卓球王国 2024年1月22日 発売
バックナンバー 定期購読のお申し込み
トピックス

ラバーの色による性能の差はないが、「黒ラバーは回転がかかる」という選手心理もある

「ピンク使ってみたい」とノリノリの木原選手 写真提供:VICTAS

 

ブルーでもピンクでもどちらの色も似合うのだが、奇をてらう松平賢二選手「ピンクでまず相手をビビらせる」作戦らしい 写真提供:VICTAS

 

「ぜひ新色のラバーに変えてみたい」と意欲を見せた丹羽選手は、何色で登場するのだろうか                                        写真提供:VICTAS

 

 

10月1日から発売の新色ラバー。

片面は黒色ラバーであることを

お忘れなく

 

ITTF(国際卓球連盟)としてもさまざまな色のラバーをテストして、白のボールが見えにくくならないもの、黒いラバーとの識別ができるものとして、最終的には今回4色を認可した。

卓球のラバーは天然ゴムと合成ゴムに薬品を混ぜ込みながら製造され、通常はやや半透明なゴムシート(トップシート)が出来上がり、その下のスポンジの色がやや透けて見える。しかし、新色ラバーでは透明度が高いと、スポンジによって色の見え方が変わってしまうので、透明度がないつや消しのゴムシートを製造している。

製造会社いわく、卓球のラバーの性能や性質を決めるのは、天然と合成ゴムなので、色味に使う顔料の影響はほとんどない。つまり、トップ選手の多くが「黒いラバーのほうが回転がかかる」イメージを持っているが、実際には黒でもピンクでも性能は同じだということだ。

ラバーの製造工程を見るとわかるのだが、最初のゴムの加硫の工程で合成ゴム、天然ゴム、薬品などを入れるときに顔料を入れて、ラバーの色は作られるが、その顔料の量は少ない。機械測定しても赤色ラバーでも黒色ラバーでも反発や摩擦力は同じと言われている。

しかし、選手は機械ではないので、目に映る色で心理が動く。ラバーの色を選ぶときに同じ性能と言われても、赤色がボールが速く飛ぶように想像し、黒色はひっかかって回転が多くかかるように想像してしまう。

特に中国選手が粘着系の中国製裏ソフトをフォア面に貼り、バック系にはスピード系の日本製ラバーを貼り、フォアとバックで球質の違うボールを意図的に使ったりするようになったために、他の選手でも「フォア面に黒色ラバー」を貼ることが当たり前のようになっていた。

卓球王国では9月21日発売号の最新号でITTF(国際卓球連盟)用具委員会の責任者であるクラウディア・ヘアヴェグ氏に新色ラバーに関するインタビューで新色ラバーの性能についてこう答えている。ヘアヴェグ氏自身、ブンデス2部リーグでプレーしたり、ドイツのESN社で長年マネージャーとして働いていた人である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

●ーラバーはスポンジの色の影響を受けるために、新色のトップシートはマット加工(つや消し)のようになっています。卓球選手は「黒いラバーは回転がかかる」ということを言いますが、メーカーは色による性能の違いはないと否定します。新色ラバーの性能の違いはどうでしょうか?

CH ありません。あるとしても数字には出てこない程度です。ラバーというのは同じ色でも製造時期などで多少ばらつきはありますが、同じラバーで色による性質の違いはないと言えます。トップ選手の多くは「黒い色が回転がかかる」と思いこんでいますが、それは製造サイドからすると論理的ではない。でも、そういう迷信的な部分も含めて卓球の面白さとも言えます。用具好きの人はそういう迷信が好きで、用具のことを一晩中話をしている人も多い。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ラバーを練っていく工程だが、顔料の量は多くない(2016年 大起ゴム工業(株)工場取材)

 

 

いくら製造メーカーが「機械測定の結果、黒も赤も同じ」と説明してもトップ選手はそれを信じないだろう。

選手心理からすれば、「ピンクやブルーはきれい」に感じるが、「スピードやスピンは劣るのでは・・・」と感じてしまうのかもしれない。

新色ラバーの性能と見た目。10月発売のあと、しばらく卓球界は新色ラバーの話で盛り上がりそうだ。

ただし、選手と卓球ショップのみなさん。ルールではラケットの「片面が黒色」でなければいけない、となっています。くれぐれもご注意ください。

 

関連する記事