TSPの15年春の新製品は、異彩を放っている。なぜかと言うと、時代に逆行するようにペンホルダーを4種類もリリースしたのだ。しかも今までのペンとは違い、画期的な合板構成になっているという。今回はその中でも一番弾みを抑えた『WFS ローター』を紹介しよう。
まず、この『WFS』とは「ウッドファイバーシリーズ」という名前の略称で、名前のとおり「ウッドファイバー」という特殊素材を使用している。「ウッドファイバー」とは、木材の繊維から作られ、木材の打球感を残したままスイートスポット(ラケットの弾みが良いエリア)を広げる役割を果たす特殊素材だ。一般的にラケットのスイートスポットはブレードの中心付近にあり、中心から離れるほど弾みは落ちていくものだが、『WFS』は一般のラケットより約50%もスイートスポット拡大しているという。にわかには信じられない話だ。
科学的な検証は難しいが、実際に打つと、確かに当たり損ないが減った気がする。これはトップ選手というよりは、打球するポイントがバラバラになりがちな初~中級者のほうが恩恵が大きいだろう。もともと日本式ペンはスイートスポットが大きいと言われるが、「ウッドファイバー」の効果により、どこに当たってもしっかりと弾む感覚がある。確かにこれは画期的だ。
今回、あえて弾みが落ちる『ローター』を紹介したことには理由がある。『ローター』と言えば、片面に粒高や変化系のラバーを貼り、クルクルと反転しながら戦う選手専用のラケットというイメージが強いが、ここはあえて両面裏ソフトの選手にオススメしたい。シリーズの中には、反発力が高くて裏面も貼れる『WFS ハイ(両面対応)』もあるが、板厚が8.4㎜と厚いため、どちらかというと裏面には薄いラバーを貼りたい。しかし、『WFS ローター』は6.2㎜と少し薄めになっているので、両面に裏ソフトを貼っても全体が厚くなりすぎない。
実はこのラケット、とある日本リーガーが「今、試しているんだ。これは良いラケットだよ」と勧めてくれた。もともとは桧単板のラケットを使っていたが、裏面を貼る際に紆余曲折を経て、『WFS ローター』に行き着いたという。その選手の詳しい話は、発売中の別冊『卓球グッズ2015』の用具座談会ペンホルダー編を見てほしい。
新たな定番ペンホルダーシリーズになりそうな予感がする『WFS』。ペンホルダーの人口は減少しているが、それだけにこだわりの強い選手は多い。『WFS ローター』も、こんなペンがほしかったと、誰かの心にズバッと刺さるラケットだろう。
●上板のすぐ下にあるシルバーの素材がウッドファイバー
担当:王国編集部
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