非常に硬い木材を使った7枚合板で、100gを超える重量、そして『剛力』というネーミング。まるで屈強な男子が振り回すようなラケットに思えるが、そうではなく意外にも変化卓球用のラケットと言う。その理由は監修者が作馬六郎氏と言えばわかるかもしれない。
作馬氏と言えば、08年北京五輪代表の福岡春菜も多用した王子サービスの生みの親として有名だ。また、変化プレーとスマッシュを組み合わせた独自の卓球理論を持ち、体の小さい選手を勝たせる指導者である。世界選手権代表の岡崎恵子、武田明子、近年だと13年インターハイ女王の阿部愛莉(早稲田大)などを育てた。
今月号に掲載されているインターハイと全中のランカーの使用用具欄に『剛力』が並んでいる。いずれも四天王寺関係の選手だが、この1年で一気に『剛力』の使用者が増えている。それも前陣攻守の選手だけでなく、カットマンまで使用しているから驚きだ。
実は『剛力』を使う選手には条件がある。それは片面に必ず表ソフトや粒高のような変化系ラバーを貼っていること。100gの重量の理由は、変化系ラバーを貼っても、ラケット全体の総重量が軽くなりすぎず、相手の威力に押されないようになる。また、硬い割にあまり弾まない合板は、粘着系裏ソフトと合わせることでスマッシュがナックル系になりやすい。「小さい体の選手がドライブで勝負しても威力は出ない。スマッシュならば小さくてもスピードも出るし、ナックルスマッシュになれば一発で決まる」。それが作馬氏の考えなのだ。
『剛力』は完全受注生産で、しかも定価は3万3千円とかなり高価。少し手が出にくい製品だが、変化卓球で勝ちたい選手には救世主になるかもしれない。「はっきり言って使いこなすのは難しい。でも価格が高いからこそ大事に根気よく使ってほしい。我慢して使った先に勝利がある」と作馬氏は語る。今秋には新たな『剛力スーパードライブ』が発売になる。名前のとおり、ドライブ攻撃用のラケットで、このラケットにも作馬氏のこだわりが詰まっているという。
異端のラケットと思って、敬遠していた人もいるだろう。しかし、インターハイと全中でこれだけの実績を上げていれば、気になる存在になる。キミも『剛力』で超個性スタイルにチャレンジしてみてはいかがだろうか。
板厚は4.9mmと薄いが、硬いウォルナットが非常に重い
担当:王国編集部
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