●2021-2022 ノジマTリーグ
〈日本生命レッドエルフ 木下アビエル神奈川〉
○森さくら/長﨑美柚 9、8 浜本由惟/木村香純
早田ひな -10、-7、-4 木原美悠○
○笹尾明日香 7、6、6 木村香純
森さくら -6、-6、-4 張本美和○
○早田ひな 7 木原美悠
昨日に続き、大田区総合体育館で行われた日本生命レッドエルフのホームゲーム。今日は木下アビエル神奈川を迎えての試合となった。昨日、ビクトリーマッチまでもつれた末にトップおとめピンポンズ名古屋を下して開幕2連勝を決めた日本生命に対し、木下アビエルは日本ペイントマレッツに0-4で完敗を喫する苦しい開幕戦から今日が今シーズン2試合目。木下アビエルは前回の試合、全日本選手権東京都予選のため出場できなかった木村香純がメンバー入り。今季のTリーグ初戦を迎えた。
試合に先立ち、東京五輪でメダルを獲得した平野美宇へのTリーグ特別賞の表彰などが行われた。練習を再開してから間もないこともあり、平野はベンチ外で欠場となったが「メダルを穫れたのも日本生命、ファンの皆さんの声援があったからこそ。また日本生命レッドエルフの勝利に貢献できるよう頑張りたい」と会場のファンに向けてコメントを残した。
1番のダブルス、日本生命は今日も森さくら/長﨑美柚を起用。対する木下アビエルは浜本由惟/木村。この試合に向けて昨日、今日の午前中も練習を行ってきたという浜本/木村がラリーで見せ場を作るも、森/長﨑が勝負どころをきっちり抑えて1ゲーム目を奪う。2ゲーム目は浜本/木村がネットインやエッジなどもあって8-4とリードしたが、森/長﨑は積極性を失わず7本連取で逆転。長﨑がレシーブからチキータ、逆チキータでバンバン仕掛け、森もガツンと切ったツッツキやフリックで相手に主導権を握らせず、あまいボールは一発で仕留めていく。日本生命・村上恭和総監督が重要視するダブルスで今日も日本生命が先制点をあげた。
続く2番は日本生命・早田ひなと木下アビエル・木原美悠のエース対決。接戦も予想されたが、蓋を開けてみれば第1ゲームをジュースで奪った木原がストレートで勝利。早田の豪打を木原が前陣で叩き返し、2ゲーム目以降は主導権をがっちりと握って押し切った。敗れた早田はややイージーなミスも目立ち、3ゲーム目は5-1とスタートで出遅れ、敗戦を喫した。
1-1となって迎えた3番はともに大学4年の笹尾明日香と木村香純の対戦となったが、笹尾が完勝。今シーズンより日本生命に加入し、開幕から2勝をあげたことで気持ち的にも余裕が出てきたか、相手を見ながらメリハリのついたプレーで木村に流れを渡さず。フォアドライブはさらに迫力を増している印象で、一度打ち出せば怒涛の連打で相手を攻め立てる。笹尾の開幕3連勝で日本生命が勝利に王手をかけた。
追い込まれた木下アビエルだが、中学1年の張本美和が会心のプレーを見せる。ここまで4シーズンを戦い、Tリーグでは勝利なしの張本だったが、今日の試合では森を相手に圧巻の高速両ハンドを披露。バックストレートも有効に使いながら1ゲーム目を奪うと、森を上回るような気迫のプレーで2ゲーム目も奪取。3ゲーム目もスタートで5-1と一気に森を突き放すと、勢いは止まらず森をストレートでノックアウト。張本のTリーグ初勝利で木下アビエルが追いつき、ビクトリーマッチへと突入した。
大方の予想通り、ビクトリーマッチに起用されたのは早田と木原。2番では木原の前に「自分のプレーが何も出せなかった」という早田だが、村上総監督からの木原のコース取りに関するアドバイスもあって3-0とスタートダッシュに成功すると、そのままリードを守って勝利。早田が昨日のTOP名古屋戦に続いてビクトリーマッチを制し、日本生命が開幕から3連勝を飾った。
昨日も3番で安藤みなみに敗れながらもビクトリーマッチではしっかりと勝ち切った早田。「(ビクトリーマッチでは)点数を気にしないように15点取るつもりで戦った。2番では自分のプレーが何もできなかったので、ひとつひとつ自分のプレーを出し切ることに集中しました」と見事チームに勝利をもたらした。
「いつも言っているけど、ダブルスを取れたほうが勝った。ペアでの練習は3日しかやっていないけど、3試合やってサービス・レシーブがかみ合うようになってきて勝負どころで点が取れたのが大きい。(ビクトリーマッチの)早田には相手が狙っているコースは試合前に伝えた。スタートでリードできたのは、それにしっかり対処できたからだと思う」(村上総監督)
開幕3連勝を決めた日本生命だが、早田と長﨑の2人はカタールでのWTT、アジア選手権出場のため今日の試合後1ヶ月ほどチームを離れる。その中で村上総監督が期待を込めるのはここまで3戦3勝の笹尾。「今シーズンはかなり行けるんじゃないかと感じている。(次戦から)彼女がエースくらいのメンバーでの戦いになるので期待している」とコメント。勝利監督インタビューでは「3連勝できましたが、早田、長﨑がいなくなるので3連敗するかもしれません」と語り会場の笑いを誘った村上総監督だが、その中でどのように勝利を手繰り寄せるのか、名将の腕の見せどころだ。
日本生命にビクトリーマッチまで食らいついた木下アビエルだが、やはり戦力不足は否めない。現状、ある程度勝ち星を計算できるのが木原1人の状態で、オーダー的にも厳しさを感じる。その中で光明は初勝利をあげた張本だろう。Tリーグ初勝利を「落ち着いているように見えるかもしれないけど、心の中では『めっちゃうれしい』って感じです」と語ったが、森に完勝での初勝利は大きな自信になるはずだ。
「全中で優勝してすごく自信がつきました。今日の試合はあまり点数は気にせず、自分のプレー、戦術に集中していました。これがスタートだと思ってもっとチームに貢献したい。何勝とかではなくて、将来に向けて成長できるよう、自分のプレーをすることを大事にしたいです」(張本)
昨シーズンまで2強として女子Tリーグを引っ張ってきた日本生命と木下アビエル。今シーズンは対称的な幕開けとなったが、まだまだ戦いは始まったばかり。日本生命がこの勢いを維持して突っ走るのか、木下アビエルがどう巻き返しを図るのか、目が離せない戦いが続く。
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