているうちのひとつという感じでした。

 

ーー報知新聞への入社は?

 2007年です。

 

ーーなぜ林さんが卓球担当だったんでしょうね?

 みなさん(卓球王国)のような志を持って担当になったのではなく、単純な人事異動で卓球担当になりました。(笑)

 

ーー報知新聞の早川正さん(元報知新聞社長)は卓球が好きということで有名で、卓球を応援してもらいました。

 2014年の東京の世界選手権で後援に入ったことがきっかけで、会社として力を入れるようになりました。その頃からホカバ(全日本ホープス・カブ・バンビ)を後援したり、社として卓球に力を入れるんだと。今でも卓球に力を入れるという流れがあります。

 

ーー林さんはそもそも卓球をしていたんですか?

 してないです。バスケットボールをやっていました。

 

ーー新聞のスポーツ部の人は、スポーツが好き、アスリートに興味があるからスポーツ担当になるんですよね。

 そうですね。私もバスケットももちろんですが、野球も好きで、名古屋出身なので、中日ドラゴンズが好きでしたが、幸運にもドラゴンズも担当させてもらいました。次はオリンピックを担当したいと思っていたところで、東京五輪のタイミングで卓球と柔道の担当になりました。

オリンピック取材班は1人の記者が注目度の高い競技を1、2種目ずつメインに担当し、数人で取材しています。私自身、柱の2競技を持ち、それ以外にもいくつかの競技を担当しています。

 

ーー初めての卓球の取材は?

 2017年1月の全日本選手権です。選手はテレビで見たことがある程度でした。右も左も分からずに1人で会場にいって、同時にいくつも試合をやっていて、どこを見たらよいかわからなかったですね。あの大会では、伊藤美誠選手が5回戦で安藤みなみ選手に負けた時で、当時は安藤選手を知らなくて、オリンピック選手が負けることもあるんだと普通に驚いてました。男子の丹羽孝希選手や吉村真晴選手というリオのメダリストも同じ日に負けていて、協会の人に「こんなことがあるんですか」と聞いたら、簡単に、「ありますよ」と言われてびっくりしました。

 

ーー世界選手権の取材は?

 2017年の世界選手権デュッセルドルフ大会、そして18年のハルムスタッド、19年のブダペスト、他の国際大会はT2、グランドファイナルや、ワールドツアーにもいくつか行きました。2017年の世界選手権ではメダルラッシュで、ミックス(混合ダブルス)も優勝し、張本智和選手も史上最年少のベスト8入りでした。あの時は記事も多く忙しかったけど、ワクワクしましたね。

その後に、日本のトップ選手が中国に勝つようになっていき、本当に五輪で金メダルがあるんじゃないかと思うようになった。

初めてデュッセルドルフ大会を見て、ドイツでの会場での盛り上がりにびっくりしたし、雰囲気も良かった。卓球ってすごいなと思いました。

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