紙一重、いやそれよりもわずかな、ほんのわずかな差で優勝を逃した木下アビエル神奈川。
試合後の会見で、劉燕軍監督は「ファイナルのプレーは非常に素晴らしいものでした」と語ったが、同時に「残念な点がふたつありました」とも述べている。ひとつ目は、トップのダブルス。石川/木原ペアが11-10として迎えた3回目のマッチポイントで、台上に浮いた相手のレシーブに石川の3球目パワードライブがオーバーミス。そしてふたつ目は、3番袁雪嬌が5ゲーム目の10-7で迎えた最初のマッチポイントで、反応が遅れた早田の台上に浮いたストップを打ちミス。そこからジュースの連続に持ち込まれ、17-19で力尽きた。レギュラーシーズンでは圧倒的な強さを見せた木下アビエルだが、1球の怖さを改めて感じさせる結果となった。以下は劉監督のコメント。
「チームは2-3で敗れましたけれど、素晴らしい試合でした。日本生命の早田選手は素晴らしい選手。国内外の試合でも活躍していますし、私たちにとっては脅威でもありました。私たちはレギュラーシーズンでは18勝3敗という圧倒的な成績でファイナルに進むことができましたが、日本生命さんとの直接対決は7回あり、5勝2敗という成績。そのうちの1敗で早田選手と平野選手が出場していました。だから今日の試合は楽な試合ではないと思っていました。
私のチームの選手はすごく成長してくれたし、満足はしています。ただ、決勝ではふたつの残念な点がありました。ひとつ目はダブルスの3ゲーム目の11-10でチャンスボールを決められなかったこと。ふたつ目は(3番の)袁選手も5ゲーム目に10-7でリードしていたけれど、やはりチャンスボールで決められなかった。しかし、これはスポーツの醍醐味でもあるでしょう。今回のファイナルのプレーはドキドキ、ハラハラする内容で、両チームとも素晴らしいプレーだったと思います。私たちはちょっと運が悪かったですね。
Tリーグで成長を感じたのは、まず早田選手。ポルトガルオープンでは劉詩ウェン選手に勝って優勝しています。Tリーグの開幕の段階ではそれほど目立たなかったけれど、素晴らしい成長ぶりだったと思います。もうひとりは木下の木原選手です。やはり開幕時には、まだ15歳で成熟度が足りないと思っていましたが、ダブルスもシングルスも非常に成長を見せてくれました。そして杜凱琹選手も、このTリーグでスピード感が増してきて、メンタルの面でも非常に積極的になってきました。石川選手のプレーも成熟度を増してきたと感じております。
Tリーグは素晴らしいリーグで、成功したと感じています。レベルから言っても最高峰である中国のスーパーリーグに次ぐリーグだと思います。私の目から見るとヨーロッパのスーパーリーグよりも素晴らしいリーグです。このリーグの運営やサービス、会場の雰囲気も非常に素晴らしいものがあります。卓球の魅力を皆さんに伝えることができました。その点では世界最高のリーグだと思います」
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