<卓球王国2011年8月号より>
(全日本選手権5回優勝・ミキハウス)
自分のキャリアの中で最大の「変化」は、高校を卒業してからミキハウスに入った時でした。この時は、環境を変えただけでなく、ラケット、ラバー、サービス、というあらゆるものを変えた。
今でも日々、自分を変えようとしています。現状維持でいることは考えていない。本来、私自身は「安定志向」で変化を嫌う部分があるけれど、強くなるためには変えなければいけない。
もちろん、変えることへの不安感は常にあるけど、試合で勝つ、という目的を達成するためには、自分を変える必要があるのです。レベルが上がっていけばいくほど、変えることは難しいけど、そこに挑戦しなければ試合では勝てないという思いがあります。
自分の卓球の中で変えなくても良い部分はあるかもしれないし、変えることで全体のバランスは変わっていくので、そういう面を注意深く観察しながら変化を加えていきます。変えたことで、一時的にうまくいかない時期、かみ合わない時期もありますが、変えなくては前に進めないと思っています。
どこを変えるべきか、どれだけ変えるべきか、というのは、自分の目標設定によって違います。この試合で勝ちたい、ここまでのレベルにいきたい、この技術をできるようになりたいという目標があり、そのために自分に何が必要なのかを客観的に見つめ、分析するのです。そこでは自分の思い込みを捨てて、なるべく冷静な客観的判断が必要とされます。
そういう「変化」はある日突然思いついて、がらりと変えるというものではない。自分の目標に向けて、計画的に変えていくものです。そういう変化を積み重ねていくことで、数カ月後には大きな「変化」になっている。全体を客観的に見て、変えるのはどの時期が良いのか、変えることのメリットとデメリットは何かを考えることも大切です。
当然ながら、むやみに変えるのは良くない。変えることで自分の良さを失ってはいけない。だからこそ、ある部分だけを見るのではなく、自分の卓球全体を見つめることが重要になると思います。
考え方のプロセスは次のような流れになります。まず、戦術を考える。自分はこういうプレーをしたい、こういうボールを打ちたい、こういう戦術を使いたい。その後に、そのためにはラケットをもっとこういうものにする、ラバーも違うものにする、と考えます。勝つという目標のための、スタイルチェンジ、テクニックチェンジ、用具チェンジを行うのです。
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