武田明子、岡崎恵、福岡春菜……世界を相手に戦った3選手は、身長150㎝前後と小さかった。しかし、長身の外国選手に引けを取らず、互角以上に戦った。3選手に共通するもの、それはスマッシュと変化ラバーでの攻守、そして独特のしゃがみ込みから繰り出される「王子サービス」だった。
「王子サービス」の生みの親として知られる作馬六郎氏は、大阪の王子卓球センターで現在も指導に尽力している。選手の得手不得手を見抜き、独創的なプレースタイルを作り上げる。近年では13年インターハイ優勝の阿部愛莉、15年インターハイ団体優勝の三條裕紀、14年度高校選抜(2部)優勝の多田浩嗣、田中理沙など、多くの選手をチャンピオンに育て上げた。
「王子の子」のプレーは非常に個性的で、初対戦の相手はその独創的なスタイルについていけず、訳がわからないまま試合が終わることもある。独創的かつ個性的な選手を作り上げる作馬氏が自らその指導法を語ってくれた。
ボールがプラスチックになり、以前より「ボールの威力」にこだわる時代が来ている。相手が受けて「重い」と感じるボールを出すためには、重量のあるラケット、そしてそのラケットを力強くスイングするパワーが必要だ。中国選手は威力のあるボールを放つが、彼らが使っているラケットは非常に重い。王楠(00年五輪女王)や張怡寧(04・08年五輪女王)などのチャンピオンたちも幼い頃からかなり重いラケットを振り続けていた。男子なら220g、女子なら200gを目安にして振ることが必要だろう。
中国の選手に聞いた話では、劉詩雯のラケットの重さは210gで、それでも中国女子の中では軽いという。それだけのパワーがあってこそ、威力のあるボールが出るのだ。日本では藤井寛子選手がジュニア時代から重いラケットを振っていた。四天王寺中時代は、両面に重い皮付きの裏ソフトを貼り、総重量は220g。日本一と呼ばれる重いドライブを習得できた秘密はそこにあると私は思っている。
Vol.1-2に続く
卓球王国2016年2月号から抜粋
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