2022全日本卓球、ジュニア男女、ダブルス3種目に続き、男子シングルスの見どころを紹介していく。国際大会の実績では張本智和(木下グループ)が突出しているが、ここ数年、全日本ではその強さを発揮できておらず、男子シングルスは大本命不在の戦いとなりそうだ。
●前回王者・及川と前々回王者・宇田のAブロック
前回大会、決勝でマッチポイントを握られながらも逆転で初優勝をつかんだのは及川瑞基(木下グループ)。及川は今シーズンもTリーグで全日本チャンピオンの実力を見せ、開幕からTリーグ新記録となる16連勝を果たすなど、木下マイスター東京の首位独走の原動力となっている。昨年末の試合で初黒星、年明けの試合でも連敗を喫した点が気がかりだが、粘り強さも兼ね備えたクレバーなオールラウンドプレーで連覇に挑む。
その及川と同じAブロックには前々回王者の宇田幸矢(明治大)が入った。及川と宇田は勝ち上がるとベスト8をかけて対戦することとなる。宇田は前回大会はまさかの初戦(4回戦)敗退。2年ぶりの王座奪還に向け、気合も入っているはずだ。
Aブロックでは5年連続ランキング入りと安定している龍崎東寅(三井住友海上火災保険)のほか、爆発力のある田添響(岡山リベッツ)などが入った。また、このブロックは及川のシード下に村松雄斗(東京アート)と木造勇人(愛知工業大)、吉山僚一(愛工大名電高)のシード下に平野友樹(協和キリン)、小林広夢(日本大)のシード下に田添健汰(木下グループ)、横谷晟(愛知工業大)のシード下に松平健太(ファースト)とノーシード勢にも実力ある選手が揃っており、スーパーシードも初戦から気の抜けない戦いとなる。
●前回3位・田中は充実の1年。張本、王座奪還なるか
Bブロックは前回3位の田中佑汰(愛知工業大)と張本が中心。田中は今シーズンからドイツ・ブンデスリーガに参戦し、ファルク(スウェーデン)、ヨルジッチ(スロベニア)ら世界トップランカーにも勝利。インカレや日本リーグでもチームを優勝に導くなど、成長ぶりを感じさせる。
そして4年ぶりの優勝を狙う張本。2017年度大会で史上最年少優勝を果たして以降は3位、準優勝、ベスト8と頂点に手が届いていない。優勝に向けては受け身にならず、最後まで自ら得点を奪いにいく姿勢がカギになるか。ひとつ殻を破り、ステップアップの全日本にしたい。
2011年度大会王者の吉村真晴(愛知ダイハツ)、全日本で決勝進出経験のある神巧也(T.T彩たま)、町飛鳥(ファースト)などもBブロックの注目選手。松山祐季(協和キリン)も打ち合いでの強さを発揮できればおもしい存在だ。
●Cブロックは吉田、丹羽、大島が中心
Cブロックは2大会連続3位の吉田雅己(木下グループ)に、東京五輪代表の丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)、2018年度大会ファイナリストの大島祐哉(木下グループ)が戦況をリードしそうだ。3人ともTリーグでもコンスタントに出場。大島はここまで9勝をあげて個人成績3位につけている。東京五輪という一大イベントを終えた丹羽は新たな心持ちで挑む全日本で、どんなプレーを見せてくれるか期待したい。
また、注目の松島輝空(星槎中)は郡山北斗(リコー)のシード下にドローされた。これまで一般シングルスでは2年連続3回戦敗退となっているが、進化したプレーで上位進出なるか。
●若手からベテランまで実力者多数。最激戦区・Dブロック
最も激しい戦いとなりそうなのがDブロック。第2シードの森薗政崇(BOBSON)は前回大会決勝でチャンピオンシップポイントを握ったが準優勝に終わった。あと一歩届かなかった頂点へ、タフなトーナメントを勝ち抜けるか。
Dブロックで注目は大学生の戸上隼輔(明治大)と曽根翔(愛知工業大)、インターハイ王者の谷垣佑真(愛工大名電高)の若手3人。成長著しい年代だけに、今大会で一気にブレイクする可能性を秘めている。
また、ベテランの小西海偉(東京アート)も健在。前回大会ではベスト16、40歳を迎えた今年度も日本リーグ、全日本総合団体でチームを優勝に導く活躍を見せた。30歳の上田仁(T.T彩たま)も全日本社会人で4度目の優勝。全日本での経験も豊富だ。
前回大会ベスト8の英田理志(愛媛県競対)、2016年度大会準優勝の吉村和弘(岡山リベッツ)も激戦ブロックを勝ち抜いての上位進出を狙う。両者は勝ち上がるとベスト16で対戦することとなるが、全日本では2年連続で対戦中。前々回大会では吉村、前回大会では英田が勝利しているが、勝負の行方はいかに。
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