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インタビュー

「100点のない中で、100点を目指す」。日本卓球リーグの事務局長は、インターハイ2冠の元トップ選手。

 

―――その後に現在の職場である日本卓球リーグの事務局に入ったんですよね。
「これも真二さんに声をかけていただきました。2015年3月から事務局長として勤務するようになりました」

 

―――裏方的な事務局という仕事をしてみて感じていることはありますか?
「仕事としては2つの大きな柱があります。ひとつは組織運営で、もうひとつが大会運営です。それまでの自分は、大会運営は表の部分しか知らなくて、裏のことを知っているようで実際に自分がたずさわるまでは知らなかったんですよね。事前の準備があって、会場を作って、終わったら片付けて、たくさんの人に支えてもらいながらひとつの大会が運営されています。
でも、そういう大会があることによって、選手たちが結果を出せたり、自分を表現できる場があるんです。現役時代の自分もそうでした。選手たちの人生を演出するための舞台作りをしているという気持ちで大会運営をしています。それはすごくやりがいがあって、責任のある仕事だなと感じています」

 

―――選手時代にはそうしたことは分からなかった。裏方にまわって分かったということですね。
「大会運営も組織運営も、バルセロナにあるサグラダファミリアではないですが、完成はないと思っています。もっと良くしよう、もっと工夫しようと、いつまでも完成させないというか……。ディズニーランドも同じですよね。
自分としては、100点のない中で100点を目指しながら、どこかでしっかりやれたという充実感もなければいけないと思っています。ご協力いただく皆様や主管団体役員の皆様と同じ汗をかいて充実感と達成感を味わう。そういう思いを持って事務局の仕事をさせていただいています」

 

―――全盛期に比べると卓球だけではなく、企業スポーツ全体は減ってきています。そういった中で事務局長として日本リーグをどのようにしていきたいと考えていますか?
「日本の企業スポーツのスタートは会社の福利厚生として健康を維持するところから始まって、それが会社の宣伝的な部分で広がっていき、チームが強くなればメディアに取り上げてもられるので会社の大きな宣伝になっていました。それがバブルがはじけて、真っ先に切られたのが企業スポーツという部分はあったと思います。
でも、今はまた企業スポーツが盛り返してきている部分があります。企業は利益を上げるだけではなく、どれだけ地域貢献、社会貢献をしているかということに力を入れるようになってきています。CSR活動として企業スポーツが会社を支えている部分も出てきています。日本リーグとしても、もっとそういう部分に力を入れながら、強化と普及の両面で加盟チームと連携しながらやっていかなければいけないと思っています。
また、日本リーグでは昨年から正会員、準会員、登録会員という制度を作って、登録会員チームは日本リーグの会員としてJTTL選抜という大会に出場していただいています。そういったことをいろいろと行っていくことで、企業スポーツを盛り上げて行きたいと思っています」

 

―――お話を聞いていると、小畑さんにとってやりがいのある仕事になっていますね。
「事務局はサービス業だと思っていて、価値のあるサービス、価値のある仕事をしたいなと思って取り組んでいます。価値のある仕事がどんなことかと言えば、相手に喜んでもらえることです。いろいろなことを工夫して、改善していって、『ありがとう』と言ってもらえる仕事をしていきたいですね」

 

―――ありがとうございました。

 

【PROFILE】

小畑幸生(おばた・ゆきお)

1971年4月14日生まれ、京都府出身。両親の影響で卓球を始め、埼工大深谷高(熊谷商高から転校)でインターハイ2冠(学校対抗、ダブルス)、明治大時代にチームとして日本一に。実業団、卓球専門店を経て、現在は日本卓球リーグ実業団連盟へ。事務局長として大会の運営など、実務の中心人物として活躍している。

 

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