木の道管にまで浸透するという弦楽器に使われる接着剤で合板されている『バイオリン』。弦楽器シリーズの元祖ラケットであり、5枚合板ながら15,000円(税抜き)という高価格で注目を集めた。販売同時は「購入して1年間は折れたら無償交換します」という初のラケット保証制度が採用されており(現在は廃止)、折れるものなら折ってみろ!というニッタクの自信があふれていた。その自信どおり、実際に保証制度が適用された数は少なかった。
ラケットは5枚合板ながら硬質。だが板厚が5.3㎜と非常に薄いため、硬い木でありながら非常に“しなる”。軟らかい木がしなるのは当たり前だが、硬いラケットを薄くしてしならせることで、通常の5枚合板よりも力強い回転をかけることができるのだ。
「バイオリンはしなりで飛ばす」。だからこそ、単純にボールをついただけでは弾みは乏しい。メーカーのスピード表示は「ミッドスロー」。守備用くらいにしか思えない弾みだが、ドライブなど回転をかける打法にすることにより、弾みは激変する。だからこそバイオリンはミート打ちの人には合わない。
また回転性能の良さからカットマンにも好評を博し、同じ板でブレードの大きさを変えた『ビオンセロ』が生まれている。他にも反転式や中国式など、ペンホルダーも充実。ミート打ちでは弾まないため粒高使いのブロックには最適なのだ。
注意してもらいたいのは決して(自動で)回転がかかるラケットではないということだ。同シリーズの『アコースティック』は、板自体が軟らかいためミートで打っても回転が自動でかかってくれる。しかし、バイオリンはしならせないとかからない。その代わり、しならせた時のドライブは「ミッドスロー」のそれではない。重くて速い銃弾となる。
「ドライブを覚えたいからバイオリンにしよう」ではない。「しっかりドライブが打てるようになったからバイオリンにしよう」というラケットである。
結論!
「しならせて飛ばせ!
硬くてしなる異色の5枚」
担当:用具担当ゆう
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