「アウターラケットもここまで来たか……」。アウターが苦手な筆者も、思わず唸った。ヨーラが昨年11月にリリースした特殊素材ラケット『ヨーラ エナゴン』(以下:『エナゴン』)。『エナゴン』というゆるキャラのようなネーミングは少々ユーモラスだが、その性能に疑いの余地はない。
『ザイロン』の商品名で知られるPBO繊維に、カーボンを交織した『PBO−C』を使用し、『ゼレブロ』と『ノビリス』というハイエンドモデルをリリースしてきたヨーラ。いずれも上板のすぐ下に特殊素材を配する「アウター」仕様のラケットだった。そして『エナゴン』には、さらに弾性をアップさせた特殊素材『SUPER PBO−C』をやはりアウターで使用している。
このラケットを手にしたら、ラバーを貼る前にまずはボールをついてみることをオススメする。非常によく弾むのに、素材ラケットにありがちな球離れの早さがない。ずっとボールをついていたくなる心地良さだ。
両面にスピン系テンション裏ソフトを貼ってドライブを打ってみると、弧線が低く、スピードのあるボールがビシビシ出せる。ボールの飛びはまぎれもなく素材ラケットのそれなのに、打球時のフィーリングは木材ラケットのようにしなやか。ストップやツッツキなどの台上プレーでも、相手のボールの回転をしっかり指先に伝えてくれる。ハード、かつマイルドなのだ。
「『エナゴン』は良い意味でアウターラケットのイメージを覆す、しなやかな打球感を実現しました。球離れは早過ぎず、素材の強さを感じることができるので、相手コートに着いてからのボールの伸びや、ブロック等の安定感は特筆すべきものだと思います」と語るのは、ヨーラジャパンの小川洋さん。前作の『ゼレブロ』の流れを汲む、5・6㎜の薄めの板厚に加え、上板にも薄く軟らかめの木材を使用。新素材の長所だけを巧みに引き出している。
オーストリアの強打者Da・ハベソーンも「ハイスピードなラリーの中でのボールコントロールが非常に良い」と語り、フィーリングの良さを評価する『エナゴン』。弾みとフィーリングという、相反する要素が見事に融合している。アルミニウム製のラケットケースに入って3万円に迫る本体価格は、まさに超高級ラケットだが、性能にも「超」をつけていい。素材ラケット好きも木材ラケット好きも、一度は手に取る価値のあるラケットだ。
5.6㎜の板厚と薄く軟らかめの上板により、「弾むのにフィーリングが良い」ブレードが完成した
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