トップ選手がメーカーに入るメリットは大きい。仕事をするうえでの体力はもちろん、卓球界への理解も深く、選手時代に培ったネットワークも活かせる。そして何より、自らが企画し、自らが試打することで、新製品の開発力が上がることがメリットだ。
この『ディフェンシブプロ』も14年世界代表の塩野真人氏がスティガスポーツジャパンに入ったことで生まれたカットラケットである。そのこだわりは尋常ではない。
一般的にカット用ラケットは相手の打球を吸収するため、軟らかい木材を使用した3枚または5枚合板が多い。しかし、このラケットはインナーにカーボンを入れることで、打球感は硬めになっている。守るだけでなく、攻撃も考慮したためだ。確かにカットマンも攻撃力がないと勝てない時代になっている。カット用と言えどもオールラウンドな性能が求められている。
「カーボンを入れたことで打球感は硬めになりましたが、カットのコントロールと攻撃時の威力のバランスを一番に考えました。実際、硬めのほうが強いボールに対しても抑えが効くし、威力を吸収する感覚があります」(塩野氏)
試打ではカットとツッツキの重さにもこだわった。塩野氏は「カットはもちろんですが、ツッツキはかなり重要」と語る。それはカットマン攻略のひとつである3球目強打を防ぐためだ。「レシーブでのツッツキに重さがあれば、3球目強打を回避できるのです」(塩野氏)と、カットマンならではの悩みを解決するためにこだわり続けた。
重量は平均86gとカット用にしてはやや軽い部類。カットマンに重要な点はスイングの速さよりも、バックスイングを取る早さだとコーチに言われ続けたという塩野氏は、重量にもこだわる。そして自身が使うならばグリップはSHC(ショートストレート)を選ぶ。
「5種類のグリップがあり、自分に合ったものを選んでほしい。その中でもSHCはラケットの先端に重心がいき、振り抜きやすくなり、切れ味も良くなります。手首が使いやすくて、様々なボールに対して正確に角度を出すことができるのです」というコメントには理想の用具に対する情熱を感じる。
塩野真人が精力を注ぎ、完成させた『ディフェンシブプロ』。「特別な1本ですから」と、ゴールドのプレートのワンポイントが光るカットラケットは、蝶のように舞い、蜂のように刺す華麗なプレーを可能にする。
極薄カーボンをインナーに搭載させた
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