木下マイスター東京との契約を決めた後、世界ランキング4位のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)は卓球王国にビデオメッセージを送ってくれた。
2018年にスタートしたTリーグ。海外からの現役選手として最高位の選手が日本にやってくる。ハイトスサービスからのパワフルな両ハンドドライブ。独特のレシーブの構えから、どんなボールでもチキータできる技術。卓球に対してはいつも真摯に取り組むが、遊び心も忘れないフレンドリーな人柄。母国語のポルトガル語はもちろん、スペイン語、英語、フランス語、ドイツ語も話す。
体育教師の父、英語教師の母を持ち、大学生の妹がいるウーゴ。小さい頃から抜群の身体能力を活かし、バレーボールと陸上競技でも活躍。両親が小さい頃にスポーツドクターに診てもらい、身長がさほど大きくならないことがわかり、バレーボールを諦め、卓球を選んだという逸話も残っている。
卓球を始めたのは9歳、本格的に練習を始めたのは13歳。日本選手とは比べられないほど遅い。その代わり、バレーボールや陸上で鍛えた身体がウーゴのパワー卓球を形成した。バク宙は朝飯前で、自分が思い切り投げたフリスビーを猛ダッシュで追いかけ、追いついてしまうほどの瞬発力でチームメイトに「まるで犬のようだ」と呆れられるほどの身体能力を持つ。
ジュニア時代から彼のポテンシャルを見出し、環境を整えたのはフランスチームのコーチだったミッシェル・ブロンデルとジャンロネ・モウニー。ふたりとも選手としての実績はないが、人間観察、試合分析、メンタルトレーナーとしての能力は高く、ジャンロネ・モウニーは専任コーチとして常に試合に帯同する。
フランスのINSEP(ナショナルチームトレーニングセンター)での練習を経て、ドイツの「オクセンハウゼン」に移り住み、練習に励んできた。
昨年の東京五輪ではシングルスで準々決勝まで進み、オフチャロフ(ドイツ)からリードを奪い、アメリカ大陸初のメダルに期待が膨らんだが、痛恨の逆転負けを喫した。中国、日本、ドイツ、韓国、スウェーデンと卓球の伝統を持ち、環境が整った国の選手ではない。ブラジルという練習相手に恵まれない国から出現したウーゴはまさにアメリカ大陸、いや、今や世界のスーパースターなのだ。
9月にウーゴ・カルデラノはやってくる。Tリーグのカルデラノの試合は「MUST LOOK」だ。
Photo Remy Gros / Taro Yanagisawa
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