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Tリーグ

「開幕で涙が出るかと思ったけど、ひとつも出なかった」と松下チェアマン

「運営を改善してみんなをハッピーにしたい。そして、次はアジアと世界へ」
卓球のTリーグは10月24日に開幕し、男女合わせて12試合を終えた。わずか1年半という短い準備期間の中で、強引とも言える開幕だったが、2020年に東京五輪を控えるこのタイミングでないとスタートを切れなかった。
準備期間の短さゆえにスポンサー獲得も難航し、上部組織の日本卓球協会からの人の移動もなく、卓球の大会運営の経験のない人たちだけで、手探りの中ですべてが動いていった。
プレーオフを含めると男女合計86試合あるので、まだ8分の1ほどが終わったに過ぎない。今年はホーム&アウェイ方式ではなく、全国に分散された会場で開催するミニセントラル方式を採用し、Tリーグという存在を全国に知らしめつつ、初年度の覇権を争う。
開幕戦にはドイツのブンデスリーガのクラブ代表や、韓国の関係者、中国卓球協会の劉国梁副会長や中国男子の前監督なども顔を見せていた。また、海外でも開幕の様子はインターネットなどで紹介され、大きな注目を集めている。
Tリーグに参戦しているトップ選手の多くは現在スウェーデンオープン、オーストリアオープンに参加しているためにTリーグは小休止。11月15日から再び熱戦が繰り広げられる。

10月24日に行われた男子開幕戦でのセレモニーの様子


「余韻に浸る余裕なんてない」と語る松下チェアマン
開幕からの12試合を終え、松下浩二チェアマンは「開幕してうれしいという気持ちはなぜかありません。次のことしか頭にないので、振り返る余裕なんてない」と語る。
「開幕して涙ひとつくらい出るかと思ったけど、そんな感傷的になることはなかったですね。これからのことを考えたら余韻に浸れる時間はないし、どうしたらこのリーグをよくできるのかということしか考えていない。反省点や改善点もあるので、どうやったらみんなが望んでいるように盛り上がっていくのか、どうしたら関わっているすべての人がハッピーになれるのかしか考えていません」。
Tリーグは会場に足を運んだ観客からは好評を得て、卓球を初めて見たという人からも「卓球の試合は非常に楽しかった」という声が寄せられている。
「大変なことばかりで……」とつぶやきながらも、「いずれアジアクラブリーグ、ヨーロッパとの世界クラブ大会をやりたいな……」と松下チェアマン。この男の視線は下に向いていかない。目の前の苦難の向こう側にある世界を見つめている。だからこそ開幕戦ごときで感激して,涙を流すことはないのだ。

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