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インタビュー

隣の「アイツ」は世界選手権2位。20歳・西原聖真、スウェーデンでのプロ生活

 新型コロナウイルスの蔓延により、渡航が困難な事情などもあって、昨シーズン、今シーズンと欧州各国の国内リーグに参戦する日本選手は減少中。その中で、今シーズンよりスウェーデン1部(エリートリーグ)のシャーブリンゲと契約し、現地で生活しながらプロ選手としてプレーしている日本人がいる。西原聖真、この3月に20歳の誕生日を迎えたばかりの青年だ。

 大阪府で生まれた西原聖真は、小学生時代に浜寺アスリート倶楽部で全国ホープス制覇。大阪桐蔭高2年時にはインターハイ男子シングルスでベスト32まで勝ち進み、いくつかの大学から推薦の話ももらったが、高校卒業後はヨーロッパでプロになるためにスウェーデンへと渡った。

小学6年生、浜寺アスリート倶楽部で全国ホープス制覇

大阪桐蔭高ではインターハイシングルスでベスト32

 

 欧州でのプレーに興味を持ち始めた高校2年の頃から英語を独学で勉強。クラブにプレー動画を送り、条件面の交渉も自ら英語で行ってシャーブリンゲとの契約をつかんだ。成功の保証もない中、強い意志とラケットだけを持って異国の地へと渡り、「プロ」となった西原に、スウェーデンでの生活を聞いた。(インタビュー・浅野敬純)

 

 

●欧州でのプレーに興味を持ったキッカケは高校時代の恩師

---こんにちは。今日は練習ですか?

 「午前の練習が終わって、食事をして、今は昼休憩の時間です。このあとも3時間くらい練習します」

 

---休憩中にありがとうございます。現在はどんなスケジュールで生活しているんですか?

 「基本的に月曜から金曜が練習で、スウェーデンリーグは火曜日に試合があることが多いです。午前は9時から12時、午後が15時から17時半くらいまでが練習です。午後の練習が終わったら、近くのジムに行って帰って寝る生活ですね。練習は強制参加ではないので、疲れていたり、休みたかったら休んでもOK。土日は基本的にオフですが、スペインリーグにも出場していて、試合がある時は土日にスペインに行っています」

 

---早速ですが、どういった経緯でスウェーデンでプレーすることになったのでしょうか?

 「高校2年の時にいくつか大学から推薦の話をもらったんですが、大学で卓球と勉強を両立するとなると、なかなか卓球に集中できないと考えていました。大学まで卓球をしても、普通に就職する人が多いじゃないですか。それでぼくの中で「なんで大学に行って卓球をするんだろう」という気持ちがあったし、大学という環境で卓球を続ける自信もなくて。大学で卓球をするというのが、いまひとつピンとこなかったんです。でも、卓球は続けたいと思っていて、(大阪桐蔭高の)山岡弘明先生に『ヨーロッパはどうだ?』と提案されたことで海外でのプレーを考えるようになりました」

 

---もともとヨーロッパのリーグに憧れみたいなものはあった?

 「そういうのはなかったです。中学では卓球から離れていた時期もあったし、兄がいたこともあって大阪桐蔭に入って卓球を続けたけど、最初は全然やる気もなくて。でも、高校2年くらいから団体で2点起用してもらえるようになって、山岡先生が『真面目にやってみないか』と言ってくれて本気になりました。高校2年の時には日韓ジュニア交流大会の代表にも選ばれて、どんどん卓球が好きになっていきましたね。

 ぼくは韓国と日本のハーフで、最初は高校を出たら韓国で卓球をしたいと考えたんですが、韓国では海外の選手がプレーする環境がない。そんな時に、山岡先生に『ヨーロッパなら自分次第でプロになれる』と言われて、そっちの道を目指すようになりました。だから、ヨーロッパのリーグがどんなものかも知らなかったです」

 

---ヨーロッパと言っても、いろんな国がある中でスウェーデンを選んだ。

 「ぼくはすごい実績があるわけではないので、メーカーにお願いして、最初はドイツでクラブを探してもらったんですが無理でした。それで高校時代に面倒を見てもらっていた高島(規郎)さんに、日本代表監督だったソーレン・アレーンがやっているスウェーデンの卓球学校を紹介してもらいました。プロのクラブで練習できるわけではなかったんですが、『行くしかない』と思ってスウェーデンに行くことを決めました」

 

●留学中に自らを売り込み、卒業後の練習拠点を確保

---じゃあ、スウェーデンしか選択肢がなかったんですね。

 「最初にスウェーデンに来たのが高校3年の10月で、ソーレン・アレーンの卓球学校に3カ月留学しました。その頃、英田(理志)さんがエースレーブ(スウェーデンリーグの強豪クラブ)に所属していて、英田さんとは面識があったので、お願いして留学期間中にエースレーブの練習に参加させてもらったんです。

 エースレーブは練習環境が良くて、強い選手も多いので『高校を卒業したらここで練習させてくれ』ってクラブにお願いしたら、コーチがぼくのことを気に入ってくれた。それでアパートも用意してもらって、高校卒業後はエースレーブで練習することになりました」

 

---でも、西原くんが高校を卒業した時期(2020年3月)はちょうど世界中で新型コロナウイルスが蔓延し始めたタイミングで渡航も大変だったのでは?

 「そうですね。高校を卒業して4月からスウェーデンで生活する予定だったんですが、なかなか入国できず、スウェーデンに戻れたのは去年の1月。留学から日本に帰って、またスウェーデンに来るまで1年かかりました。高校卒業からスウェーデンに行くまでの間は、日本であちこちを転々としながら練習させてもらっていました。

 スウェーデンに来て、練習はエースレーブでできても、試合に出場するためのクラブに所属していなかったので3、4ヶ月は試合もなくひたすら練習。でも、コーチがぼくのプレーを認めてくれて、クラブに紹介してくれたり、ぼくも自分でプレー動画をクラブに送って売り込んだりして、今シーズンから1部のシャーブリンゲというクラブに所属しています」

 

---1人での海外生活だけど、言葉については問題なかった?

 「高校2年で海外に行きたいと思ってから、独学で英語を勉強していました。初めてスウェーデンに来た時は全然でしたけど、今は生活も卓球も言葉は問題ないですね。オファーだったり契約も自分でやりますし、条件の交渉も自分でできるので、あまり困ってはいないです」

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